製造/中部・北陸 「圧密化技術による未利用国産木材(つよスギ)の製造・販売事業」

軟質のスギを独自技術で有効活用

 戦後の高度経済成長期に、成長の早いスギが建築材として大量に植林された。しかしスギは軟質で住宅用建材としては扱い難いという欠点がある。またその後、安くて品質の良い外国産木材にその立場を取って代わられ、全国各地のスギ林は手つかずのままという状況にある。

 このスギを建材として活用できないかと開発されたのが、コア企業のマイウッド・ツーが02年に製品化した「つよスギ」だ。スギに熱と圧力をかけることで厚さは約半分、強度は2倍になる。熱で細胞を固定化するため、水にぬれても変形しない。

 地域の木材を有効活用できる点から公共施設での採用が主だった同製品を、一般住宅などでより多くの人に使ってもらうことがこの事業の目的だ。そのためには価格を抑えることが必須条件となる。

 プレス機メーカーの山本鉄工所と共同で、同製品をコストダウンできる生産システムの開発を手掛けるとともに、塗料にも配慮した。特殊塗料製造のサンユーペイントと協力して、原材料に樹液を使用した人体に優しい天然系塗料を開発、同製品に利用した。

 06年の新連携の認定承認から1年が過ぎ、06年3月期に1,400万円だった同製品の販売は、07年3月期に9,000万円へ拡大。今後も年率15%の伸びを見込んでいる。

マイウッド・ツー(株)


会社名
役割分担
■コア企業
マイウッド・ツー(株)
木材圧密化製造技術、材料の乾燥技術、天板生産技術
(株)山本鉄工所圧密成形プレス開発技術、コストダウンシステムの共同開発
サンユーペイント(株)圧密材に適した塗料の開発・製造



マイウッド・ツー(株) 福山昌男 社長<br>「連携企業以外にも多くの協力企業があって材料から製造・販売までの一貫体制が築けた。新連携制度を活用しなかったら、ここまでの関係はできませんでした」

マイウッド・ツー(株) 福山昌男 社長
「連携企業以外にも多くの協力企業があって材料から製造・販売までの一貫体制が築けた。新連携制度を活用しなかったら、ここまでの関係はできませんでした」

【コストダウンと人体への配慮で一般住宅へ普及】

 マイウッド・ツーは、すでに会社設立時の00年に連携先の山本鉄工所とサンユーペイントと出会っていた。プレス機と特殊塗料で独自の技術を持つ2社とは長い間の協力関係があり、福山昌男社長は「さらなる事業拡大を目指して新連携を活用することは自然な流れだった」と振り返る。

 山本鉄工所はプレス機の中でも、とくに木材成形機に関して実績を持っていた。マイウッド・ツーの相談を受け、より採算性が高い「つよスギ」の生産システムを開発に着手。その結果、一平方メートル当たりの価格は従来の1万5,000円から8,000円にコストダウンできた。

 さらに熱盤プレス機を用いた細胞固定化技術も完成。水にぬれても変形しない圧縮木材の製造を可能にした。

 人体に優しい製品の関心が高まる中、新たな塗料開発に向けサンユーペイントとも協力した。有害物質が含まれる塗料はシックハウス症候群の原因ともなる。そのため有害物質、有害微生物が少ない天然植物系塗料を開発した。従来のウレタン系塗料のように被膜を作らないため、木の暖かみがじかに伝わるという点も好評だ。

 この新連携事業は2社以外にもいくつかの協力企業によって成り立っている。スギ材を供給する全国の森林組合や、販売協力する家具メーカーなどだ。これら企業の協力があって材料調達、加工、製造、販売までの一貫体制が築けた。

 また「外部からの刺激を受けることで改良や研究にも力が入る」(福山社長)という。


【改良の積み重ねで事業を活性化】

 新連携は「連携を組む複数の企業が足並みをそろえることが一番大切」(同)という。事業による業績向上が3社平等ではなく、立場によってメリットも異なるため、企業間の話し合いは欠かせない。

 さらに事業が軌道に乗った理由について「新連携制度の支援機関の細やかなアドバイスが非常に役立った。機密情報漏えいの心配もない。この制度を活用しなかったら、ここまで深い関係は築けなかった」(同)としている。

 今のところ販売を順調に伸ばしているが、それで満足しているわけではない。一般住宅でさらに普及するには「まだコストダウンの余地はある。常に時代のニーズを取り入れ、改良していく必要がある」(同)とし、今後も製品づくりや販売の方法を見直す考えだ。

 課題の一つが天然植物系塗料の改良で、まず防汚性、耐摩耗性を向上する。カラーバリエーションも4色に広げる考えだ。また販売の見直しとして、販売店を現在の8社から30社に拡大する予定。インターネット販売も計画中で、事業のさらなる活性化を目指している。