製造/関東 「次世代PACSの開発および事業化「遠隔医療支援機能付PACSの事業化」」

連携体の技術力で専門医不足を補完する

 インターネットを用いた遠隔医療支援システムを手掛けるViewSendは、京葉電子工業(東京都江戸川区)、ケイ・ジー・ティー(KGT、東京都新宿区)の2社と連携し、画像保管・電送システムの高機能化に取り組んでいる。

 核となるViewSendシステムは、もともとは米国で産学官により共同開発され、大病院などで普及している画像保管・電送システム(PACS)を強化したものだ。

 コンピュータ断層撮影装置(CT)や磁気共鳴断層撮影装置(MRI)などの大容量データを劣化させず安定的に送受信できることに加え、双方のパソコンに同じ画像を出し、画面上のテレビ電話でやりとりしながら、画像の拡大や患部をポインタで指し示す操作が連動するため、リアルタイムで治療法などを話し合える特徴がある。

 今回、京葉電子の電子カルテ技術を導入することで常にカルテの最新情報が共有できるようになった。またKGTの画像3次元化技術により、CTなどの数百枚の輪切り画像を立体表示、診断をしやすくするなどの改良をほどこした。

 国内ではCTやMRIが約1万4,000台稼働している。ただ画像を診断する放射線科の専門医は3,800人しかおらず、1人の専門医が複数の病院を回っているのが実情だ。専門外の医師が画像を読んだり、医療画像を専門医に郵送して判断を仰ぐケースも珍しくない。

 こうした現状から3社は新システムを深刻な専門医不足を補完する材料の一つと位置付けて普及を図る。

ViewSend(株)


会社名
役割分担
■コア企業
ViewSend(株)
遠隔医療支援システムの開発
(株)京葉電子工業電子カルテ技術の開発、システム販売
(株)ケイ・ジー・ティー3Dビューワ開発



ViewSend(株) 嗣江建栄 社長<br>「連携で従来システムに電子カルテ、画像の3D表示機能などを強化しました。効率的なフィルムレス運用、遠隔医療で医者と患者の負担を軽減できます」

ViewSend(株) 嗣江建栄 社長
「連携で従来システムに電子カルテ、画像の3D表示機能などを強化しました。効率的なフィルムレス運用、遠隔医療で医者と患者の負担を軽減できます」

【遠隔医療支援システムの先がけ】

 コア企業のViewSendは、嗣江建栄社長が04年に立ち上げた若い会社だ。社名は93年に米KLTテレコムと米国防総省、ジョージタウン大学が共同開発した「ViewSendシステム」から付けた。

 このシステムは戦場で負傷した兵士の症状や治療法を早く正確に伝達するため、前線の医療スタッフと病院を結ぶ狙いで開発された。化学メーカーで半導体研究に携わっていた嗣江社長は99年、このシステムをアジア地区で販売していた友人の代理店に参加、システムと出会った。

 しかし当時の通信インフラは大容量データの送受信に時間がかかり、通信費も高額だったことからアジア市場では見向きもされなかった。それでも製品の将来性を信じた嗣江社長は何人もの医師に相談。その結果、ある医師の出資を受けて代理店を補強、KLTの買収を経て、現在のViewSendをスタートさせた。

 新会社はViewSendシステムの機能を強化して、マルチスライスCTへの対応も可能にした。同システムは旧KLT製品を含め、これまでに国立病院機構東京医療センターなど国内約180施設、海外約200施設に導入されている。

 さらにリアルタイムでやり取りできる特徴を活かし、日米韓で同時開催された国際会議でも使われるなど順調にユーザーを増やしている。


【さらに高機能な「連携版」を市場投入】

 連携体ではさらに機能を高めた「連携版」を開発し市場に投入した。電子カルテ機能は医師が手書き入力できるのが特徴。ドクターソフトに入力しておけば、印刷する場合も自動で追記印刷できる。

 そして3次元表示機能は立体画像を作成するためにハードウエアを調整する必要がないほか、画像を拡大しても画質が乱れない。「医師と患者双方の経済的、肉体的、精神的な負担を減らしたい」(嗣江社長)考えだ。

 連携版は06年10月に発売して以来、1年間で10台を売り上げた。今後は大きな病院だけでなく、地方の病院や診療所、リース会社にも提案する考え。08年10月までにあと20台を販売するのが目標だ。また海外ではOEM(相手先ブランド)で展開する方針。「システムには自信がある。ハードルは決して高くない」(同)と言い切る。

 そんな中で嗣江社長は新連携事業を管轄する経済産業省の組織が複雑なのを気にかける。同事業の認定後、しばらくして同省から「医師不足を解消するアイデアはないか」と問い合わせを受けた。実は省内の別の部署からの電話だったという。

 「医師不足は民間だけでは解決できない。官庁も内外の連携を強化して民間企業と足並みをそろえて欲しい」(同)と苦笑する。