製造/関東 「産業廃棄古紙の再利活用による発泡食品トレーの開発・製造・販売事業」

産業廃棄古紙をリサイクル

 コア企業である環境経営総合研究所は、印刷業者や紙加工業者から排出される産業廃棄古紙を粉末化する独自技術を持つ。紙の年間消費量は平均して約3,100万トンだが、紙として再生されているのはそのうち約1,745万トン。

 産業廃棄古紙は年間543万トンも排出されるが、繊維が分断されるため再生できず焼却または埋め立て処分されていた。同社はここに目をつけ産業廃棄古紙のリサイクル技術開発に取り組んだ。

 産業廃棄古紙を30μm−50μm(1μmは100万分の1)の粉末に加工する技術や、古紙粉末と樹脂などとを均一混合、造粒する技術を確立。また古紙再生は通常、水や溶剤を使用して行うが、同社は乾式による方法を開発、製造コスト低減と環境対応を両立させている。

 粉末化した材料から作った緩衝材や断熱材などの販売が主業務だが、顧客はシャープ、日本IBM、マツダ、高島屋など大手企業が大半で高い信頼を得ている。

 この事業の付加価値をさらに高め、発泡食品トレーなどの最終製品に展開するため、ノウハウをもつ異業種企業との連携事業に乗り出した。

(株)環境経営総合研究所


会社名
役割分担
■コア企業
(株)環境経営総合研究所
古紙パウダー化技術の提供、でんぷん混合・乾燥技術、食品トレー販売
(株)ムトウユニパック廃棄古紙の供給、古紙発泡体製品の成形、古紙食品トレーの加工
(株)ティエスピー古紙粉砕設備製造
玉井環境システム(株)古紙食品トレー加工設備製造



(株)環境経営総合研究所 松下敬通社長<br>「連携事業が材料供給から製造までの一貫システムとなるため、パートナーは地域を越えてコア事業領域でトップ技術をもつ4社の広域連携となりました」

(株)環境経営総合研究所 松下敬通社長
「連携事業が材料供給から製造までの一貫システムとなるため、パートナーは地域を越えてコア事業領域でトップ技術をもつ4社の広域連携となりました」

【トップ企業を求め広域に連携】

 連携体では紙コップ原紙やコーヒーフィルター濾過紙など産業廃棄古紙を原料にした発泡食品トレーの開発を進めている。スーパーマーケットなどで使われる発泡スチロール製トレーの代替品となるもので、発泡スチロールやポリプロピレン製より低コストで製造でき、従来、廃棄していた紙を再利用する環境対応型ビジネスとして期待されている。

 連携体は東京都、北海道、兵庫県などの4社から構成され、古紙原材料の供給から製品製造までの一貫したシステムを構築する。パートナー企業の条件は、まず第一が「コアとする事業領域でトップ技術をもつこと」(松下敬通社長)。

 このためメンバー企業が複数の都道府県にまたがって連携する「広域連携」となった。中小企業間の連携は、各地域の商工団体などが主催する異業種交流がきっかけとなるケースが多く、地域内での連携が多い。連携に欠かせない信頼関係も、密接なコミュニケーションが図れる近隣のほうが築きやすい。

 だが市場が成熟化した日本では、特色ある高度なモノを作らなければならず「地域内だけで最適なパートナーを探すのは相当、無理がある」と松下社長は指摘する。


【信頼もとに役割分担】

 パートナーの条件は、最適な得意技術やノウハウをもつだけでなく「イコールパートナーとして、割り当てられた役割を明確に把握し、責任を果たせること」(同)。

 そのためコア企業の責任は重大で、異なる企業間をまとめるコミュニケーション能力はもちろんのこと「事業のすべてを背負うくらいの覚悟が必要」(同)だという。メンバー間で、不公平感が出るなど「信頼関係を失ったら連携事業は失敗する可能性が高い」(同)と断言する。

 松下社長は産廃古紙のリサイクル事業を確立するまでには、再生に適した材料を求めて全国の産廃業者などを巡った経緯がある。こうした経験が、今回の広域連携にも生かされ、目的とする事業に最も適したパートナーの確保につながっている。

 環境経営総合研究所の本社は東京都渋谷区にあるが、松下社長は最低でも月に2回は連携体のメンバー企業を訪れる。「モノづくりは、現場でのすり合わせがなくてはできない」と、頻繁に各メンバー企業の加工現場を訪れ、綿密な打ち合わせを行う。

 また携帯を含む電話やメールによる連絡も緊密に行うことでお互いの距離の壁を乗り越える戦略をとっている。