製造/近畿 「ゼロエミッション型無電解ニッケルめっき液リサイクル装置の製造・販売」

無電解ニッケルメッキ液のリサイクル

 メッキ資材の製造販売を手掛けるムラタ(神戸市中央区)は、水処理関係装置メーカーの清和工業(大阪市大正区)と連携し、無電解ニッケルメッキ液リサイクル装置の開発を目指す。

 無電解メッキ方式はその工程上、メッキ液に分解した還元剤が蓄積してしまうため、電解メッキ方式のように液を再利用することができない。とりわけ精密機器部品に使用するメッキ液は高品質の製品を作る必要から頻繁に液を交換するため、廃棄処理コスト、環境負荷の高さが問題となっていた。

 同装置では次亜リン酸ニッケルを用いてメッキを行う。メッキ液に消石灰を投入、反応させて亜リン酸カルシウムを抽出し、残った液に次亜リン酸などを加えることで再利用が可能となる。廃液処理のコストを削減し、環境への悪影響も防ぐことができる。

 ムラタは経済産業省などの補助を受け、この技術を05年度に確立していたが、設備製造能力を持っていなかったため製品化には至っていなかった。そこで水処理技術、粉体技術のノウハウを持つ装置メーカーである清和工業と連携することでこの問題が解決した。

(株)ムラタ


会社名
役割分担
■コア企業
(株)ムラタ
リサイクル技術のとりまとめ、装置の販売、技術面、人的資源および設備
清和工業(株)装置制作、メンテナンス



(株)ムラタ 加藤和彦社長<br>「リサイクル装置の開発を通して効率的なエネルギー活用を促進し、環境負荷を減らしていきたいと考えています」

(株)ムラタ 加藤和彦社長
「リサイクル装置の開発を通して効率的なエネルギー活用を促進し、環境負荷を減らしていきたいと考えています」

【メッキのマイナスイメージを一掃】

 「リサイクル装置開発の目的は利益ではなく技術の確立。環境負荷を減らすことで社会全体が良くなっていけばと考えている」(ムラタ加藤和彦社長)。

 コア企業のムラタはメッキ前処理剤、銅メッキ液、ニッケルメッキ液、メッキ後処理剤の製造などを手掛けるメッキ処理剤メーカー。環境問題への意識も高く、有害な六価クロムを含有しない三価クロム化成処理剤などを製造・販売しているほか、環境管理・監査の国際規格である「ISO14001」の認証も取得している。

 メッキ業界ではコスト高と環境負荷という二つの要因から、無電解メッキ方式における廃液処理の問題が長年の課題であった。ムラタはメッキ液を取り扱う関係上「メッキの環境負荷に対するマイナスイメージを何とかしたい(同)」と考え、リサイクル装置の開発に着手した。

 メッキ液には次亜リン酸ニッケルを採用。98年度に東京都の補助を受けて研究をスタートし、05年度に試作機を完成させた。


【製品化へのハードル】

 リサイクル装置の開発を終えたムラタの次なる課題は製品化だった。同社は装置の製造ラインを持っていなかったため、ノウハウを持つ企業の協力が必要不可欠。これまでにない新技術であることもあり、パートナー選びは難航したが、兵庫県立大学から水処理関係装置と粉体装置の製造で高い実績を持つ清和工業を紹介され、連携が決まった。

 連携にあたっては、事業の目的が環境負荷の低減など社会貢献性の高いものであること、公的な補助を受けられることなどから中小企業基盤整備機構の新連携事業の認定計画に応募し、認定を受けている。

 新連携事業のシステムについては「2年間の期間後にデモ機の製作費をいただける使いやすい制度で助かっている。コーディネーターの指導も親切でありがたかった」(同)と語る。

 現在、同社が保有する試作器の処理能力は100リットルクラス対応だが、製品化に当たっては2,000リットルクラス対応のリサイクルを実現する必要がある。手狭な工場内に配置する必要もあるため、装置の高機能化、小型化が必須の課題だ。

 清和工業との連携については「液と粉体を両方扱える装置メーカーは少ないため、非常にありがたい」(同)と語る。お互いの不足点を補完し合う形で連携しているため開発は順調に進んでいるようだ。

 両社は現在設計を詰めており、6月にもデモ機を完成させる。7月から3カ月程度試験を行った上で11月にも1号機をメッキ業者のフジコーに納入する予定だ。価格は一千数百万円程度になる見通し。

 また販売後は「こまめなアフターサービスを行えるよう」(同)近畿圏を中心に販売を進めていく方針だ。2012年度までに国内で約100台の販売を計画している。将来は欧州、米国、アジアなど海外での販売展開も視野に入れている。