製造/中国 「トラバースガイド機能と樹脂素材に応じた刃物を組み合わせた樹脂用チップ化設備の製造・販売」

刃物の摩耗抑え、生産効率化に貢献

 プラスチック製品の原料となるチップ状の樹脂素材を切断する設備では、連続運転による刃物の摩耗が課題となる。交換頻度が多いと生産性が落ち、樹脂素材の無駄が多くなる。刃物の交換頻度を減らすことは、生産性の向上には不可欠となっている。

 機械、プラントメーカーの徳機は、流れ込む樹脂を左右にスライドさせる「トラバースガイド」という機構を、樹脂用チップ化設備に取り付けることを考案。これにより刃物の摩耗部分を均一化し、結果として刃物寿命を延ばすことを可能にした。
 そして同社に加え、鋼板工業が各種樹脂素材に適した硬度および材質の刃物を供給。樹脂原料製造会社でもあるイチキンが両者の組み合わせを検証し、販路開拓の手助けをするという役割を担う。

 現在、国内市場は海外製品が高いシェアを握っている。新連携計画の認定をきっかけに、この装置の知名度向上を図り、普及への足がかりにしたい考え。5年後には年間売り上げ15億円という目標を掲げている。

徳機(株)


会社名
役割分担
■コア企業
徳機(株)
設備の製造販売
鋼板工業(株)刃物製造
(株)イチキン各種データ還元



徳機(株)<br>岡田幹矢社長

徳機(株)
岡田幹矢社長

【小回りの利く展開で海外メーカーに対抗】

 山口県周南市に本社を置く徳機を核とするグループが提案した「トラバースガイド機能を持つ樹脂用チップ化設備の製造、販売」を目指すプロジェクトは2005年7月、中国経済産業局から新連携計画の第1号として認定された。

 徳機は船舶用タンクなどの圧力容器や各種プラントの製造事業者。トラバースガイド機能を組み合わせた樹脂用チップ化設備は、同社の新事業分野である「エコ事業部」が製造、販売を行っている。岡田幹矢社長は「当社のいくつかの事業の柱が古くなっており、建て替えたいと思っていた」と、新規事業への期待を語る。

 プロジェクトのメンバー3社は周南地域の企業でつくる「周南新商品創造プラザ」という交流組織で出会った。大手企業と中小企業が垣根をなくし、地場産業の振興を目指そうというこの組織は2004年11月に発足。徳機が保有していた独自技術を生かすために、3社が協力関係を結んだ。
 もともとこの技術は徳機が開発したものではなく、現在同社のエコ事業部長を務める中村光男氏が勤務していた会社が保有していた。この会社が2001年に倒産した際、事業の将来性を見込んで徳機がスタッフとともに技術を引き継いだ。

 トラバースガイドを備えた樹脂用チップ化設備は、当時すでに複数の納入実績を持っていた。だが販売体制などに問題があり、安定的な収益を上げる事業に育てることができなかった。徳機が事業を引き継いだ後も状況が大きく変化することはなかったが、品質向上のための試行錯誤は続けていた。
 さらに2社のノウハウが加わったことで「当初のトラバースガイド付き設備の刃物寿命は一般的なガイドを使うのに比べて2倍程度だったが、現在では従来の4倍に延びた」(中村部長)という。


【知名度向上が普及のカギ】

 現在、国内市場はドイツ製などの海外製品が高いシェアを握っている。同社の商品は「価格面、性能面で他社製品に劣っていないという評価を得ている」(同)ものの、「"国内にメーカーがあるとは知らなかった""なぜ徳機が?"というユーザーさえいる」(同)のが現状だ。
 それでも「"海外メーカーでは小回りが利かない"という不満をお客さまも持っている。ビジネスチャンスはある」(岡田社長)と、普及に自信を見せる。

 新連携認定により「マスコミなどを通じて全国区にPRできるのは大きなメリット」(同)だ。今回得た補助金は、知名度向上のため広告宣伝費として使うことも検討している。同時に社内外の販売体制を整え、先行する製品を急追する構えだ。