バイオ/九州 「食品・医薬品検査における最先端DNA鑑定サービスの事業化」

DNA分析で異物混入の原因を解明

 食品や医薬品への毛髪など異物の混入問題は、商品のイメージダウンだけでなく企業の存続にかかわる。ビジョンバイオをコアとする連携事業は異物混入の再発を防ぐため、混入物をDNA分析し異物を特定、いつどこで混入したのか原因を明らかにする。

 もちろん製造会社は異物混入を未然に防ぐ努力を重ねている。ただ生産、加工、流通、販売のどこかの過程で異物が誤って入ることもあるのが現状だ。本来なら再発防止のため「いつ、どこで、何が混入したのか」原因を究明する必要がある。だが製造に携わる多数の人、多くの過程の中からその答えを突き止めるのは容易でない。

 そこで、ビジョンバイオが独自の分析方法で混入物のデオキシリボ核酸(DNA)を鑑定し、異物を特定する。事前に従業員の遺伝子情報をデータベース(DB)化したものと分析情報を照合し異物や所有者を特定する。こうして混入時間や場所をはっきりさせ、混入の原因を解明する。

 営業や販促業務はDNAによる親子鑑定で数多くの実績がある日本ジェノミクスが担う。日本ジェノミクスはヒトDNA鑑定で培った法的対応力も持ち合わせている企業だ。

 食品や医薬品に使う原料は海外で生産されることが多い。同事業は個人識別のほか、海外での異物か国内の生産途中で入ったものか識別できるため企業防衛の意味を持つ。

ビジョンバイオ(株)


会社名
役割分担
■コア企業
ビジョンバイオ(株)
研究開発および検査業務
日本ジェノミクス(株)マーケティングおよび営業



ビジョンバイオ(株) 塚脇 博夫社長<br>「オリジナル技術で消費者と供給側、双方の食の安心・安全を守り続けていきたいと思っています」

ビジョンバイオ(株) 塚脇 博夫社長
「オリジナル技術で消費者と供給側、双方の食の安心・安全を守り続けていきたいと思っています」

【豊富な分析実績】

 ビジョンバイオは食品のDNA分析事業を展開する。02年にコメの品種判別から始めた同事業は豚や牛などの食肉、果物など対象分野を広げてきた。コメにいたっては全国の400を超える品種に対応しており「全国の作付面積の95パーセントに上る」(塚脇博夫社長)。

 主要分析先は農林水産省や農業協同組合、全国の自治体、コメ卸売業者など幅広い。塚脇社長は「食品のDNA分析を手掛ける企業は国内で数社だけ。対象分野の広さでは、わが社が1番多いのでは」と自信をのぞかせる。ニッチな市場とはいえ、関係企業からのニーズは高い。

 一方、日本ジェノミクスは02年に設立。DNAの親子鑑定は裁判所から委託を受け、これまで1,200件近くの検査実績がある。連携事業ではDNA情報のDB化を想定しているため、同社が培った情報管理ノウハウが重要になる。ビジョンバイオが持つDNA分析技術と日本ジェノミクスのマーケティング力をうまく融合した格好だ。

 05年の新連携認定後、医薬品メーカーや食品メーカーへの試験を重ね06年にはいったん、事業化を果たした。ただ個人情報保護の考えから従業員のDNA情報を集めることに抵抗を覚える企業もある。

 そのため異物を特定したあとに混入の可能性が高い従業員を対象に情報を提供してもらうなど事業内容の改善を進めている。また皮膚などからDNA分析できるよう、技術開発に力を入れている。


【オリジナル技術で社会貢献】

 塚脇社長は大学卒業後、菓子メーカーに就職し食品の現場も経験した。その後、環境アセスメントの広がりから生態系調査などを手掛ける会社へと異動。「大学の時から会社を起こそうと思っていた」との言葉通り10年前に独立を果たした。

 環境調査会社を自宅兼オフィスでたった1人で立ち上げ、そして雪印の偽装事件の時期に食品関連事業に進出した。

 現在、食品のDNA分析事業のほかノロウイルスを対象にした殺菌・抗菌製品の効果検証サービスなどを手がける。また、コメの品種判別事業では検査システムをキット化して食品メーカーなどに売り出した。その背景には「オリジナル技術で社会貢献する」(同)との塚脇社長の強い信念がある。

 07年は食品の不正表示問題が各地で表面化。同社には小売業者などから肉種の判別検査依頼が一気に舞い込んだという。

 食の安全神話が崩れた今、消費者の目は日に日に厳しさを増してきた。そんな時代だからこそ、企業は消費者が抱く「原因は何なのか?」との問いに対して、迅速な対応を求められる。連携事業は消費者と供給側、双方の「食の安心・安全を守り続ける」(同)ことにつながりそうだ。