製造/東北 「新チタン合金による機能性メガネフレーム等の素材」

自動車部品、医療分野への応用狙う

 軽量で高強度といった優れた特徴を持つ新素材の新チタン合金。日本素材が東北大学金属材料研究所と共同開発したもので、新連携事業のコア企業である同社は、その製造技術を持つ。

 連携相手は素材線引き加工業者の馬渡。鍛造、圧延、線引きなどの製造工程を行う。同事業では新チタン合金を用いた素材を、まずは眼鏡メーカーへ提供する。

 新チタン合金は、眼鏡フレームに使われている従来のチタン合金に比べ、2倍のしなやかさがある。さらにニッケルを含まないことから、金属アレルギーを持ったユーザーでも着用することができる。また、加工しやすいのでデザイン眼鏡の製造に向いているという。

 最近の眼鏡市場は、中国製の安価な眼鏡が多いが、このような付加価値を付けることで高級眼鏡フレームを製造するメーカーをターゲットにしている。

 今後は眼鏡フレームのほかにも自動車部品、医療分野など、さまざまな分野への応用を見込んでいる。

日本素材(株)


会社名
役割分担
■コア企業
日本素材(株)
新チタン合金製造技術
(株)馬渡線引加工



日本素材(株)<br>八島芳信社長

日本素材(株)
八島芳信社長

【新チタン合金の用途を拡大】

 日本素材は1992年の設立当初から、東北大学金属材料研究所と新材料などの共同開発を行っている。2005年3月には、加工しやすい、しなやか、ニッケルを含んでいないなどの特徴を持った新材料「新チタン合金」を開発した。

 同社は新チタン合金を使っていろいろな製品を世に送り出そうと、素材の線引き加工業者である馬渡と2005年10月から新連携事業を始めた。両社は以前にも、日本素材の金属材料を使った医療機器や耐震補強材などを共同開発したことがある。そのため、今回の新連携事業を行うにあたっては「特に約束事はつくらなかった」(日本素材の八島芳信社長)という。

 新連携事業では新チタン合金の用途として、眼鏡フレーム用素材の開発に取り組んでいる。素材はニッケルを含んでいないために肌に優しく、複雑な形に加工できて、どんなデザインにも対応できることから、眼鏡のユーザーおよびメーカーの双方にメリットがある。

  開発段階で最も苦慮したのが資金調達。大学などの研究機関と違い、試作した素材を量産していかなければならず、膨大な資金が必要となってくる。それについて八島社長は「われわれ中小企業にとって、(万が一失敗した時の)リスクは大きい」と語る。そこで大きな助けとなったのが、新連携認定によって得られる補助金だ。それを量産・試作費に充てることで大量生産が可能になった。


【2006年春に、まず眼鏡から】

 また、製造にあたっては、材料を均一に溶かすために、鍛造や圧延といった加工工程での材料混合比率が重要となる。両社は最適な加工条件を模索してきたが、それもようやく定まりつつあり、現在はその条件を評価している最中だ。

 2006年春ごろには、新チタン合金を素材として用いた眼鏡を、眼鏡メーカーを通じて発売する予定。金属アレルギーを持つユーザーでも着用でき、しなやかで軽いなどの付加価値を付けることで、高級眼鏡フレームとして販売していく。
 同事業での初年度の売り上げ目標は、2006年度途中からの市場投入ということもあり、約3000万円としているが、2007年度には2倍の6000万円に持っていきたい考えだ。

 新チタン合金は眼鏡フレームのほかにも、医療器具や検査機といった医療分野から引き合いがある。八島社長は「自動車部品をはじめ、さまざまな分野へ応用できる」と、用途の広さを強調する。それらの分野へ進出するためにも、まずは眼鏡フレームで実績をつくり、新チタン合金の知名度アップにつなげていく構えだ。