サービス/中部・北陸 「ブロードバンドネットワークを活用したリアルタイム婚礼エンドロール映像等提供事業」

結婚式の写真を披露宴のエンドロールに

 結婚式と披露宴冒頭で撮影した写真を、披露宴が終了する30分前までに映画の最後に流れるエンドロールのような映像に制作し、宴会の最後に上映する。

 以前から結婚式に伴うコンテンツ制作サービス事業は数多くあった。しかし多くは制作期間が1週間以上かかり、出席者が会場で目にすることはできなかった。これに対し同社のサービスなら式場で映像を上映できるのが特徴。

 しかも映像は結婚式と披露宴を一連のドラマと考え、ドラマの各シーンと出演者を紹介する構成となっており、宴会は大いに盛り上がるという。

 コア企業のアドホックはブロードバンドネットワークを介したコンテンツの即時制作を担当。連携先のクライムキューブは写真撮影など結婚式場での作業や結婚式場への営業を受け持った。

 サービスの仕組みはこうだ。まず結婚式場に専用端末を設置し、インターネットに接続する。クライムキューブのスタッフがデジタルカメラで撮影した写真を、専用端末を通じてアドホックの本社に転送。それをアドホックのスタッフがエンドロール映像を制作して送り返す。映像は結婚式場の専用端末でDVD化して、式場で上映する。

 アドホックが映像の制作を一括して行うため作業の効率化、コスト削減が可能で、料金を4万-5万円と低価格に設定した。現在、約40の結婚式場と契約を結んでサービスを提供している。

(株)アドホック


会社名
役割分担
■コア企業
(株)アドホック
システム開発、コンテンツ制作技術
(株)クライムキューブ付加サービスの企画・展開、式場などへの営業開拓
(有)クライム結婚式場での映像提供ノウハウ(撮影、カメラマンの教育)



(株)アドホック 藤井則次社長<br>「最初から役割分担を明確にしたのが成功でした。急激な受注増にも事業は非常に円滑に回っています」

(株)アドホック 藤井則次社長
「最初から役割分担を明確にしたのが成功でした。急激な受注増にも事業は非常に円滑に回っています」

【役割分担の明確化が成功のポイント】

 アドホックは企業展示施設や文化施設、教育施設向け映像システムやホームページ(HP)、携帯コンテンツなどの企画、制作を手掛けている。一方、クライムキューブはブライダル関連業界に特化 した映像制作サービスを提供していた。

 両社が出会ったのは03年、中小企業庁の「中小商業ビジネスモデル支援事業」に申請するための調査事業に参加した時だった。

 「ブロードバンドを使った映像サービス事業を展開したい」と考える藤井則次・アドホック社長と、「ブライダル映像制作サービスを素早く安価に提供したい」と考える泉野民比古・クライムキューブ社長の思惑が一致した。しかし同調査事業では審査段階で惜しくも選考漏れとなった。

 残念な結果とはなったが、着眼点の良さと事業の新規性に目を付けた中小企業庁の担当者に新連携への申請を勧められ、新たな一歩を踏み出した。ブライダル市場の調査や個人情報の取り扱い方といった事業の詳細な詰めを行って、新連携事業に申請したところ、06年2月に認定を受けることに成功した。

 新連携の認定を受けてからは、それが弾みとなって受注件数は2倍以上に跳ね上がった。05年の受注件数は1,150件だったが、06年は2,800件。07年はさらに急増し6,000件を見込んでいる。

 受注が急激に増えても、滞りなく仕事をこなせているのは「二人三脚で連携するとはいえ、最初から役割分担を明確にしたのが良かった。非常に事業がスムーズに回っている」と藤井社長は強調する。


【婚礼に続いて葬祭に進出】

 現在、アドホックとクライムキューブは、婚礼のエンドロール映像事業を順調に拡大しているが、一つ問題が浮上している。それは結婚式は春と秋に集中するため、仕事量の波が激しいことだ。

 06年実績で見ると、最も多い10月の440件に対し、最も少ない8月は70件だった。このためアドホックではピーク対応の人員を確保するため、人材派遣の子会社を設立したほどだ。

 この子会社によって人員は確保できたが、質の高い映像を素早く制作するには技術とノウハウの蓄積が欠かせない。そこで、映像制作をより多く経験させ、人材を育成するためにも、通年で安定した仕事量を確保する必要がある。

 そこから考え出されたのが葬祭のエンドロール映像サービスだ。故人の生前の写真や当日の式の写真などをエンドロール映像として制作し、葬儀場で上映する。

 結婚式が春と秋に集中するのに対し、葬儀は夏と冬に多い。そのため葬儀エンドロールを婚礼エンドロール並みに受注できるようになれば、「仕事の波を平準化することができ、人員配置の面などからも事業運営がやりやすくなる」と藤井社長は期待する。これが実現できれば、事業の安定化と飛躍が可能となる。