製造/関東 「どんな形状でも完全洗浄できる洗浄装置」

レーザーによる表面洗浄装置「イレーザ」の開発

 金属、樹脂部品に付着した表面の汚れを簡単にはく離できるレーザークリーニングシステム「イレーザ」の開発を行う。部品などの製造現場では、使用済み金型の洗浄が煩わしい作業となっている。特に、形状が複雑な金型や部品などの場合、細かい部分に付着した汚れの除去は、手作業に頼らざるを得ないのが実情。同装置はこの作業をロボットとCADによるティーチングシステムにより自動化し、短時間で完全に汚れを除去する。

 東成エレクトロビームがレーザー照射技術を、またクリスタル光学がレーザーを均一化して線状に照射するレンズをそれぞれ担当。レーザ・ネットがこれらを制御する光学系の開発を担当し、佐賀工業が最終的な組み立てを行う。植田機械が販売する。

 すでに機械金属産業と半導体装置産業から引き合いが寄せられ、装置の洗浄効果の実証を終えている。05年度内に試作を完了し、06年度に販売を始める予定。売り上げは06年度1億5000万円、07年度3億3000万円を見込んでいる。

東成エレクトロビーム(株)


会社名
役割分担
■コア企業
東成エレクトロビーム(株)
レザー・電子ビーム技術
(株)クリスタル光学レンズ開発
佐賀工業(株)装置開発/製造
レーザ・ネット企画/設計



東成エレクトロビーム(株)<br>上野保社長

東成エレクトロビーム(株)
上野保社長

【ゴム部品用金型の清掃効率化へ集結】

 東成エレクトロビーム(東京都西多摩郡瑞穂町)は1977年の創業以来、電子ビーム溶接機とレーザー加工機による部品・金型の試作を手掛けてきた。航空宇宙用部品製造の認定を受ける高い技術力と、高エネルギー加工機分野では群を抜く設備力が同社の強みだ。

 同社の上野保社長は、中小企業として独自性を維持して競争力をつけるためには「技術提携、異業種交流などを通じて信頼性の高い技術力を構築することが肝要」と考え、以前から異分野企業との連携に戦略的に取り組んできた。

 機械加工、ウオータージェット加工、治具製作、熱処理など異分野で高い技術を持つ企業と受注ネットワークを構築した。最初は東京・多摩地域の近隣企業に限定していたものの、変化するニーズに的確に対応するため、現在では全国規模に拡大している。ネットワークの中核を担う東成にはさまざまな情報が入ってくる。ある時、ゴム部品用金型の清掃作業を効率化する装置を開発できないかとの話が持ち込まれた。

 上野社長は技術者らと検討し、自社のレーザー加工技術と他社の技術を組み合わせることで、複雑な形状にも自動で対応するうえ、メンテナンスが容易な洗浄装置をつくれると判断した。同装置は金属だけでなく樹脂にも対応できるので金型、部品などの洗浄で幅広いニーズが見込まれる。2年間の売り上げ計画も立てた。製品をスムーズに市場に送り出すため、「新連携」支援事業の活用を決めた。


【専門会社の出資比率で利益配分へ】

異業種との連携の一番のメリットは、との問いに上野社長は「企業体質の強化」と答える。創業以来、試作加工に特化してきた東成にとって、製品の設計・開発は大きな目標だ。それが連携による経営資源の相互補完で実現する。営業面でも「加工受託と製品販売は進め方が全く違う」(上野社長)ため、マーケティングや製品営業の人材確保など、メーカーとしての体制づくりに着手する好機となった。

 また、連携することで他社の経営姿勢や業務の進め方を詳しく知ることとなり、相互にいい刺激になっているというさらに新連携は「対外信用力の向上」にも役立っている。顧客との信頼関係が強まるほか、金融機関からの融資が受けやすくなり、資金調達に有利だ。

 一方、デメリットは「コア企業の事務経費の増大」だ。しかし、これは事業を計画通り進め、利益を出すことで吸収できる。問題となるのは利益配分の方法だ。上野社長は解決案として「専門会社の設立」を挙げる。出資比率で利益配分を明確にするという。新連携認定、製品の共同開発、事業化に続く「次のステップ」と考えている。これにより「『新連携』は高い技術を持った中小企業同士がさらに活躍できる場となる」と上野社長は説明する。