製造/近畿 「軽量・低メンテナンス、耐重量の特徴を持った屋上緑化システム『オアシス』の事業展開」

屋上緑化システムの問題点を解決

 金森化学工業がコア企業となって事業化した屋上緑化システム「オアシス」の納入実績が増えつつある。屋上緑化は都市のヒートアイランド現象の緩和に貢献するとあって、01年に東京都が条例で義務化して以来、国や自治体で推進の動きが強まっている。

 多種多様な技術、工法が考案されており、施工単価にもかなり幅がある。当然、一長一短があり失敗事例も数多い。まだまだ技術的に確立したとは言いがたいようだ。

 「オアシス」は比較的上級の顧客を対象にしている。工法は天然芝を用いた「薄層型緑化システム」に分類される。まず既存の屋上防水の上にレンガを積み、金森化学の壁材「スマートフォーム」を導水パネル用に改良したものと不織布を敷く。

 さらに金森化学が共同開発したハニカム構造体を設置し、無機系の土壌材を敷き詰め、最後に高麗芝を張る仕組み。土壌材は2層で低層に廃ガラス発泡材、上層にはゼオライトとバーライトとの混合材を採用した。

 軽量で断熱性が高いことに加え、人が運動しても大丈夫な踏圧構造を確保し、メンテナンスを低減させた。セダムやコケの緑化システムでは踏むと枯れる恐れがある。また天然芝タイプも、踏むと土壌が流動して植栽に不具合が生じかねない。

 さらに優位性があるのは、メンテナンス面。土壌材にアルカリ性の材料を使用しており、植物の繁茂を適当に抑制でき、成長による植え替えや土壌の経年変化を抑えた。成長期のみ、散水を行うだけで、芝刈りもひと月に2回程度で済むという。これらの優位性を打ち出し、病院や有料老人ホーム、ハイグレードな都市型マンションなどへの提案を強めている。

金森化学工業(株)


会社名
役割分担
■コア企業
金森化学工業(株)
プロジェクト管理
(株)ベストエンジニアリング設置工事指導
(株)C&E技術研究所技術開発・コンサルタント



金森化学工業(株) 金森俊晴社長<br>「他社の商品を超えられるよう、じっくり時間をかけて練り上げた商品です。高価でも良さは認めてもらえています」

金森化学工業(株) 金森俊晴社長
「他社の商品を超えられるよう、じっくり時間をかけて練り上げた商品です。高価でも良さは認めてもらえています」

【5年半かけて完成へ】

 コア企業の金森化学工業は、プラスチックの押し出し成形品メーカー。土木資材、建材などの異形・大型品が得意で、ゼネコンや大手建材メーカーなどとの取引が多かった。「オアシス」の開発も、あるゼネコンが屋上緑化の導入を検討していると聞いたことがきっかけだ。同じ都市緑化の研究会に参加していたC&E技術研究所、ベストエンジニアリングと共同開発に着手。5年半の歳月をかけて開発を完了し、06年11月に「新連携」の認定を得た。

 ひと口に屋上緑化といっても建築、造園、環境など広範な知見が必要。植物と土壌に関するノウハウも求められる。よって、この3社のほかゼネコンや土壌材メーカーなど広く協力を仰いだ。さらには神戸大学農学部の指導も受け、産学連携で完成させた。

 屋上緑化はまだ新しい技術なので、失敗例も多い。土壌が豊かだと植栽が成長すると重量が増し建物の負担が大きくなる。また根は非常に強力なので建物の防水層が傷つくなどの問題もある。人が乗ると土壌が沈下したり植栽が枯れるなどの弊害もあるという。ましてや同社などが開発に着手した数年前はまだまだ手探り状態だった。

 金森化学は異形の押し出し品を得意としており自社技術を生かした新製品開発を模索していた。ただ後発なので「先発商品の不具合をきっちり解決しないと世の中のニーズに対応できない」(松本雅裕取締役企画部長)と、時間をかけて練り上げた。


【新連携≠フメリットをフル活用】

 そんな中で出会ったのが新連携の制度。05年末からブラッシングに半年以上かけ完成度を高めた。その経過を知る松本取締役は、「中小機構にここまで指導してもらえるのかと感心した」という。

 中小企業は優れた技術を持っていても販路を開拓できないケースが多い。細かい市場調査からマーケティング戦略までチェックされ、「いいものでも売れなければ意味がない、と厳しい指摘も受けた」(同)という。

 今回のテーマは経済産業省と国土交通省の共同認定第1号。建築関連の事業だから、との中小機構の判断だが、当の金森化学は「国土交通省は当初念頭になかったが、わずか20日ほどで受理してくれた」と驚いている。

 すでに開発は完了したが、初年度である今年度の実績は4件程度にとどまりそう。ただ実際に施工した有料老人ホームの事例では、植栽の上に車いすで行き来できるところが評価されたという。病院や老人ホームなどのニーズは確実にありそうだ。一平方メートル当たり工費こみで2万5000円からと高価な点がネックだが、「良さは認めてもらえる」と手応えはある。

 当初想定しなかった顧客層を含めて問い合わせは増えている。そこで金森化学だけで東京4人、大阪3人の営業担当者を配置し、教育を急ぎ早期に浸透させたい考えだ。