製造/近畿 「フィルターを使用しない新技術での高性能PM(浮遊微粒物質)捕集機の開発、製造・販売」

労働環境改善のために有効な製品

 工場内に浮遊する油煙やほこりなどが、労働者の健康を迫害している。そうしたなかビッグバンは工場内に飛び散るオイルミストや粉塵などPM(浮遊微粒物質)の捕集機「CYCLER(サイクラー)」を開発した。普及のため4社で連携体を構成し、新連携事業として認定を受け、活動している。

 「CYCLER」の特徴は粉塵などの捕集に水を用いる点だ。雨の降ったあとの空気は澄んでいるのと同様の原理で、水に空気中の粉塵などを吸着させ、空気中から取り除くというもの。

 同製品はさらに水だけでなく電気も用いて、2段階で粉塵を捕集する。まず水で大きなPMを集積し、次に電気集塵機で細かいPMを集積する。電気集塵機は高圧電流を流してPMをイオン分解し、吸着させる。

 2段階の捕集によって、より確実な捕集効果を出す。このような工夫が功を奏して、重量ベースで99.9987%と高い捕集効率を誇る。フィルターを使用しないため、目詰まりでの能力減退や交換の手間がない。

 アスベストの社会問題化など、労働環境改善への関心が年々高まっている。労働環境が劣悪だと優秀な人材が集まらず、企業としても対策を迫られているのが現状だ。大手企業を中心に同問題に取り組む企業は増加すると見られ、マーケットの拡大を見込んでいる。

(株)ビックバン


会社名
役割分担
■コア企業
(株)ビックバン
開発・製造
(有)今市製作所加工
浪田石油(株)販売
日昭住宅(株)販売



(株)ビックバン 小林敏樹社長<br>「性能などで妥協するのが嫌で、開発には約8年かかりました。だから製品には絶対的な自信を持っています」

(株)ビックバン 小林敏樹社長
「性能などで妥協するのが嫌で、開発には約8年かかりました。だから製品には絶対的な自信を持っています」

【きっかけはディーゼルの黒煙】

 もともと自動車整備工場を営んでいたビッグバンの小林敏樹社長が、ディーゼルエンジンの黒煙に関する報道を見て空気汚染の問題に関心を持ったのがきっかけで、開発を始めた。

 98年の開発当初から今市製作所(大阪府守口市)に材料の加工を依頼、付き合いが始まった。04年にビッグバンがマッチングフェアで試作品を展示し、それを気に入った浪田石油(大阪市中央区)が扱いたいと申し出た。日昭住宅(大阪市淀川区)とは05年の研修旅行を通じて知り合い、同社も製品の販売を希望した。

 板金加工を手掛ける今市製作所では、金属材料を切断したり折り曲げるなどの加工を行う。それを元にビッグバンで製品を開発する。日昭住宅と浪田石油は販売代理店として、販売や市場調査を担当する。

 現在は鍛造工場を中心に納品している。鍛造工場ではオイルミストなどの液体や粉塵などの固体が飛び交っている。液体と固体の同時捕集は難しく、業界全体で対策に困っていた。同製品は液体、固体、気体の同時捕集が可能なため、鍛造業界から注目を集めている。


【8年を費やした開発期間】

 07年6月に鍛造工場を営む岡田工業(名古屋市南区)に製品を納入。製品への自信を深め、量産に踏み切る決意を固めた。

 しかし現在の生産体制では不十分と判断し、07年8月に藤製作所(兵庫県稲美町)と共同で子会社、サイクラーエンジニアリング(大阪府守口市)を設立。年間約60台を生産できる体制を整えた。今後はビッグバンで製品部品を生産し、サイクラーエンジニアリングで組み立てを行う。

 同時期に販売代理店にも製品を売る許可を出し、本格販売に乗り出した。連携体以外にもジーアンドエム(東京都葛飾区)などの協力を得て、製品の普及を目指す。

 子会社設立以降、「CYCLER」の販売や製造にかかわる企業が集まって、月に1回の会議を行っている。情報交換が目的で、各販売代理店の推定売り上げや、製造が追いつくかなど話し合い、調整するためだ。コミュニケーションを密に取り、歩みをそろえている。

 今後は鍛造業界以外への普及や応用製品の開発でさらなるニーズに応えていく。例えば同製品に脱臭機能や工場のクリーンルームに対応したものも開発する計画。同製品に発電機を備え付け、車に乗せての移動を可能にし、工事現場などで使える捕集機の開発なども計画中だ。

 「性能などで妥協するのが嫌で、開発に約8年かかった。製品は自信を持って世に送り出せる」(小林社長)と次は製品を普及させる番だ。