製造/東北 「健康志向商品『インテリジェントカロリーカウンター』の事業化」

高精度計測が可能な3次元歩数計を商品化

 3軸加速度センサーと大気圧センサーの信号波形を分析することで、人間の行動パターンを3次元で判別。消費エネルギーを高精度で推定する携帯型の歩数計「インテリジェントカロリーカウンター」を開発、事業化する。

 従来タイプの2次元歩数計は運動の強さを把握できず、また階段の昇り降りなど上下方向の活動も検知できないため、日常生活の運動量の測定では測定値と実際値の誤差が大きくなる。

 「インテリジェントカロリーカウンター」では運動認識アルゴリズムに基づく「行動分析モジュール」を搭載、センサー情報を分析して歩行、走行、階段昇降など人間の行動パターンを判別する。呼気ガス分析装置を用いて構築した性別、年齢別、行動別のエネルギー消費量データベース(DB)により、日常生活の消費カロリーを高精度で算定できる。

 階段昇降の誤差率は10%以下(従来の歩数計では誤差率50%)、エレベーターによる昇降も判別する。運動強度(エネルギー消費率)や運動の種類(行動の種類)が分かるため、日常生活の運動の質的評価ができ、幅広い応用が見込める。

 これは文部科学省の「仙台地域知的クラスタ創成事業」(事業期間02−06年度)として、東北大学などとの産学官連携により開発に取り組んだ成果の一つで、当面、糖尿病患者ら生活習慣病患者の運動療法、生活習慣改善支援ツールとして販売する。

(株)アイ・ティ・リサーチ


会社名
役割分担
■コア企業
(株)アイ・ティ・リサーチ
研究開発・商品企画・販路開拓・回路設計・ファームウエア設計
(株)ピース電気金型設計・量産化エンジニアリング・生産体制確立
(株)ピー・ソフトハウスアプリケーションソフトウエア制作・画像処理



(株)アイ・ティ・リサーチ 川端荘平社長<br>「量産の準備段階で政府系金融機関の低利融資を利用できたのも新連携の大きなメリットです」

(株)アイ・ティ・リサーチ 川端荘平社長
「量産の準備段階で政府系金融機関の低利融資を利用できたのも新連携の大きなメリットです」

【機能を絞り一般向け商品を投入】

 高齢化社会の進行などに伴って糖尿病など生活習慣病や内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)の患者が増えている。これらの患者の運動療法ツール、生活習慣改善支援ツールとして、アイ・ティ・リサーチ(仙台市青葉区)では人間の行動パターンや消費エネルギーを高精度で把握する3次元歩数計「インテリジェントカロリーカウンター」の事業化を進めている。

 同社は00年9月に、光や電子の計測技術とセンサーや通信の情報技術を用いて新しい計測機器を事業化することを目的に設立。東北大学などの技術シーズを基に電子応用計測機器、光応用計測機器、3次元行動計測システムなどの開発に取り組んでいる。

 「インテリジェントカロリーカウンター」は、3次元行動計測システムの医療・福祉分野への応用製品として開発。これを商品化・事業化するため、06年2月に同社をコア企業にピース電気、ピー・ソフトハウスの3社で新連携の認定を取得した。

 コア企業のアイ・ティ・リサーチは、研究者向けの多機能な試作製品を糖尿病患者向けなどの一般向け商品として機能を絞った。さらに「小型・軽量化を図り、ベルトに装着して使用するだけでなく、胸ポケットに入れても測定できるようにリファインした」(川端荘平社長)という。

 ピース電気が量産タイプのデザイン設計、量産化のエンジニアリングを担当。ピー・ソフトハウスがデータ処理やコンピューターグラフィックス(CG)などパソコンの画像処理アプリケーションソフトウエアの開発を担当した。


【政府系金融機関の低利融資を活用】

 製品改良やソフト開発で新連携の補助金を活用、事業の契約など各段階で専門家のアドバイスを得た。販路として大手医療機器メーカーのニプロにOEM(相手先ブランド)供給することが決まり、10月から年1万台規模で量産。「量産の準備で政府系金融機関の低利融資を利用できたのも新連携の大きなメリット」(同)という。

 アイ・ティ・リサーチではニプロを通じて、当面、病院、検診センターなど医療機関向けで年1万台の販売を見込んでおり、将来的には健康保険組合、個人ユースなど一般向けも含め年2万台の販売を期待している。

 また、これをベースに「3D行動分析モジュール」を心臓病患者用ホルター心電計に組み込むモジュール販売へ展開する予定だ。さらに全地球測位システム(GPS)を組み込んだ路面調査用車載デバイス、大規模店の顧客動線調査システムへの応用、特許ライセンスや行動分析アルゴリズムの販売など知財販売も計画している。