建設/関東 「金属接合新工法『BPW工法』による鋼管配管量産システム及び規格モジュール配管の開発と販売」

IHを用いて接合

 配管工事で管と管をつなぐ作業は溶接で行うのがこれまでの常識。現場の状況に合わせて取り付けることが多く、高度な技術を持つ熟練技能者が必要だ。また溶接の火花が飛散することにより火災発生の危険性があるほか、作業者は紫外線遮へいメガネや防じんマスクが不可欠など、人体への影響も大きい。

 こうした課題に対し、99年から全国圧接業協同組合連合会(全圧連)を中心に開発を進めてきたのがBPW工法(ブレイブ・プレッシャー・ウエルディング=高周波ロウ付き圧接)だ。同工法は、接着機能を持つインサートメタル(鉄粉)を接合する配管の間に入れて圧力をかける。その際1,300℃の電磁誘導加熱(IH)コイルで加熱し、接着部分の鉄粉を溶かし接合する仕組みだ。

 これにより溶接技術を持たなくても機械の操作マニュアルに従えば、誰でも配管をつなぐことができるため、品質・工期が安定する。また高周波加熱を使用するので火災の危険が少なく作業環境にも優れる。何よりも07年問題に伴う配管溶接技術者の不足に対応でき、現在の溶接に取って代わる技術として期待される。

(株)ダイイチ


会社名
役割分担
■コア企業
(株)ダイイチ
新工法優先使用権保有、経営管理ノウハウ
三成冷熱工業(株)空調配管業界の営業基盤、空調配管技術提供
高周波熱錬(株)電機事業部高周波誘導加熱技術、高周波応用機器製造技術
(株)九州三協品質管理技術、作業マニュアル作成



(株)ダイイチ 坂下正衛社長<br>「BPW工法は業界の活性化のため、さまざまな会社が寄り添って生産できればいいと考えています」

(株)ダイイチ 坂下正衛社長
「BPW工法は業界の活性化のため、さまざまな会社が寄り添って生産できればいいと考えています」

【事業者同士の問題点を補い合う】

 鉄は1,539℃以上で溶けるが、約1,200℃の熱と一定の圧力を加えると、母材の原子同士が金属結合する。この性質を生かしたのがBPW工法。他の金属を使わないで接合できるので材料の連続性が保たれて強固な接合になる。この技術を配管に応用しようという発想から開発された。

 開発の契機は建設市場の縮小に伴う鉄筋ガス圧接業の売り上げ減だ。さらに配管溶接技能者が毎年減っていることも問題になっていた。そこで鉄筋ガス圧接業と配管業が連携し、お互いの問題点を補おうという思いからこの事業はスタートした。

 鉄筋と配管では相違点が多く、苦労も多かったという。たとえば、鉄同士を接合する時に圧力をかけると接合面が膨らんでしまう。鉄筋はそのままでもよいが、配管は中に流体を通して使用するものなので、膨らみがあると渦が発生し、流れが悪くなる。こうした難題をクリアして05年4月、日本建築センターの「施工技術審査証明」を取得した。

 次に持ち上がった課題が実用化。そこで新連携を活用することにした。ただ全圧連は事業協同組合なので認定が受けられない。そのため全圧連会員のダイイチが新工法優先使用権を譲り受けた。「業界の活性化のため、さまざまな会社が寄り添って生産できればいい」とコア企業の坂下正衛ダイイチ社長は語る。

 新連携ではこの「BPW工法」を利用して、鋼管配管量産システムを開発し、規格モジュール化配管の工場生産および販売を行う。建築鉄筋圧接業者としての圧接技術を持つコア企業と、建築空調配管工事業者との技術を中心とした連携体で、新方式の生産技術を産業用生産設備業者とともに開発し実用化する。

 現在、接合技術についてはほぼ完成し、製品化テストを継続している段階。07年中には実用化に踏み切る予定だ。


【肉厚鋼管に挑戦】

 最終的な課題は生産コスト。同工法による鋼管や配管は工場生産であるため、小口径の鋼管や配管の接合では、従来の現場でのガス圧接の方が作業が早く、結果的にコストも安い場合がある。現状では大型ビルやプラント再開発の空調など、大型の鋼管、配管を利用する工事現場に対応していくという。

 その一方で、需要が高いステンレスでこの工法を適用させる実験も行っている。99年からこの技術開発を支援している東京工業大学大学院の実験では、口径が細くて薄いものでの製造に成功した。今後はどれだけ厚みのあるものが製造できるか−。連携体の総力を挙げて挑戦し続ける。