製造/近畿 「動画可逆圧縮技術(FLC)を活かしたデジタル商品事業」

圧縮、拡大しても劣化しない画像処理技術
 
 テクノビジュアルがコア企業となっているグループは、動画可逆圧縮技術(FLC)を活かしたデジタル商品を06年に開発した。通常、画像ファイルは圧縮する際にデータを間引いて粗くするため、再度拡大すると輪郭がギザギザになってぼやけてしまう。しかし同技術は画像の圧縮率が高くても画像が崩れないのが特徴。そのためデータ容量も少なく転送が容易なため、映像記録装置や高画質カメラなどでの応用を進めている。

 また映像内の人物の顔などがはっきりとわかる特徴を活かし、セキュリティー市場などに売り込む考え。画面の奥まで鮮明に映る点が評価され、大手不動産会社や金融機関での採用が決定しているため、将来的には防犯対策のほか、製造業の生産管理や災害現場、医療現場での活用も考えられるほか、被災地の正確な現状の伝達や病気の早期発見にも期待できる。

 今後は交通事故の記録・検証や運転状況の管理が可能なドライブレコーダーの用途も見込む。個々の現場に合わせた小ロット生産・販売から始め、映像市場の広がりとともに量産する予定だ。

(株)テクノビジュアル


会社名
役割分担
■コア企業
(株)テクノビジュアル
動画可逆圧縮技術(FLC)、マーケティング、システム販売
中川電気工業(株)小ロット生産、設計支援、高画質カメラ開発
シークス(株)多ロット生産、海外販売



(株)テクノビジュアル 関根徳久社長<br>「新連携は企業同士のお見合いのようなもの。中小企業同社が事業を拡大し、より強い経営体制の基盤を作っていくのに最適な方法だと思います」

(株)テクノビジュアル 関根徳久社長
「新連携は企業同士のお見合いのようなもの。中小企業同社が事業を拡大し、より強い経営体制の基盤を作っていくのに最適な方法だと思います」

【小ロットから国際展開を見据える】

 テクノビジュアルは映像を鮮明に保つ動画可逆圧縮技術(FLC)を持つベンチャー企業。関根社長は「快適で安心・安全な社会づくりに貢献したい」と同技術の用途拡大に力を入れる。同社では画像処理ソフトウェア開発に力を入れているほか、画像処理のサービスやコンサルティング事業も行っている。同社の技術を最大限に活かすため、連携に乗り出した。

 同社は映像処理の技術は高いが、ハードウエアの製造能力がないため、電気機器メーカーを連携先として探した。最大の条件は小ロット生産。製品開発をしてもすぐに大量に販売できるわけではないため、1ケタの生産台数となる。最終的に選んだのが中川電気工業。月産100台からの生産が必要なメーカーが多かった中で、同社は1台からの生産を快諾した。所在地もテクノビジュアルから近く、理想的な連携先だったといえる。

 また将来の量産や海外への販売を見据え、一部上場企業の部品商社シークスも連携企業としてグループに加わっている。当面は中小企業2社による製造・販売を行うが、09年にはシークスが本格的に連携に参加する予定。同社の世界的な販売力を活用し、販路を拡大する。


【密接な関係づくりのきっかけに】

 「新連携の認定を目指すことは、企業同士のお見合いのようなもの」とテクノビジュアルの関根社長は話す。ベンチャー企業である同社が事業を拡大し、より強い経営体制づくりのきっかけとするために同施策を活用した。テクノビジュアルと中川電気工業は新連携を機に取引を開始し、事業展開のための関係をさらに密接にするため、07年8月に業務提携を結んだ。今後、本格的な製品の販売に乗り出す。

 同グループでは08年度−2010年度までの3年間で売り上げ30億円を見込む。小売店などでの小規模の防犯対策に加え、災害対策や鉄道などの交通機関での危機管理、製造現場での生産管理などの用途拡大を視野に入れている。

 ニーズの変化に応じて、新製品を毎年投入する予定でもあり、製品の試作・開発費用として新連携認定により得た補助金を充てる計画だ。さらに2015年以降には、電子広告や映像によるコミュニケーションなどのエンターテインメント分野への拡大も予測。長期的なビジネスプランを立てている。

 ベンチャー、中小企業による連携グループのため、課題は販路の確保。関根社長は「まずは導入実績を作ることが大切」と力説する。中小企業では大勢の営業担当者の確保は不可能であるため、導入実績によりユーザーから問い合わせがくる状況に持ち込みたい考えだ。大手不動産会社や金融機関での採用が決定したため、とくに同業のユーザーへの売り込みがしやすくなる見通しもついた。今後はさらに技術開発を進め、「常に製品を進化させていく」(関根社長)決意だ。