製造/関東 「ループウイング型風力発電機の開発と事業化」

風速1.6mで発電!

 ループウイングをコア企業にトータス、石川工業、府川電機工業、河童製作所の5社は、これまでの小型風力発電機の形状とは全く異なるループ状の羽根を設計し、「ループウイング型風力発電機」を開発した。球体を描くような両端支持型の羽根は立体的で、とてもユニークだ。
 
 通常の小型風力発電機は、回転時に発生する空気の渦による騒音が大きい。また振動や過回転により破損しやすいうえ、羽根を起動するための電力も必要だ。このため実用性が低く、小型風力発電に対する信頼は低い。
 
 これに対し、同社の羽根は先端がとがっていないため、空気の渦が発生せず騒音がない。低回転、高トルクのため風力のみで発電できる。毎秒風速1.6mの自然風でも高い発電実効性がある。設計寿命は20年。公園や自宅など身近な場所でも安全に使用可能だ。
 
 07年4月に発売。06年12月に海外版ホームページを開設したことで、発売前からロシアやスリランカなど海外からの問い合わせが殺到した。すでに日本、米国で特許を取得。今後、羽根の軽さをはじめとした特徴を生かして、直径168m、10MWの出力が可能な大型風力発電機や、ヘリコプターのプロペラ、船舶推進器への応用などを視野に入れて開発を進めていく。資本を増やすため上場も考えている。

ループウイング(株)


会社名
役割分担
■コア企業
ループウイング(株)
製品開発、特許管理、システム開発
(株)トータス発電機品質管理
(株)石川工業外注製造調節管理
府川電機工業制御装置開発
(株)河童製作所製造本体組み立て、品質管理



ループウイング(株)吉田穰社長<br>「良い技術を持っていても認められなかったら意味がありません。そこで連携することで製品化に向けて前進する道を選択しました」

ループウイング(株)吉田穰社長
「良い技術を持っていても認められなかったら意味がありません。そこで連携することで製品化に向けて前進する道を選択しました」

【小型風力発電の認知度をアップ】

 ループウイングはゼロから出発して基本技術を開発した。今までの小型風力発電機は性能が悪かったため、なかなか同社の製品を理解されなかった。吉田穰社長は「良い技術を持っていても認められなかったら意味がない。我々は工場を持てないため、連携することで製品化に向けて前進した。知名度が上がり信頼度が高まった」と新連携の利点を挙げる。
 
 応募のきっかけは「かながわビジネスオーディション2005」で神奈川県技術士会賞を受賞したことだ。これを契機に神奈川県中小企業団体中央会から申請を薦められた。以前勤めていた会社の知人が金型メーカーのトータス(神奈川県秦野市)に勤めていたため、連携企業を探すのに苦労はしなかった。トータスが主に羽根製作、発電機開発を石川工業が外注製造調整、加工部品品質管理、アルミ材加工、金属表面処理などを行う。府川電機工業は基盤設計、制御配線調整を担当。河童製作所が本体の組み立て、品質管理を行い、3つの会社の窓口の役割を果たしている。

【営業、広告も全社員で取り組む】

 吉田社長は連携企業に自ら赴き、現場で指示することもある。製品を世の中に広めたい思いが強く「どんなことでもやる」。ループウイングは営業や広告宣伝活動も全社員6人で行っている。
 
 吉田社長は現在の新連携のあり方について、「日本はまだまだ開発者に親切ではない」と言い切る。例えば実証実験には補助金を出すが、製品に使う型台や販売品に対して補助金を出さないという規定があるため、資金確保に苦労した。赤字分はポケットマネーや資本金でまかなったという。
 
 さらに正しく技術を評価する人材育成ができていないという。「大学は知識だけで、実際のモノづくりのプロセスまで教えてはくれない。また専門分野に細分化しすぎて全体的な視点をもたない偏った専門家を生み出している。よい技術もつぶされてしまう」と憤る。
さらに「必要なのは利権にとらわれず、リスクを負って開発者を支援することだ」という。

 同社は今後、上場を目指すだけではなく、海外にも積極的に営業をかけ、製品の良さを訴えることで日本の小型風力発電の認知度を高めていく方針だ。