製造/関東 「結露問題を解消し、エレベーター方式による連続搬送運転が可能となったオートエージングの事業化」

霜防止で自動連続運転を可能に

 企業組合ヒーバックシステムなど3者による連携体は、電子部品などを対象とした業界でも珍しいという自動連続式の低温・高温試験装置を完成した。従来のバッチ式装置とは異なり、生産ラインと接続して電子部品を流すことができる。このため生産性を大幅に向上でき、省人化が図れるのが特徴だ。

 開発した装置は電子部品を自動搬送し、マイナス40度Cまで設定できる低温室と、125度Cまで設定できる高温室を通過させる。出てきた時点で、電子部品に通電して正常に作動するかどうかを試験する。

連続式が難しかった理由は低温室にある。外気が入り込むと霜が発生し、それがトラブルの原因となり、生産ラインを止めてしまうおそれがあったからだ。開発装置は、低温室の投入口を二重扉にして順に開くようにした。一つ目の扉が開くと乾燥空気を噴射し外気侵入を防ぐ。それでも、ごく少量は外気が入ってしまう。そこで冷却コイルを2セット装備し、一定時間で切り替えて運転することで霜発生を防止した。こうした仕組みにより自動連続式を可能にした。試験納入したユーザーでは24時間運転で1カ月間、トラブルが起こっていないという。

 価格は処理能力などにより4,000万〜5,000万円を予定。まずは自動車用電子部品メーカーなどへ売り込んでいく。

企業組合ヒーバックシステム


会社名
役割分担
■コア企業
企業組合ヒーバックシステム
装置全体の設計
(株)セイトー社搬送装置の製造・装置全体の組み立て
吉田機械設計搬送装置の設計



企業組合ヒーバックシステム<br>三宅龍二郎代表理事<br>「自動連続式装置は口コミで広がって引き合いも増えています。一度、使ってもらえれば良さが分かると思います」

企業組合ヒーバックシステム
三宅龍二郎代表理事
「自動連続式装置は口コミで広がって引き合いも増えています。一度、使ってもらえれば良さが分かると思います」

【工場空調のコンサルタント集団だからできる】

 ヒーバックシステムは空調設備工事が主力。といっても住宅やオフィス向けに、ただ依頼された設備を代理店として据え付けるといった単純な仕事ではない。同社の主要取引先は工場だ。工場全体を恒温化したり、ランニングコストを削減したり、高温環境だった工場内の温度を下げたりと工場ごとに異なるニーズを受け、最適な環境を作り上げる。

 特殊な設備は使っていない。設備の使い方や場所などを工夫することで解決する。社員が機械機器設置工事のほか、電気工事や配管工事など幅広い資格を持っており、さまざまなニーズにワンストップで対応できるのが強みだ。三宅龍二郎代表理事は「工事屋というより工場空調のコンサルティング集団」と胸を張る。
 顧客からは「今までなかった企業」との評も受け、04年設立ながら、取引先は機械、鋳物メーカーなどの大手企業がずらりと並ぶ。しかも「高い確率でリピーターになってもらえる」(三宅代表理事)としている。

【新連携で知名度向上に期待】

 そんな同社には悩みを持つ工場から多くの相談が舞い込む。今回の自動連続式の低温・高温試験装置もそうした相談がきっかけだった。バッチ式を使っていた電子部品メーカーが生産性を上げるため「なんとかならないか」と訴えてきた。

 ヒーバックシステムは得意とする温度コントロールの技術を生かし、自動連続式装置の開発に着手。ただ装置に必要な搬送装置のノウハウがないため協力先を探した。その結果、搬送装置の設計を静岡県藤枝市の個人事業者に、そして搬送装置製造と装置全体の組み立てをセイトー社に、それぞれ受け持ってもらい完成した。「両者とも技術力があり安心して任せられた」(同)という。

 そうしたなか、この事業に着目した静岡県中小企業団体中央会が「新連携」を紹介。「中央会には申請書類の書き方など懇切丁寧に指導してもらい助かった」(同)という。新連携によって資金面はもちろんのこと、認定によって話題になり、信用度が高まるのも大きなメリットのようだ。

 事業展開はこれからが本番。試験納入先でトラブルなく稼働している状況を受け、同装置の評判が「口コミで広がって、引き合いも増えている。一度、使ってもらえれば良さが分かる」(同)と受注獲得に自信を見せる。5年後に年間30台受注するのが目標だ。
 さらに同装置によって、主力事業の工場空調設備の受注が増えることももくろむ。「当社が持っている空調に関する知識を広めたい」(同)と飛躍を期している。