環境/中部・北陸 「高温過熱蒸気による食品廃棄物炭化処理装置の製造販売事業」

従来の生ごみ処理の課題を解消

 実践環境研究所(JKK)は過熱蒸気発生装置を使った乾燥・炭化装置の拡販を狙う。過熱蒸気とは約90℃の水蒸気を加熱して100℃以上の高温にしたもので、空気に比べ熱容量が大きく、凝縮伝熱で一気に被処理物を加熱する方法。しかも、ほぼ無酸素の状態で処理するため燃焼が起きない。最近では過熱蒸気利用のオーブンレンジが人気を博するなど話題になっている。

 中小企業診断士であるJKKの水野久社長は、中小企業の「ISO14000」認証取得を支援するうち、自ら環境関連製品の開発、販売を始めた。そんな中、ティーエスエンジニアリングの小野達實社長に出会い、同氏が開発した過熱蒸気発生装置の販売企画を担うことになった。

 製品化に向け、多くの被処理物の乾燥・炭化実験を繰り返したところ、食品汚泥の乾燥や炭化はもちろん、銅線の絶縁体の被膜のはく離などにも利用できることを確認。ゴミの減量やリサイクルに役立つ装置として営業活動に着手した。一方、ティーエスエンジニアリングは目下、装置の性能アップための研究を継続中。その一つとして炭化物の質向上や超高温処理による活性炭製造の可能性を探っている。

 JKKは最終的に、同装置で作った炭化物を燃料にして、熱エネルギーを回収するバイオマス環境リサイクル事業を目指している。

(株)実践環境研究所


会社名
役割分担
■コア企業
(株)実践環境研究所
開発製品の用途別商品化企画・製作、販売ルートの開拓、サービス体制の構築
(有)ティーエスエンジニアリング過熱蒸気に関する研究開発、各種試験の実施、装置に関する設計



(株)実践環境研究所 水野 久社長<br>「助成金だけではなく、審査の過程で技術や事業内容をあらためて自ら整理できたことがよかったと思います」

(株)実践環境研究所 水野 久社長
「助成金だけではなく、審査の過程で技術や事業内容をあらためて自ら整理できたことがよかったと思います」

【高効率な過熱蒸気発生装置を開発】

 98年から独自に過熱蒸気発生装置の研究していたティーエスエンジニアリングの小野達實社長は、03年に特殊なパイプ電気ヒーターを使った過熱蒸気発生装置を開発した。これはボイラで発生させた90℃の蒸気を900-1,000℃のパイプに通すことで、700-800℃に高温化し、被処理物が入った炉内に供給する。

 パイプそのものが電気ヒーターになっているため、ガスバーナーで蒸気を加熱したり、ヒーターで温めたパイプに蒸気を通したりする従来の方式に比べて効率が高い。また常圧で過熱蒸気を発生させるため、低温から超高温まで、圧力による制約を受けずに温度をコントロールでき、爆発の心配もない。燃料コストや環境負荷、処理時間を抑え、装置の小型化と同時に、安全性にも優れた装置が完成した。

 この装置で野菜くずを炭化したところ、処理温度450℃、処理時間80分で、減量率は約95%を達成。また銅線の絶縁体の被膜は、処理温度500℃、処理時間90分ではく離し、銅線のみを取り出すことができた。

【企画力をつけて販路を開拓】

 連携のきっかけはJKKの山田昌明取締役が、小野社長を水野久社長に紹介したことだった。小野社長は個人でティーエスエンジニアリングを経営していたが、過熱蒸気発生装置の商品化と販売ルートの開拓を行うため、パートナーを必要としていた。開発した装置を世に売り出すにあたって小野社長は「コンサルティング経験が豊富で、企画力と人材ネットワークを持つ水野社長と組むことにした」という。

 JKKがコア企業となり、装置を用途別に商品化する企画を立案し、販売ルートを開拓、サービス体制を構築することになった。またティーエスエンジニアリングは連携企業として、過熱蒸気に関する研究開発や装置の設計、試作機による試験などを受け持った。

 水野社長は現在、食品廃棄物の処理に悩んでいる食品スーパーやコンビニエンスストア、ホテル、外食産業に対して営業活動を展開。さらに手術後に医療廃棄物が発生する病院、銅線を扱う家電などのリサイクル処理事業者など、さまざまな分野にもアプローチしている。すでに病院向けでは、煙を出さずに医療廃棄物を処理できるとして2台を受注。さらに大手スーパーが導入する食品廃棄物処理システムの中に組み入れる乾燥装置として2台成約した。

 水野社長は「アイデアが良くても総合力がないと売れない」と、製品化の難しさを口にする。「新連携」計画に認定されるまでには苦労も多かった。しかし「審査の過程で、技術や事業内容を自ら整理できた」とし、助成金だけにとどまらない、この制度の利点を強調している。