製造/関東 「環境調和型FE電子銃用空気絶縁高電圧電源の開発・販売」

技術と環境の調和を目指して

 フューテックスはユニオン電機と共同で、理化学機器や半導体製造装置メーカー向けに電界放出型(FE)電子銃用高電圧電源の開発を行っている。連携体ではフューテックスがコア企業となり、電子回路と機構の開発を担当。連携先のユニオン電機が専用の高圧トランスの開発を受け持つ。販売はフューテックスが行う。

 電子ビームは年々微細化が要求され、既存の電源では限界がきている。余分な電気信号であるリップルノイズや、加速電圧のわずかな変動が描画線幅の乱れを引き起こすためだ。同社がすでに完成させている加速電圧30キロボルトタイプでは、リップルノイズを2ppm(ppmは100万分の1)まで抑えることに成功。また長時間稼働させても微小放電が抑制され、加えて超高安定度(安定度25ppm/h)を実現させた。新連携事業では同50キロボルト・同1ppm以下・同5ppm/h以下の開発を目指す。

 電源の絶縁方式は独自に開発した空気絶縁方式を採用。現在は六フッ化硫黄(SF6)ガスを使用して絶縁するのが主流だ。しかしSF6は温暖化係数が二酸化炭素の2万4000倍と環境への負荷が大きく、代替物を模索してきた。そこで空気絶縁方式ではガスを使わずに、内部にある空気(大気圧)と一部に特殊シリコン固体モールドを使用して絶縁する。

 今後は同技術をコアに、電子ビームやイオンビームの応用装置の開発を予定。ナノテク関連の研究に特化している企業や大学との連携も視野に入れている。

フューテックス(株)


会社名
役割分担
■コア企業
フューテックス(株)
電子回路と機構の開発
(株)ユニオン電機専用の高圧トランスの開発



フューテックス(株)福田康成社長<br>「ユニオン電機のトランスと出会わなければ高電圧電源は完成しませんでした。大手企業にも負けない連携です」

フューテックス(株)福田康成社長
「ユニオン電機のトランスと出会わなければ高電圧電源は完成しませんでした。大手企業にも負けない連携です」

【難易度の高い技術と自社製品の開発に着手】

 フューテックスの福田康成社長は10年前に先代社長から事業を継承した。当時の同社は研究開発型企業ではなく、電子機器の組み立て・配線の受託事業を主力としていた。その後、業務拡大するため大手企業を相手に設計から最終的な調整試験まで、請け負い理化学機器や産業用装置を生産する事業に着手した。

 だが生産の過程で同社が独自に開発した技術の知的財産権の帰属先などの問題も多かった。そうした背景から自社製品の開発を決意。歴史の浅い企業が生き残るためには「難易度の高い技術に挑戦しなければ」(福田社長)と高付加価値のある電子・イオンビーム用の高電圧電源の開発事業に参入した。

 連携先であるユニオン電機の松澤社長と出会ったのもこの時期だった。高電圧電源の開発に当たり、心臓部である高圧の変圧器(トランス)の委託製造先を探すのは困難を極めた。トランスメーカー数社に試作を依頼したところ、ユニオン電機のトランスだけがリップルノイズを削減をできた。「ユニオン電機のトランスと出会わなければ、高電圧電源は完成しなかった」(同)と振り返る。

【大企業に負けない集合体になれる】

 福田社長は連携のメリットを「それぞれの中小企業がもつ独自の技術を結集できる。そうした技術をお互いに持ち寄ることで大手企業にも負けない集合体になれる」(同)としている。企業規模が小さくても、一つの技術に特化し強みとなるものを持っていれば大きな武器となる。また認定を受けたことで、業界以外の人や組織などからも注目され、同社の信頼性やブランドネームは確実にあがったという。

 一方で事業が進むにつれ課題も浮き彫りになってきた。補助金の申請は年度ごとに区切られており、計画書は年度末の3月までしか申請できない。そのため開発が年度をまたぐ計画でも、4月までそれ以降の申請を待たなければならず、開発のスピードは自然と遅くなる。製品を完成させ実際に販売までこぎつけるためには、ある程度の時間的ロスを覚悟しなければならないという。

 同社は08年度をめどに製品の完成を目指している。今後はプロトタイプの試作に取りかかり、高安定度化と低リップルノイズ化を目標値まで達成させる計画だ。今回の補助金で専用の計測設備・環境を整え、ノイズや安定度のデータ収集に取り組み、製品の信頼性を高めていく。またガスレスの絶縁方式により、環境に力を入れるメーカーからの潜在的なニーズにも対応する。 

 福田社長は新連携事業への意気込みを「国からの支援ということで大きな使命感を持ってやっている。成功事例に加わることで、後に続く企業の橋渡し役になれれば」と語り、中小企業のさらなる飛躍を願う。