製造/関東 「オンマシンタイプの超微細加工ツール測定装置の開発および生産・販売事業」

自社の「目」を量産化へ

 ジェイネット(埼玉県越谷市)は、治工具全般から加工機械にいたるまでの設計や製作を手掛ける企業。精密加工を得意とし、その精度を高めるための「目」の役割を担っているのが機上原点測定器「ジェイコア」だ。
 そして顧客からの要望を受け、新連携制度の活用により「一般向けジェイコア」の量産化を決めた。社名に込めた「日本中のネットワークを生かしていいものを作る」という理念が、まさに実現しようとしている。
 
 半導体や自動車部品の製造では加工するときに、その精度を正確に測定する装置が求められる。「ジェイコア」はマシニングセンターなどに取りつけ、高解像度電荷結合素子(CCD)カメラと高速画像処理技術で加工ツールの先端位置や摩耗の度合いなどを測定する。
 
 特徴は、非接触方式でマイクロメートル(マイクロは100万分の1)の10分の1レベルの測定ができ、加工機械の限界性能を引き出せる。もともと社内向けの機器だったこともあり、廉価で大量生産できる仕組みを作るために新連携制度を申請した。

 すでに基盤となる技術やノウハウは、ほぼ確立していたため、取り組みは「ジェイコア」の部品設計やソフトウェア開発などをメンバー企業と分担しながら進めることが中心となった。精密加工機器や自動車部品メーカーからの引き合いが予想され、長谷川浩幸社長は「ジェイコアの名前のように、日本の中核技術を支える目になってほしい」と期待を寄せる。

(株)ジェイネット


会社名
役割分担
■コア企業
(株)ジェイネット
「ジェイコア」の設計・開発
スフィアシステム(株)ソフトウェア開発(演算処理設計)
(株)後藤製作所機構部品設計
後藤電機(株)電源部分の製作
三洋マシン(株)市場開拓・販売



(株)ジェイネット 長谷川浩幸社長<br>「”世になければ作る”の精神でニーズに応えてきましたが、今までにないものを売るという難しさはありますね」

(株)ジェイネット 長谷川浩幸社長
「”世になければ作る”の精神でニーズに応えてきましたが、今までにないものを売るという難しさはありますね」

【大量生産に向けて連携を生かす】

 ジェイネットは「世になければ作る」の精神で、顧客のニーズに「1点モノ」の製品で応えてきた。「ジェイコア」も同様の測定機器がなかったことから独自に製作したものだ。社内で使っていたところ、それが同社を訪れていた顧客の目に留まり一般向けに販売することになった。

 しかしそれにはいくつか難題があったという。1つは「ジェイコア」に使用されているソフトウェアを標準的なプログラムに変える必要性だ。これには当然、アーキテクチャや内部処理を開発企業に公開することになり、機密情報の確保が併せて存在した。
 そして最も大きな問題は、同社が営業や販売機能を持っていないことだった。そのため中小企業基盤整備機構の新連携支援サブマネージャーの協力を得て新連携制度の活用を決意、開発が始まった。

 こうしたなか連携先企業を集めるためには、長谷川社長のこれまでの人脈が大いに役立った。後藤電機(千葉県柏市)とは以前から付き合いがあったこともあり、「ジェイコア」の電源部分の製作を依頼した。そしてスフィアシステム(東京都足立区)が、操作をしやすいようにユーザーインターフェースの機能を持つソフトウェアの設計を担当した。

 ソフトウェアの設計に関しては、演算処理など内部をすべて知ることになるため、かなりの信頼関係を築く必要があったが、長谷川社長は「高校時代の同級生が勤めていたことが委託の決め手になった」と話す。そして販売面については埼玉県産学官交流プラザで知り合った三洋マシン(埼玉県春日部市)が引き受けている。


【市場ニーズを見極める出張測定サービス】

 06年から本格的に新連携制度による事業がスタート。量産化への取り組みは着々と進んでおり、メンバー企業との協力も順調にきているという手応えをつかんでいるようだ。今後は販売がうまく軌道に乗るかどうかがポイントとなりそうで、長谷川社長も「今までにないものを売るという難しさがある」と話す。

 そこで同社では約40分のPR用のDVDを制作したり、三洋マシンの担当者と一緒に企業を訪問したりして「ジェイコア」を積極的にアピールしている。長谷川社長も営業活動で全国を奔走中だ。
 また出張測定サービスも実施し、これは「本当にジェイコアを必要としているかを見極められる費用」(長谷川社長)として、1回9万8000円で請け負っている。

 「ジェイコアを誰にでも扱えるいい機械」(同)にするために、多くの企業へ使い方や魅力を伝える営業活動に力を入れてきた。助成金はこのための経費としては使えなかったため制度を活用するうえでの課題として残ったようだ。それでもメリットのほうが大きく、長谷川社長も「わが社の信頼度が上がり、普段は勉強できないようなことを学ばせてもらった」と成果を強調する。

 今後は、加工機械メーカーに採用してもらうことを第一に据え、販売目標600台を目指してさらに販売網を拡大していきたい考えだ。新連携による取り組みにより「ジェイコア」は、今後は精密加工に欠かせない重要なツールとして幅広く認知されていきそうだ。