製造/関東 「導電ガラス電極を用いた発光装置の開発と事業化」

導電率の高い新素材

 電気比抵抗5オームセンチメートル(通常ガラスは1兆オームセンチメートル―10兆オームセンチメートル)の最も導電率の高い新素材「導電ガラス」を用いた各種電球、除電器、表示装置、金型などの開発、販売を目指す。導電ガラスを開発した東海産業がコア企業となり、放電加工技術を持つアートビーム、導電ガラスの開発・改良を行う近畿大学産業理工学部西田哲郎研究室が連携する。
 
 新素材「導電ガラス」は金属にかわる材料として、超微細加工性に優れている。通常ガラスは絶縁体だが、さび止めなどに使うバナジウム系酸化物と合成し、導電性を付与した。同新素材をガラス金型として使用すると今までの問題点であった静電気の蓄積(チャージアップ)による静電破壊が解消されイオンビームを使った切削加工が可能になった。

 これにより、(1)加工時間を銅加工の約50分の1以下に短縮、(2)表面研磨が容易で表面加工が可能、(3)材質自体がガラスなため金属電極では当然起こる摩耗、サビがなく、製品寿命が長い−といった特徴に加え、さらに(4)ガラスを溶かして再利用できる−など、材質を活かしたリサイクル特性により、環境に優しいという利点も持つ。

 連携体以外では4社が量産、研磨、販売、事業化の支援、3社が電球、電極、除電気共同開発を行っている。現在、製品開発が進むのは放電針。高電圧をかけて放電しイオンを発生させることが可能で、クーラーなどでのマイナスイオン発生装置に使われる。開発は耐久試験(ヒートラン)段階に入り、07年3月の製品化を目指して取り組んでいる。

(株)東海産業


会社名
役割分担
■コア企業
(株)東海産業
導電ガラスの供給・開発・統括
アートビーム(有)加工技術・製造技術
近畿大学産業理工学部西田哲明研究室導電ガラス開発・改良・試作(成分調整など)



(株)東海産業 真辺和美社長<br>「金型ガラスの取り組みは日本の産業にとって大事なものです。ゼロから始める部分も含めて自分たちで出来ることはすべて自分たちでやっています」

(株)東海産業 真辺和美社長
「金型ガラスの取り組みは日本の産業にとって大事なものです。ゼロから始める部分も含めて自分たちで出来ることはすべて自分たちでやっています」

【技術が人を結ぶ】

 東海産業をコア企業とする企業グループの結びつきは周囲の協力なくして成り立たなかった。導電ガラスの開発経費の助成金申請を中小企業基盤整備機構へ05年4月に行ったが、採用されなかった。書類選考、評価結果は高かったが、商品化への道筋が未定だったために選考から外れた。

 メーンバンクである多摩信用金庫から製品化への提携先を探す上で八王子の製造業・IT企業などの支援活動をおこなっているサイバーシルクロード八王子(東京都八王子市)を紹介される。これにより超精密放電加工での進出を目指していたアートビーム(東京都八王子市)との提携に至った。
 アートビームの荒井卓会長とは技術者同士、話が通じすぐに連携が決まった。「技術のわかる人じゃないと一緒にやれなかった」(真辺和美社長)という。

 加工、開発との連携体が完成され、あらためて新連携として申請し05年12月に事業認定を受ける。また新連携を申請した際の中小企業基盤整備機構の担当者から、権利などの取得を促され鮫島正洋知財弁護士を紹介される。権利関係のアドバイスをもらい導電ガラスの独占的通常実施権の取得に至った。現在も顧問弁護士として月1回のサポートを受けている。

 「導電ガラス」は新素材のため検証・評価する装置や方法がない。「自分たちで1から検査方法、検査機をつくらないといけない。データを集めるまでは大変なことだが、自分たちで出来ることは自分たちでやる。それが技術者魂」(同)とデータの蓄積を進める。

 データ結果が出ると福岡の近畿大学西田哲郎教授の研究室に出向き改良する点などを相談する。「今でも月に1回は足を運び研究室で試作をし、アドバイスをもらっている」(同)という。研究開発が進み現在の本社が手狭になってきたため、来年以降に都内近郊に研究・開発施設を設ける予定だ。


【他の分野や領域でも開発が進む】 

 「大発明商品になるが認知されるまでは厳しい。焦ってはいけない。市場は徐々につくっていく」(真辺和美社長)と先を見据える。
 今後は「ナノミリ技術の確立、金型メーカーとの連携を図っていく。金型産業は現在、韓国や台湾に押されている。それだけに金型ガラスの取り組みは、日本の産業にとって大事」(同)と目標は大きい。

 特に金型においては集束イオンビーム(FIB)を用いた、超微細加工性に優れた超微細金型の開発も行っている。また他の分野では導電ガラスを粉末状にして使用したり、水に強いガラスの特性を活かしてセンサーに利用したりしているほか、バイオ関係にも利用するなど他社との共同開発段階にあるものが多い。
 
 なお、今期(9月決算)は導電ガラスだけで6000万円の売り上げを見込む。来期(同)は8億円、再来期(同)は20億円を目指している。