製造/関東 「携帯電話用レンズ精密検査装置の事業化」

歩留まり改善

 携帯電話などのカメラレンズの光学的な中心を検査、調整する精密検査装置「DFD−2000」。0・5マイクロメートル(マイクロは100万)までの精度を保証している。

 現在、カメラレンズの外観検査は個々のレンズで検査を行わず、3枚のレンズを組み合わせ、電荷結合素子(CCD)を装着させ同時に行っている。この方法ではレンズ個々の光学的中心が考慮されず画像ボケなど歩留まり発生が起こるという課題があった。またカメラの画素数の向上に伴い、光学的な中心位置の精度向上が必須となってきている。

 そこで同装置は、上下に搭載した光学ヘッドで焦点ターゲットを使用し面頂検出、クロスターゲットで球芯測定を行い偏しんを検査する。発熱の少ない発光ダイオード(LED)を使用することで調光を可能とした。ワーク位置決めユニットはバキュームポンプで真空吸着するため、静電気などによって位置ずれする心配もない。

 連携体では開発、設計、製作、検証をコア企業のクノーテクノクラフトが担当。光学設計、製作を千代田光機が行う。販売支援には3社。技術協力、ソフト設計、製作支援に3社が新連携の枠外で結びついている。

クノーテクノクラフト(株)


会社名
役割分担
■コア企業
クノーテクノクラフト(株)
精密検査装置の開発・設計・製作・検証
千代田光機(株)光学設計・製作



クノーテクノクラフト(株) 湯浅茂雄社長<br>「既存技術の応用ですが、精度の向上、ワークのぶれをなくすなど開発には苦労しました。今後本格的な受注を狙います」

クノーテクノクラフト(株) 湯浅茂雄社長
「既存技術の応用ですが、精度の向上、ワークのぶれをなくすなど開発には苦労しました。今後本格的な受注を狙います」

【ノウハウの蓄積を生かす】

 クノーテクノクラフトは52年に創業。設立当初は久能交易という社名で、商社として顕微鏡、天体望遠鏡などの光学機器を取り扱い、販売を行ってきた。その後、電子顕微鏡の開発、設計、製造を行うメーカーとしての機能も持つようになった。

 連携先の千代田光機とは設立当初から製品を取り扱つかうなど付き合いがあった。製造をクノーテクノクラフトが手掛けるようになったのをきっかけに、千代田光機と共同研究、製品開発を行ってきた。今回の連携では長年の顕微鏡分野でノウハウを蓄積してきており、それをお互いが生かし、開発に至った。

 同装置は「既存技術の応用だが、精度の向上、ワークのぶれをなくすなど苦労は多かった」(湯浅社長)。開発には一年半近くを要した。ニッチ市場での開発のため「比較対象がなく国内レンズメーカーは半信半疑の目だった。浸透するには時間がかかる」(湯浅社長)という。現在は国内、海外のレンズメーカーに認知された状態だが、すでに数社から受注を受けており、今後本格的な受注を狙う。

 連携での一番のメリットは、開発研究費の補助により「新たな研究開発に投資ができる」(同)ことと言う。同検査装置は標準価格で約2千万円する。「市場は大きくない。3−4年で市場は占有される」(同)と考えている。そのためにも「次に製品化するものを開発しなければならない」(同)。
 開発費の援助は「中小企業には助かる。国から支援を受けたというのは信用にもつながる」(同)。ただ「試作開発機のみにしか国からの援助金が付かず、それを売ることができない。売ることを目的に造るのに売れないのは困る」とデメリット面も訴える。


【ワンセクション・ワンガイ・ワンレディー】

 「ユニークな会社」(湯浅社長)と自社について語る。「ワンセクション・ワンガイ・ワンレディー」(同)を提唱し「少数精鋭の強み」を生かす戦略をとっている。同社は香港、米国、マレーシア、韓国に自社の拠点をもち海外での販売も行う。国内、海外合わせて従業員は約40人、国内だけに限ると8人と少人数。1つのセクションに1人の担当者しか置いていない。
 「中小企業だから少人数しかおけないと思われるかもしれないが、一人ひとりに任せることで責任感をもってやってもらうことができる。作業効率も上がる」(同)という。

 営業が顧客の要望などをじかに技術担当者に伝えることが容易なのも強み。つまり顧客がもつ (1)要求の獲得、(2)その要求分析と定義、(3)システム要件の作成といった要求(要件)に関わるエンジニアリング部分で「技術には次の開発に向けた顧客からの要望が蓄積されている」(同)という効果も出ている。

 また同社には定年制がない。「年齢を気にせず永続的に仕事をしてもらいたい。居たいときまでいて欲しい」(同)と社員自身それぞれのスタイルで仕事を続けていく事ができる。

 こうした企業コンセプトをもとに携帯電話用レンズ精密検査装置「DFD−2000」の2007年の通年の販売目標は12台。10年までに国内、海外で40台前後の販売を見込む。さらに今後は、同装置の販売で得られる販路を生かした製品開発を進める考えだ。