製造/北海道 「ビート(てんさい)の新移植機械の開発による市場開拓」

収量向上につながる新方式移植機を開発

 ビートの苗を植える間隔を狭くすることで、収穫作業などの効率を向上させることができるビート移植機を開発する。現在、北海道で広く使われているビート自動移植機は畝幅66センチメートルが標準となっている。欧米では46センチメートルの畝幅が標準となっており、この幅で苗を移植できる新方式を開発する計画だ。

 欧米では種をじかにまいて栽培するため、北海道に比べ狭い畝幅で栽培できる。北海道は気候などの関係で、紙製ポッドで苗をあらかじめ育成してからビート畑に移植する必要がある。ポッドの寸法などの関係から、北海道では広い畝幅で栽培するスタイルが定着していた。畝幅を狭くできれば、収穫時に4−6畦(けい)分のビートを一走行で収穫できるようになる。

 欧米などで使われている自動収穫機は狭畦栽培・多畦収穫に対応した機械が主流となっている。開発グループでは今後、北海道で大規模経営と収穫効率向上を進めるには、狭畦栽培に移行せざるを得ないと判断。日本独自の移植作業についても、狭畦に対応した自動機を世に出すことが不可欠と判断した。

東洋農機(株)


会社名
役割分担
■コア企業
東洋農機(株)
製造・販売
(有)札幌プランター技研システム特許・設計・開発
帯広畜産大学共同研究センター助言・技術評価



東洋農機(株) 渡辺純夫社長<br>「ビートの収穫機を販売するなかで、作業効率を高めるためには誰かが収穫の体系自体を変えていかなければならないと考えるようになりました」

東洋農機(株) 渡辺純夫社長
「ビートの収穫機を販売するなかで、作業効率を高めるためには誰かが収穫の体系自体を変えていかなければならないと考えるようになりました」

【ビート生産のコストダウンニーズに応える】

 東洋農機は畑作農業用大型機械のメーカー。鋤(すき)込み機、破土・整地機など約35種250型式もの多彩な機械を製造・販売している。特に馬鈴薯用ハーベスター(収穫機)は国内トップメーカー。北海道の大型農業を農業機械の分野からけん引してきた。

 札幌プランター技研、帯広畜産大学地域共同研究センターとの連携で、新方式のビート(てんさい)移植機開発と市場開拓を行うことにしたのは「ビート生産のコスト削減ニーズに応える」(渡辺純夫東洋農機社長)ため。長年、北海道の標準的な農法として続けられてきた苗の移植方法を改良し、大型経営に見合った技術基盤を提供することを目的としている。

 ビートは日本ではほぼ北海道だけで生産されている。砂糖の原料となる作物だ。特に東洋農機のある十勝地方を含む道東地域で盛んに栽培され、2005年の作付面積は7万ヘクタール以上に及んでいる。
 北海道でのビート栽培は春に苗を移植し、秋に収穫する形で行われている。欧米でも寒冷地で栽培される作物だが、北海道のように降雪が多くないため、畑に種をまいて栽培することができる。日本では雪解けまでの期間が長いため、種まきから始めていたら育成期間が不足してしまうことから、苗の移植という栽培方法がとられている。


【新型移植機の知財を連携で事業化】

 苗の移植作業はかつての稲作と同様、人海戦術で行われていた。だが、道内企業が戦後、ビート自動移植機を開発し自動化が浸透。大半のビート農家がこの移植機を使っている。現在の自動移植機は、ビートの苗を育てるペーパーポッドからツメでピックアップして畑に移植する方式のため、ポッドの寸法に合わせて畝(うね)の間隔をとる形が定着している。
 「欧米ではじかに種をまくため畝の幅が狭い。収穫時には大型の収穫機で4−6本分の畝を一度に掘り返していく。日本の広い畝は収穫時の効率向上の妨げになってきた」(渡辺社長)ことから、新方式の移植機を手がけることにした。

 東洋農機は、馬鈴薯については収穫機だけでなく、土づくりや肥料散布の機械など一貫して開発・提供してきた。ビートについては、移植機のリーディングカンパニーがあったことから、主に収穫機の分野で製品開発・販売を行ってきた。渡辺社長は「ビートの収穫機を販売するなかで、作業効率を高めるためには誰かが収穫の体系自体を(大規模経営用に)変えていかなければならないと考えるようになった」という。

 新方式は、ポッドを開いて苗をピンでとらえ、ローラーで挟んで土に落とす仕組み。知的財産権を持つ札幌プランター技研と共同で開発を進めている。2006年初頭から試作2号機を製作中で、装置構造がシンプルなため、自動機の価格自体も30−40%値下げできる模様だ。
 また栽培方法の変化を伴うため、帯広畜産大学を通じて農家のニーズに合った装置になるようアドバイスなどを受け、新型移植機の事業化と市場創造を目指している