製造/近畿 「3次元CADを活用した超高速試作サービス事業」

多様化する消費者ニーズに対応

 自動車や家電製品など完成品メーカーの間では、多様化する消費者ニーズに対応するため、新商品の企画開発から製造販売までの期間をさらに短縮する動きが強まっている。また多品種少量生産や多品種適量生産が主流となる中で、開発コストの削減が大きなテーマとなっている。そこでオーテック(呉宮仁鎬社長)をコア企業とする連携グループでは、3次元CADを活用した超高速試作サービス事業で受注の拡大を目指している。

 この事業は新商品の企画や試作段階から参画して、試作品を提案するだけでなく、その試作品を作るための金型も従来の4分の1の時間で製造し、供給しようというもの。製造にあたっては樹脂成形技術を持つオーテックが、高精度部品加工を得意とするKS技研(門杉純社長)、金属光造形およびCAMソフト開発に独自のノウハウを持つOPMラボラトリー(森本一穂社長)の2社と連携し、3社の持つ技術力を生かして実施する。

 これまでのように1から金型を作るのではく、金型中心部の「入れ子」だけを作る仕組みにして、製造時間を大幅に短縮した。また生産数量などに応じた最適設計の金型を作ることで、過剰スペックの金型づくりを回避し、最終的にコストダウンにつなげる。

(株)オーテック


会社名
役割分担
■コア企業
(株)オーテック
プロジェクト統括・事業化・営業活動
(有)KS技研部品加工・部品計測評価
(株)OPMラボラトリー金属粉末造形・高速加工用CAMソフトウェア開発
大阪大学素材組合せ・加工技能に関するアドバイス



(株)オーテック 呉宮仁鎬社長<br>「中小企業単独では無理なことも連携すればそれが可能になる。だからこそ新しい連携も視野に入れて体制を強化していくつもりです」

(株)オーテック 呉宮仁鎬社長
「中小企業単独では無理なことも連携すればそれが可能になる。だからこそ新しい連携も視野に入れて体制を強化していくつもりです」

【連携で個々の強みを発揮】
 
 連携のコア企業であるオーテックは、企業の製品開発を支援するための高速金型製造サービス(ORMS)を本格展開するために中小企業2社と大阪大学と連携した。「中小企業単独では無理なことも連携すればそれが可能になる」(呉宮社長)と期待を膨らませている。

 現在、金型業界では最新鋭の設備と豊富なマンパワーを持つ中国企業が猛追しているが、日本の金型は依然、品質面などで世界から高い評価を得ている。特に形状が複雑なものや、微細で精度が要求される金型づくりにおいては、まだまだ優位な状況にある。納期対応にも一日の長がある。連携グループでは、個々の企業が持つ強みを最大限に生かし、国際競争で勝ち組を目指している。

 市場として狙いを定めているのは自動車、家電製品、日用雑貨と範囲は広い。いずれの分野も製品のライフサイクルが短く、各メーカーでは新製品開発のスピードでしのぎを削っている。そのため「今後、ORMSの需要は高まってくる」(同)と予想する。

 光造形や金属造形などで、「入れ子」(実際の形状を成型する金型部分)を加工し、量産時を想定した樹脂材料で試作品を作る。金型と試作品を同時に供給するので、完成品メーカーにとっては新製品開発のスピードアップやコスト低減につながる。実際のところ、従来比4分の1の納期と低価格を実現する。

 オーテックは95年の設立当初から海外戦略を重視し、日本国内の企業はもとより、韓国や中国などの中小企業とネットワークを組んで事業を拡大してきた。その結果、最適な場所で、しかもタイムリーに金型と試作品が供給できる体制を整えてきた経緯があり、今回の連携でORMSの普及に弾みをつける計画だ。


【4日で試作・成形】

 熟練した高精度な部品加工技術を持つKS技研と金属光造形および3次元CAD技術を持つOPMラボラトリーとの連携により、3日で金型作製、4日目で試作・成形という体制を確立した。大手電機メーカー向けの電子部品などで実績があるほか「日用雑貨でも引き合いがある」(菅原信郎専務)という。
 また先端デジタル技術を導入し、国際工場ネットワークを構築するオーテックでは、大手メーカーの試作開発、ロボットやセキュリティー関連の小ロット部品の開発、デザイン分野における商品試作などで市場性があると見ており、受注活動を加速中だ。

 同社は製品などの外観設計や構造設計を担当していることもあり、提案営業も得意とする。現在はデザイン関係の人員強化にも乗り出している。そのほか同志社大学と共同で3社間のデータのやりとりを高速化するための研究も推進中だ。
 呉宮社長は「デザイン面など、すべて自社や連携体でやるのではなく、新しい連携も視野に入れて体制を強化していきたい」としており、連携の度合いを高める考えだ。