加工/近畿 「曲面ダイレクト印刷手法を用いた、自動車内装部品への表面処理加工事業」

模様、絵柄の曲面・球面印刷技術がNTTドコモの携帯電話に採用

 連携コア企業の秀峰が独自開発し特許を取得している曲面・球面印刷技術を活用した新連携事業の成果が、NTTドコモの携帯電話に2006年9月に採用、発売された。「FOMA D702iF」シリーズの女性用モデルの1機種。05年7月に新連携事業に認定されてから約1年後に具体的な成果として花開いた。

 秀峰は、これまで眼鏡枠の曲面やボタンなどの球面への印刷を主力としてきた。これが新連携事業で独自技術がスキルアップされ、携帯電話に模様、絵柄をズレることなく描写できる印刷技術を確立した。同時に販路開拓担当の伊藤忠商事の信用力と販売力で、新規分野開拓第一弾として携帯電話分野に参入した。
 同社の曲面・球面印刷は、従来のフィルムシートによる水圧転写工法に比べて曲面に直接印刷できることが特徴。位置決めが正確で絵柄、図柄のズレが一切生じない。携帯電話に続いて07年中には、自動車のハンドルやダッシュボードなどに木目柄を印刷する自動車内装部材分野への参入を計画している。

 五光精機など連携中小企業3社は印刷機械、版製造、塗料などで得意技術を保有。伊藤忠商事が国内外の販路開拓を担当し、サカイオーベックスが染料などの技術助言を行い、新連携参画企業が一丸となって新規分野開拓に懸命に取り組んでいる。

(株)秀峰


会社名
役割分担
■コア企業
(株)秀峰
曲面・球面印刷工法を活用した表面処理加工
五光精機(株)機械加工組立
(株)石田大正堂版製造
(有)いしまコート設備・施設の増改築研究
(株)伊藤忠商事販路開拓
サカイオーベックス(株)染料開発



(株)秀峰 村岡貢治社長<br>「今後もわが社しかできない技術を提案していきます。導電性の印刷や触感のある印刷など、次世代携帯電話の印刷技術のニーズは尽きません」

(株)秀峰 村岡貢治社長
「今後もわが社しかできない技術を提案していきます。導電性の印刷や触感のある印刷など、次世代携帯電話の印刷技術のニーズは尽きません」

【曲面・球面の独自印刷技術で携帯電話分野参入】

 特殊印刷のベンチャー企業・秀峰は、05年7月に福井県内で2社目の新連携事業に認定された。独自開発した曲面・球面印刷技術を活用し、携帯電話と自動車内装部材の表面処理加工事業の新規参入を目指した。

 同社の曲面・球面印刷技術は、特殊印刷技術で安価な製版機、量産化技術、高精度印刷で曲面や球面の形状物に直接印刷ができる独自工法だ。従来のフィルム、紙を介して写し取る水圧転写工法は、転写ボケや位置決めのズレ発生などが課題だったが、これらの難問を一挙に解決した。

 この印刷技術が、NTTドコモの携帯電話に採用された新機種が06年9月に発売された。女性用の小型サイズの携帯電話機種で、その曲線美と金粉の蒔絵(まきえ)風デザインが曲面・球面印刷技術で可能になった。秀峰の村岡貢治社長は「世界初の製品」と胸を張る。
 また「われわれ中小企業の力だけでは限界があった」と振り返る。「伊藤忠商事の信頼度の高い販売力と、他の新連携参画企業の技術協力で事業が軌道に乗った。新連携のたまもの」と強調する。

 村岡社長は「今後もわが社しかできない技術を提案する。導電性の印刷や触感のある印刷など、次世代携帯電話の印刷技術のタネは尽きない」と話す。携帯電話機メーカーからの引き合いは、ドコモだけでなく、au、ソフトバンクモバイルからもきている。
 ただ新連携認定1年後の事業化と急成長だけに、人材育成や検品・納期管理体制整備が課題となっている。とりわけ製品の納期遅れは企業の致命傷となる。社員の能力アップなど生産管理体制確立が急務だ。

 村岡社長は「当初、新連携事業には半信半疑だったが、福井県の熱心な勧誘で応募した。あの時の決断が大正解だった」と笑顔で話す。また「新連携は社員に良い意味のプレッシャーを与えている。各人が事業を成功させなければという責任感を持って働くようになった」と強調する。

 
【新連携で本社工場建設】

 同社の曲面・球面印刷は、これまで福井県の地場産業である眼鏡産業の眼鏡枠などに活用されてきた。福井県の眼鏡枠生産は、国内の生産シェア97%だが市場は小さい。秀峰ではまず、成長産業の携帯電話分野に参入、続いて日本産業界のリーディング産業である自動車産業への参入を狙う。自動車内装部材はハンドル、ダッシュボードなど約15パーツあり、市場は膨大だ。

 同社は05年11月に福井市大土呂町に7億円を投じ、鉄骨2階建てで延べ床2400平方メートルの新本社工場を完成した。工場はクリーンルームを完備し、印刷ロボットなどを配した最新鋭の製造ラインは長さ90メートル。見学コースも完備している。自動車内装部材参入には本社工場敷地で工場増設や研究棟の建設が必要だが、これについては07年中の建設を検討している。