製造/北海道 「高性能橋梁点検ロボット「橋竜」を利用した橋梁点検診断システムの開発・販売」

データから経年変化を比較

 コンクリート橋など、既存橋梁(きょうりょう)の傷み具合を点検する高性能遠隔橋梁点検車「橋竜」(きょうりゅう)の開発を手がける。
 同点検車は最長約25メートルになる多関節のアーム先端にデジタルカメラを搭載した4トントラック。橋の上からアームを潜り込ませるようにして伸ばし、点検作業を正確かつ安全に、低コストで行う。経年変化の調査についても正確な点検位置や撮影位置情報を同時に記録できるのが強みだ。

 橋梁点検は危険な場所に足場を組み、作業員が目視で点検、損傷個所を撮影するのが現在の主流。だが作業員の安全確保のほか、点検位置や損傷部分の撮影角度にバラつきが出るという問題がつきまとう。高性能遠隔橋梁点検車「橋竜」は、まさにこれらを解決する。

 開発の背景には、橋を壊して新しく架け替えるのではなく、補修しながら長く利用しようという認識が広まっていることにある。補修するにも、橋のどの部分が破損しているのかを事前に調べる必要がある。そこで橋の維持点検技術を持つ帝国設計事務所とロボット制御システムにたけたエルムデータが手を組み、開発を進めている。ハードの開発と販売は建設機械レンタルのカナモトが担当する。
 将来的にはアーム先端のカメラ部分を軽量化し、トンネル構内の打音検査やビルのメンテナンス、ペンキ吹きつけ作業など多方面での展開も視野に入れて用途開発を進め、早期の製品化を目指す。

(株)帝国設計事務所


会社名
役割分担
■コア企業
(株)帝国設計事務所
橋梁点検ロボットの開発・改良、点検診断ソフトの開発・改良、オペレータ派遣・教育、マーケティング
(株)エルムデータ ロボット制御システムの開発・改良
(株)カナモト点検車両の開発・強力なレンタルネットワークを駆使したマーケティング



(株)帝国設計事務所 菅原義昭社長<br>「業界内では開発は無理だと言われました。しかし新連携でその壁を乗り越えました」

(株)帝国設計事務所 菅原義昭社長
「業界内では開発は無理だと言われました。しかし新連携でその壁を乗り越えました」

【トンネル構内の打音検査なども視野に】

 帝国設計事務所はコンクリート橋や鋼橋の設計のほか、道路設計や河川・砂防調査設計を行う建設コンサルタント会社。主に古くなった橋の、どの部分を補修・補強すればさらに長くその橋を利用できるのか、という設計部分についてのコンサルティングを行ってきた。

 実際、補修のための設計に取りかかる前には、まずはどの部分を直せばよいのか予備調査をする必要がある。従来、この作業は危険な場所に足場を組んだり、空中作業車に乗ったりして作業員が目視で点検し、損傷個所を撮影していた。これでは時間と費用がかかりすぎてしまうし、危険も伴う。そのうえ点検位置や損傷部分の撮影角度がまちまちで調査結果にバラつきが出るという問題があった。

 そこで、橋の大小を問わず定点観測も可能な高性能遠隔橋梁点検車「橋竜」の開発が浮上した。要件は、特殊車両ではない普通の4トントラックで簡単に移動が可能で、橋の上から自由自在に目的の個所を点検できるもの。かつ調査内容は電子データとして記録し、経年変化を定点調査できる信頼性の高いものだ。その強い思いで、本格的に開発着手したのは03年からだ。


【3次元CGとハイビジョン画像で記録】

 「当初、業界内では開発は無理だといわれた」(菅原義昭社長)という。不可能を可能にしたのが、業種の垣根を越えた新連携だった。北海道立工業試験場からは技術支援のほか、ロボット制御システムのソフト開発で道内トップクラスのエルムデータを紹介された。その後、全国にレンタルの拠点を持つ建設機械販売大手のカナモトとの連携も実現する。

 「橋竜」が優れているのは、点検個所の撮影位置や撮影角度について座標軸を決めて定点撮影し、デジタルデータとして記録できる点。5年ごとに行う定点調査での経年変化の観測や補修工事後の確認にも活用でき、作業の効率化が図れる。
 作業員は補修対象となる0・2ミリメートルのわずかな亀裂を見逃すこともない。コントロールルームでモニターを見ながらジョイスティックでカメラ操作し、目視確認とデータ収集を同時に行う。作業員の安全確保と検査時間の短縮、経費削減、そして確実な調査・点検を実現する。新連携では3次元CG画像とハイビジョン画像システムの導入のほか、インターネットを通じた遠隔支援システムの導入などを行い、さらなるシステムの高度化を図る。

 昨秋にはデジタルカメラ部分の重さを約半分に軽量化し(従来機の重量は30数キログラム)、より自由度を高めたアームを持つ第4号機が完成した。軽量化することでアームの取り換えも一人で可能になる。今後、トンネル構内の打音検査やビルのメンテナンス作業などでの展開も視野に入れた用途開発も進め、早期の製品化を目指している。将来的には「各都道府県に一台ずつは納入したい」という。