建設/中国 「自然調和型土木構造物「ブランチブロック」を用いた擁壁施工」

自然に優しい生態系、良質な景観を実現

 河川や道路などの護岸、擁壁工事に利用する「ブランチブロック」と呼ぶ特殊形状のブロックを開発し、普及を目指している。国内の擁壁工事はコンクリート打設によるものが主流だが、周辺環境への負荷が大きいことが課題とされてきた。そこで吉工園を中心とするグループは、日本古来の工事法である石積みを活用し、自然に優しい生態系の確保と良質な景観の実現を目指した。

 ブランチブロックは1本の主軸に、両端から3方向に突起を配置した構造の鉄筋コンクリート製ブロック。これをハニカム状(ハチの巣状)に配置し、その背後に石材を積み上げる。完成後は石材との一体化により、強固な擁壁を実現する。

 造園業者の岡部造園が施工事業者となり、今後は他の施工業者への技術指導も行う。また全国販売に向けては、コンサルティング会社のソルテックがフランチャイズ展開の推進に携わり、のり面保護の緑化技術を持つ多機能フィルターの全国販売ネットワークを活用する。5年後に売上高5億円を目指している。

(株)吉工園


会社名
役割分担
■コア企業
(株)吉工園
製造/施設/特許技術
(株)岡部造園施工技術
(株)ソルテックFC管理
多機能フィルター(株)営業活動



(株)吉工園<br>吉村隆顕社長

(株)吉工園
吉村隆顕社長

【日本古来の石積みを活用−理想的な自然環境づくりを目指す】

 コア企業の吉工園は吉村隆顕社長が1967年(昭42)に創業した造園会社。ブランチブロックは本業から少し離れた事業になるが「10数年前からブロックをつくってみたいという気持ちがあった」(吉村社長)という。

 そんな気持ちを抱き続けていた理由は、各地の川岸や道路沿いに増え続けるコンクリート打設によるのり面や護岸の存在だった。「日本中どこに行ってもコンクリート護岸一辺倒。自然環境が失われ、魚礁や蛍の住処が奪われている」(同)という現状に我慢がならなかった。そこで考え出したのがブランチブロックを使った石積みによる施工方法だった。少々変わった形をしたこのブロックは「15年ほど前の大雨の日に土砂崩れが起きていたのを、倒れた木がせき止めていたのを見た」(同)ことが発想のヒントになった。

 それから完成までに10数年の時間を要したが、木の枝(ブランチ)をイメージした構造のブロックを完成。2003年には特許も取得した。
 「完全な緑化ができる」というのが、この製品の最大の売り物。ブロックの内側には水や空気が行き来する通り道があり、動植物が生育できる環境が整えられる。
 また無機質なコンクリートに比べて自然の石が持つ温かみは見る者の心を和ませる。石積み工法は熟練技術が必要とされているが、今後の普及をにらんで造園作業員程度の知識があれば施工が可能なシステムとした。

 連携先の企業とは以前から仕事上で付き合いがあった。公共事業が減って建設業界に携わる関係者は今後に強い不安を抱いているだけに、ブランチブロックを使った施工法への期待は大きい。

 2005年には山口県内2カ所で試験的な施工を行った。1月に河川の護岸工事を行った美祢市内の施工現場では、施工から半年ほどで魚が住みつくようになるなどの効果も上がっている。また、ブロックの強度を数値で明らかにするために、公的試験場での検証も始めた。


【日本の景色を取り戻す】

 新連携計画の認定を受けたことで「マスコミの取材を受け、露出度が増えた。県や国の対応も変わってくると思う」と吉村社長は喜ぶ。効果的な新工法であっても実績がないと採用されるのは難しい。新連携という後押しを受けて「とにかく実績をつくりたい」(同)という。

 「自然をもって自然を制する、というのが私の理念」という吉村社長。温暖化の影響などで地球環境が大きく変わりつつある今、「強度をもって強度を制するという時代は終わった」(同)と持論を語る。美祢市の豊かな自然の中で生まれ育った同社長は、「バランスブロックで日本の景色を取り戻したい」と意気込む。