建設/九州 「スギ樹皮のリサイクル製品の活用による緑化事業の創出」

地元の資源を有効利用

 内山建設は杉の樹皮を利用した土壌改良材の開発・販売を手がける。宮崎県は杉の生産量が日本一という林業がさかんな土地で、製材の際に大量に排出される樹皮をリサイクル利用したものだ。宮崎県森林組合連合会や県内の企業と連携し、製品化した。04年度の発売後、売上高は順調に伸び、既存事業の領域が広がったという相乗効果も表れている。

 連携体の構成は内山建設がコア企業となり、土壌改良材の開発、販売を行う。宮崎県森林組合連合が樹皮を提供、入郷植物園(宮崎県美郷町)が土壌改良材の生産や技術改良、宮崎芝園(宮崎市)が芝生設計や施工管理などを担当する。また宮崎大学の工学部や農学部に評価や技術的指導を仰いでいる。

 内山建設は公共工事主体の建設会社で、設立から50年の歴史を持つ地元の老舗だ。近年、公共工事の発注量が減少し売り上げも低迷していた。そこで技術志向型の建設会社に転換することを決断、樹皮を利用した土壌改良材はその第一号製品となった。

 宮崎大学の芝生グラウンドや宮崎沖電気(宮崎県清武町)のランニングコースなどに導入され、発注者からは好評だ。これまでランニングコースを施工した実績はなかったが、宮崎沖電気では設計から施工までを担当。土壌改良材の販売によって主力の土木・建設事業の幅が広がっている。

(株)内山建設


会社名
役割分担
■コア企業
(株)内山建設
樹皮による土壌改良材の開発
(株)宮崎芝園花壇・芝生設計、施工管理
(有)入郷植物園バーク堆肥生産・樹皮の繊維化
宮崎大学工学部、農学部技術開発、評価
宮崎県森林組合連合会樹皮の供給



(株)内山建設 内山雅仁社長<br>「土壌改良材は他社からのライセンス供与に、連携体メンバーの独自ノウハウを加えて高付加価値化を図りました」

(株)内山建設 内山雅仁社長
「土壌改良材は他社からのライセンス供与に、連携体メンバーの独自ノウハウを加えて高付加価値化を図りました」

【技術志向型の建設会社に】

 公共事業の減少は特に地方の建設会社に大きな影響を与えている。内山建設も例外ではなく、「廃業することも考えた」(内山雅仁社長)という。その後、検討を重ね最終的に事業継続を決断し、技術開発を最重要経営課題に位置づけた。

 技術開発に当たっては内山社長が先頭に立って取り組んだ。従業員数は約20人と少数精鋭だが、自前ですべて行うにはやはり限界がある。そこで外部に資源を求め「県内中を歩いてまわった」(同)という。その結果、宮崎大学など県内の研究者とつながりが生まれ、交流の輪が広がった。

 新連携の認定を受けた事業は、杉の樹皮をリサイクル利用し、土壌改良材に利用するもので、02年から取り組んでいる。内山建設が企画立案し、事業を主導した。外部機関との連携では宮崎大学や宮崎県森林組合連合会、地元の造園会社などの協力を得て、事業を推進してきた。

 土壌改良材の基本技術は他社からライセンス供与を受け、さらに生産を担当する造園会社が持つ独自のノウハウを加えて「高付加価値化を図った」(同)という。また宮崎大学農学部からは土壌改良材の上に敷く、芝生の張り方や植物の選定などでアドバイスを受けたほか、同工学部には物理的評価などの面で協力を得た。


【競合陸上部のランニングコースに施工】

 製品化した土壌改良材は高い保水性と透水性を備える「バランスのとれた製品」(同)に仕上がった。土壌改良材に混合した樹皮の繊維が適度なすき間をつくっているのが要因で、雨が降っても水はけがよくランニングコースなどには最適という。

 ランニングコースでは沖電気の陸上部がある宮崎沖電気で施工した実績をもつ。同ランニングコースは宮崎沖電気本社工場の隣接地に設けられており、幅2メートル、全長は1キロメートル。土壌改良材の上にクレー舗装を施した。沖電気の陸上部員からも「筋肉に優しい感じがする」と好評だ。

 そしてこの土壌改良材は同社のランニングコースのみならず、他のグラウンドやのり面などへも施工されている。従来、同社はランニングコースやのり面での工事実績はなく、土壌改良材を手がけたことにより土木事業の事業領域が広がった格好だ。

 土壌改良材関連の売り上げは06年6月期で約3000万円。今後は民間向けを中心に顧客開拓を進めるほか、新たな販売先として農業系もターゲットに加える方針で、2010年6月期には土壌関連の売り上げで2億円を目指す。新連携事業の研究が波及効果を生み、バイオマスエネルギーに関する新技術も手がけ始めるなど、内山建設は技術志向型の建設会社として、大きな一歩を踏み出した。