製造/九州 「太陽エネルギーを利用した浮体式水質改善装置によるアオコ除去・監視システムの事業化」

水域の形状にとらわれない浮体式水質浄化装置

 近年、環境汚染などの影響でアオコなど水草の異常発生が指摘されている。特に湖やダムなど閉鎖性の高い水域では自然の浄化作用が働きにくく、アオコが大量に発生して水質の汚濁や景観の悪化、漁業への被害などを引き起こしている。

 こうしたなか、マサキ・エンヴェック(眞崎建次社長)は長崎大学や地場企業などと共同で、さまざまな形状の水域に対応できる浮体式水質改善装置の事業化を推進している。そのテーマは「太陽エネルギーを利用した浮体式水質改善装置によるアオコ除去・監視システムの事業化−水域の形状に対応してムダムラなく水質浄化を実現する」だ。

 現在、湖を管理する自治体などは水質浄化装置を投入し、アオコの除去に努めているのが現状だ。しかし閉鎖性水域の多くは沿岸部や水底が複雑な形状で、浄化装置の水流が全体に行き渡っていないという。そこで複雑な形状でも効果的に浄化できるシステムが求められている。

 新連携の事業では、その水域の形状から浄化装置の最適な配置場所を検出できるシミュレーションソフトを開発する。さらに太陽電池を用いた水質改善装置の遠隔監視システムを確立し、浄化のための水流を効率よく発生させる。「中国など海外にもニーズがある」(眞崎社長)と話す。

(株)マサキ・エンヴェック


会社名
役割分担
■コア企業
(株)マサキ・エンヴェック
特許・開発・販売
(株)日本テクナート設計・開発
(有)宇宙模型製造・組み立て
扇精光(株)開発・製作
長崎大学試験・研究
長崎総合科学大学試験・研究
(株)ケイヒン機器・システムの管理
特定非営利活動法人(NPO)長崎県科学・産業技術推進機構開発・管理



(株)マサキ・エンヴェック 眞崎建次社長<br>「優れた開発力を持つ組織が集まったため、効果的・効率的にシステム開発が行えました」

(株)マサキ・エンヴェック 眞崎建次社長
「優れた開発力を持つ組織が集まったため、効果的・効率的にシステム開発が行えました」

【大きな水流を発生しアオコを除去】

 現在、マサキ・エンヴェックは太陽電池を動力源とする浮体式水質改善装置「水すましミニ」を開発販売している。この装置は搭載したスクリューで大量の水を上下方向に動かすことにより、水域全体を循環させて水質を浄化する。また水の表面に浮かぶアオコを水底に送り込み、光合成を遮断することでアオコを除去する。

 新連携では水すましミニを複数台つなぎ合わせ、上部に大型の太陽電池を搭載することで大きな水流を生み出すことを目標としている。これにより浄化能力が向上するほか、さまざまな水域の大きさや深さにも対応できる。マサキ・エンヴェックがコア企業となって開発を進め、07年度に水すましミニの連結作業に着手した。

 また、さまざまな水域の形状に対応できるよう、装置の効率的な配置を可能にするシミュレーションソフトの開発を手がける。大型のモーターを搭載した水質浄化装置でも水域の形状により、水流が行き届かない場所がある。そこで長崎大学などが中心になり、水流が水域全体に循環するような配置場所を探るため、パソコン上で模擬実験できるシミュレーションソフトをつくることが目標だ。

 さらに水すましが水質を自動的に測定できるシステムと、水すましを遠隔で操作し測定データを分析できるシステムも開発する。これにより遠隔地から水質状況を把握できるほか、上下方向の水流を制御できる。扇精光(長崎市)などが自社技術を用いてシステムの開発を進めている。


【優れた組織が集結】

 連携体のメンバーには水質改善装置を設計開発する業者から、施工・管理やメンテナンスを行う業者まで包括的に加わった。また事業全体の管理には、研究開発などのコンサルティングに評価の高い長崎県科学・産業技術推進機構(長崎市)も参加している。「優れた開発力を持つ組織が集まった。効果的・効率的にシステムを構築できる」(眞崎社長)と自信をみせる。

 市場としてはゴルフ場やダム、ため池、堀、養殖場などを想定している。同社によると、国内には販売対象となるダムが2800カ所、ゴルフ場は1600カ所あるという。3年以内にシステム全体を構築して事業を開始し、ゴルフ場運営業者や自治体などに売り込む考えだ。5年後には1億2000万円の売り上げを見込む。

 市場は国内だけにとどまらない。マサキ・エンヴェックは06年夏、中国にある有名な公園内の池で水すましミニの実証実験を実施。「大量に発生していたアオコが除去できた」(眞崎社長)と、その性能はアジア地域でもすでに評価済み。新連携の事業は、こうした実績を武器にして国内だけでなく海外にも展開していく意向だ。眞崎社長は「形状に合わせて、さまざまな水質改善装置を提供する」としている。