生活/四国 「プロアントシアニジンとトレハロースを不織布に塗布する技術を活用した(1)鮮度(鮮色)保持シート(2)ドリップ吸収マット(3)介護用マクラカバーの開発および製造販売」

地産の原材料に拘る高知発ベンチャーは企画・販売に強み

 企業組合を前身とするくじらハウスは連携事業を通じて、活性保持水、鮮度保持シート、介護用シーツ、ドリップ吸収マットなどの食品・生活衛生商品の開発・販売を手掛けている。いずれもプロアントシアニジンや糖質トレハロースなど天然成分の混合物が持つ、強力な抗菌・抗酸化・消臭という3つの機能性作用を備えることで特色がある。
 
 「健康ブーム」や「食の安全・安心」という時代の風をとらえ、地産の原材料に拘る高知発ベンチャーとして存在感を発揮しつつある。

 強みは「企画・販売力」。食品や介護、医療などの分野でニーズを探り出し、プロアントシアニジンと糖質トレハロースの混合物を塗布した不織布や紙を、さまざまな製品に応用し、販路拡大を図る。コア企業として大学や研究機関、原材料メーカー、製造・販売業者をつなぐプロデューサーの役割を果たしている。

 企業組合としては03年に製品化した活性保持水「for(フォア)」が事始め。プロアントシアニジンと糖質トレハロースの混合物に、高知県産の海洋深層水と四万十川源流の湧き水を配合した。これが平成15年度の高知県地場産業大賞奨励賞を受賞。代理店販売も含め初年度は3万本を販売している。

 その原理を応用した鮮度保持シートは、高知工科大、高知県立紙産業技術センターとの共同開発によるもの。糖質トレハロースと天然ポリフェノールの効果により、魚肉などの変色抑制に効果を発揮。現在は売上高の6割を占める主力商品になっている。04年には将来の事業展開を睨み、企業組合から株式会社に組織変更した。

くじらハウス(株)


会社名
役割分担
■コア企業
くじらハウス(株)
企画・販売
(株)ヘイワ原紙製造
ジャパンメディカル(株)販売
(株)ティー・ティー・エム販売
企業組合東京セールスレップ販売
東北大学試験
高知工科大試験
高知県立紙産業技術センター試作



くじらハウス(株) 小笠原 豊社長<br>「連携事業の成功の秘訣は、各社との信頼関係の構築ですね。役割分担などを最初に取り決めておくことが大事です」

くじらハウス(株) 小笠原 豊社長
「連携事業の成功の秘訣は、各社との信頼関係の構築ですね。役割分担などを最初に取り決めておくことが大事です」

【大学と実証データの蓄積からはじめる】

 創業時の業容は今とは全く違っていた。99年、小笠原豊社長が知人らとインターネット事業や生活雑貨販売、喫茶店経営などを目的に、高知港に近い高知市桟橋通で個人集団組織として「くじらハウス」を立ち上げたのが始まり。それだけに現在の健康・衛生分野はゼロからの出発であり、パートナーとの連携という選択が事業の拡大、成功要因の1つになったことは確かだ。

 あるとき喫茶店の常連客から、「高知の海洋深層水を使って何か商品化できないか。今なら売れるぞ、とすすめられた」(小笠原社長)。当時、高知県内で海洋深層水は大きなブームになっていた。商品化するには海洋深層水に新たな価値を付加する必要がある。そう考えた小笠原社長は、タイミングよく京都の知人から、ブドウから抽出したプロアントシアニジンと糖質トレハロースの混合物が強力な抗酸化作用を持つ、と聞かされる。

 その技術は国際糖尿病教育学習研究所の馬場茂明博士(当時)が発明したもの。くじらハウスは早速、特許を所有する林原商事(岡山市)から使用許可を得たが、抗酸化力がどの程度あるのか、科学的な裏付けをデータで示せなければ、民生分野への応用は難しかった。

 そこで大きな助けとなったのが、中小企業連携組織等調査開発等支援事業である。平成14年度の認定をきっかけに、活性酸素の権威で河野雅弘・東北大学未来科学技術共同研究センター教授(当時は高知工科大学教授)と産学共同研究に着手。何度も実験を繰り返しながら、商品化に必要な実証データを蓄積する。

 こうして初の自社ブランドとなる活性保持水「for(フォア)」は誕生する。さらに高知工科大と高知県立紙産業技術センターと共同で、その原理を不織布や紙に応用。鮮度保持用「ととシート」や介護用「よつばシーツ」などの抗菌用品を商品化する。不織布や紙に、混合物をどの程度の割合で塗布すれば最大の抗菌力が得られるか、そこに技術の妙がある。


【連携先との信頼関係をいかに構築するか】

 「ととシート」は昨年6月から焼き肉店を中心に営業展開し、「評判は上々」(小笠原社長)。バットの底にシートを敷いてから肉を冷蔵保存すると、変色を抑えられ、長持ちするという。

 連携事業を成功に導くカギは、連携先との信頼関係をいかに構築するかにある。「各社の役割分担や秘密保持について、最初にきちっと契約を取り交わしておくことが大事」と、小笠原社長は自身の経験にもとづき話す。暗黙の了解のもとにビジネスを進めると、商品が魅力的だとわかった時点で、足並みが乱れ、連携が崩れる恐れがあるという。

 くじらハウスでは今後の展開として、医療機器商社に抗菌シートのOEM(相手先ブランド)供給を計画しているが、そこでは利用者に知的所有権の所在がすぐ分かるよう、商品のパッケージに「科学的検証・安全・安心・未来のために」という、くじらハウスのシンボルマークを必ず入れてもらうことにしている。

 焼肉店への営業展開やOEM供給のほか、今後は高知特産のゆずを使ったアロマ効果のある介護用シーツや枕カバー、トイレ用洗浄シートなどを商品化する計画もあり、2010年には年商1億円を目指している。