製造/四国 「水素エネルギーを利用した省エネルギー型冷凍機等の開発・販売」

省エネルギー型冷凍機の開発

 代替フロンはオゾン層を破壊しないことで普及してきたが、今では二酸化炭素(CO2)の数百倍以上の温室効果を持つことから逆に京都議定書(97年採択)で排出削減対象ガスになっている。トップシステムをコア企業とする新連携事業では、このフロンに代えて水素吸蔵合金(MH)を利用することでオゾン層保護や地球温暖化対策に対応した中規模冷凍機を開発する。

 トップシステムが連携するのは設計技術、熱利用技術、クライオ(極低温)ユニット製造技術を持つ5社。そこから構成するのはMH冷凍機グループとクライオユニット(極低温)グループの二つ。
 MH冷凍機グループは製造を担当するトップシステムを中心に、機械設計のエム・エス・イー、実証実験・水素吸蔵合金チップの開発を担当する谷口金属熱処理工業所などがメンバー。一方、クライオ(極低温)ユニット製造グループは、伊藤エンジニア、ホクト技研、フラスコの3社が装置製造、パーツ製造・加工を担当する。

 この連携により水素吸蔵合金を利用し、環境に配慮したノンフロン、ノンCO2、ノンアンモニアで、しかも電気の代わりに100度C以下の排熱と水を利用する省エネルギー型の冷凍機の開発を目指す。年間12万−13万台の市場規模の冷凍機業界で、4万台の需要が見込まれる中規模冷凍機を全国の食品工場やスーパーマーケットへ販売する計画だ。

(株)トップシステム


会社名
役割分担
■コア企業
(株)トップシステム
製品製造
(有)エム・エス・イー各ユニットの設計、製造
(株)谷口金属熱処理工業所実証実験、水素吸蔵合金チップ開発
(有)伊藤エンジニアクライオユニット設計、製造
(株)ホクト技研クライオユニットのパーツ設計、製造
(株)フラスコクライオユニットのパーツ加工



(株)トップシステム 森 達雄社長<br>「このプロジェクトで冷凍技術や製造ノウハウなどを学ぶことができ、大きな財産を蓄積することができました」

(株)トップシステム 森 達雄社長
「このプロジェクトで冷凍技術や製造ノウハウなどを学ぶことができ、大きな財産を蓄積することができました」

【きっかけは大手との研究開発】

 トップシステムは製薬会社向けに医薬用水製造装置などを手掛けている。設立は99年10月。社員は20人、約7億円(07年3月期)を売り上げるプラントメーカーだ。
 きっかけは01年、大手企業や産業技術総合研究所(産総研)四国研究センターなどと水素吸蔵合金を使ったアドバンス型ハイブリッド冷凍機の開発プロジェクトに地元企業として参加したこと。「このプロジェクトで冷凍技術や製造ノウハウなどを学ぶことができ、大変貴重な経験だった」(森達雄社長)と語る。

 ここで得た経験・技術を基に、フロンの代わりに水素吸蔵合金を使いコンパクトで省エネルギー型の中規模冷凍機の開発をスタートさせた。その実現に向けて関連技術を有する企業に呼び掛け、新連携申請をまとめたのが大手企業で豊富な製品開発の実績がある、田端顧問の所属する西条産業情報支援センター(SICS)だった。

 冷凍機グループにはエム・エス・イー、谷口金属熱処理工業所、クライオユニットグループには伊藤エンジニア、ホクト技研、フラスコが参加し、開発を加速した。さらに内田裕久・東海大学教授、産総研四国研究センター、新居浜工業高等専門学校の協力を得て05年9月に「新連携」の認定を受けた。
 「SICSの支援がなければ企業の参加はもちろん、新連携の認定も不可能だった」(同)と、支援機関のありがたさをかみしめる。


【脱下請けを目指すケーススタディの見本に】

 06年3月に0・6冷凍トン(水0・6トンを24時間で氷にする)の能力の試作機を完成させ、お湯(95度C)と地下水(約15度C)との温度差わずか80度Cでも冷凍できる装置の開発にめどを立てた。通常の冷凍機と比べ、価格は150万円程度と、50万円ほど高いが、電気代を年間16万5000円節約でき、約3年で回収可能。CO2の排出も大幅に抑制できる。

 07年度には大きさを2メートルの立方体サイズに省スペース化した製品が完成し、08年度には能力別に0・3、0・6、1・0冷凍トンの3種類にシリーズ化を図る。

 一方、クライオユニットは、エネルギーロスを抑える特殊樹脂を使ったバルブやインラインポンプなどの開発を終え、07年度中の販売を計画している。「脱下請けを目指す中小企業がこの新連携に取り組むことで将来、自社製品を開発する際の良いケーススタディになると各社が喜んでいる」(同)と新連携による別の大きな成果を挙げる。

 課題は希少金属の水素吸蔵合金の価格が3倍に高騰していること。場合によっては設計変更などによりさらなるコストダウンを図る必要がある。06年10月にはポーランドやフランスの研究者が視察に訪れるなど、海外でも注目されており、09年4月の本格販売を目指した新連携事業は確実に順調に前進している。