製造/中国 「ヒートパイプを利用した屋根用融雪システムの製造・販売」

雪下ろし不要、高齢化進む地域に一役

 積雪量が数メートルに達するような豪雪地域では冬の雪下ろし作業が地域住民の大きな負担となっている。専門業者に依頼すれば相応のコストが必要になるため住民自らが屋根の上にのぼる。この作業は足を滑らし、事故につながる例も多い。また高齢化が進む地域では“かき手”がおらず、雪下ろしそのものが難しいという場所もある。

 ジャスト東海などはこうした問題に対して、屋根に取り付けてさえおけば雪が溶けて落ちるという「屋根用融雪システム」を考案した。ユニークなのはシステムの熱源に地下の“地中熱”を使うという点だ。
 屋根融雪システムは温水循環方式や電熱ヒーター方式などが一部で使われているが、初期投資やランニングコストが高いことなどが課題で、普及が進んでいない。地中熱は地球本来が持っている自然のもので、エネルギーコストもかからない。

 コア企業であるジャスト東海が「ヒートパイプ電熱モジュール」を製造し、ジオパワーシステム(山口県秋芳町、橋本東光社長)が得意としていた地熱の利用技術と掛け合わせた。さらにボーリング業者のカナイワ(金沢市、普輪崎士郎社長)が新たに連携メンバーに加わり、効率的なシステム構築を目指している。実証実験設備を山形大学の構内に置き、本格的な営業展開に控えている。

(株)ジャスト東海


会社名
役割分担
■コア企業
(株)ジャスト東海
ヒートパイプを利用した電熱モジュールの製造、施工
(株)ジオパワーシステム地中熱に関する技術供給
(株)カナイワ地中熱確保のためのボーリング工事



(株)ジャスト東海 志賀 均社長<br> 「イニシャルコストの安さだけでなく、“CO2排出量ゼロ”も大きな特徴です」

(株)ジャスト東海 志賀 均社長
 「イニシャルコストの安さだけでなく、“CO2排出量ゼロ”も大きな特徴です」

【環境配慮型のモノづくりから着想】

 ジャスト東海は94年の創業で、もともとは体育館のフロアなどの床地製品を取り扱っていた。やがて自社製品の開発も始めるようになり、金属の熱伝導技術を利用した熱交換機「サーマルクイック」やジグソーパズル形の床暖房など、ユニークな製品を送り出してきた。
 今回の融雪システムで利用している「ヒートパイプを利用した電熱モジュール」もこうした研究開発の成果から生まれた。

 一方、ジオパワーシステムは地熱や自然素材を用いた独自の住宅工法を営業展開してきた。02年に完成したショールームには地熱を使った換気システムや外壁を使った太陽熱利用システム、雨水を使った屋根散水など「細かいものを入れると50件以上」(橋本社長)のノウハウを盛り込んでいるという。

 両社とも山口県内では研究開発型企業として知られた存在であったが、05年に連携を本格化した。「私自身、東北に住んでいたこともあった。全国を営業で訪れ、雪下ろしに悩む地域が多いことを知った」と、志賀社長は開発のきっかけを語る。
 地熱をエネルギー源にと考えたのはコスト面のメリットに加え、環境への配慮という観点からだった。「もともと当社はすべてリサイクル可能な製品を作るということを掲げてやってきた」という志賀社長。イニシャルコストの安さだけでなく“CO2排出量ゼロ”というのも、システムの大きな特徴だ。

 融雪システムには同社製品「サーマルクイック」を利用している。温かいお湯に1メートルほどのサーマルクイックを差し込むと、数秒で熱が先端部に伝わってくるほどの強力な熱交換力を持つ。地元山口県内で実験を重ねた後、05年11月からは山形大学工学部(山形県米沢市)に実験の拠点を移した。ここで横山孝男教授の指導を受けながら、研究開発を進めている。


【雪国での成果に手ごたえ】

 実験の模様を24時間連続で撮影したビデオを見ると、ヒートパイプ電熱モジュールを取り付けた場所はそこだけ屋根の表面の雪が無くなり、取り付けていない場所とは明確に区別できる。少ない雪であれば付着したそばから消えていき、降り積もった雪もやがてその部分だけ浮き上がるようにして落ちていく。
 こうした結果から実際に購入を検討したいというニーズも数件出ており、製品化に向けた準備も本格化している。ジオパワーシステムは住宅関係で全国に多数の協力店を抱えているため、これらの活用にも期待がかかる。

 また融雪システム以外の使い方も可能性が広がる。学校の体育館での床暖房利用やツララの防止用、道路の凍結防止などだ。また夏場涼しく、冬温かい地熱を利用した空調システムとの組み合わせも考えられる。融雪地帯を知りつくした(株)カナイワ(石川県)の協力を得られることもあり、雪国での実験に「手ごたえを感じている」と志賀社長は期待を膨らませている。