製造/関東 「独自研削技術による片面凹型高周波水晶ブランクの事業化」

水晶板加工の事業化を目指して

 サンライズ工業は自動車用オーディオの組み立て請け負いを主力事業としながら、融雪用のフィルム型ヒーターなどの自社ブランド製品も手掛ける。

 同社は2000年、水晶振動子を使った高周波技術を利用するセンサーなどを研究開発する子会社・サンデバイス(新潟県糸魚川市)を設立した。両社と機械メーカーの丸栄機械製作所(新潟県長岡市)の3社で連携体を組織、水晶振動子用の高周波水晶板の製造を新たな事業に育てようとしている。

 連携体の中でサンデバイスは、研削データの測定や加工品の性能評価などのサポート役を果たす。丸栄機械製作所は専用機の開発設計能力を生かせるという理由で加工機械の開発担当としてメンバーに加わった。

 サンライズ工業はオーディオ組み立て事業でコストダウンを進めるなど、改善を進めて安定した仕事量を確保している。一方で同事業よりも利益率が高い自社ブランド製品事業の研究開発にも熱心で、水晶板製造事業も自社ブランドとして成長させたい考えだ。

 水晶板の加工法は確立しており、サンプルも完成している。現在の課題は安定した品質と低コストを両立した量産方法の確立だ。サンライズ工業と丸栄機械製作所が共同で専用の加工機械の開発を進めている。

サンライズ工業(株)


会社名
役割分担
■コア企業
サンライズ工業(株)
水晶加工法の開発
(株)サンデバイス加工精度、加工品の評価
(株)丸栄機械製作所水晶加工機の開発



サンライズ工業(株) 林 吉彦社長<br>「事業化、つまり市場を強く意識していましたから、机の上だけで考えていてはいけないという認識がありました」

サンライズ工業(株) 林 吉彦社長
「事業化、つまり市場を強く意識していましたから、机の上だけで考えていてはいけないという認識がありました」

【市場と模倣を意識する】

 サンライズ工業は77年、液晶時計用の電極ガラスの研削加工で創業した。以来、セラミックスや単結晶の加工技術を有しており、ビデオヘッドの加工も手掛けていた。また水晶加工のノウハウも以前から備えており、そのため水晶板の加工事業も創業以来蓄積してきた技術の延長線上にある。

 水晶加工の事業化計画が新連携計画に認定されたのは06年7月。連携体はそれに遡ること2年前の04年ごろから本格的に水晶板加工の事業化を目指して連携に取り組んでいた。サイライズ工業の林吉彦社長は異業種連携に積極的で、10年以上前から今回の事業以外にも共同開発などさまざまな取り組みを行っている。

 連携体は事業化に向けた取り組みの中で「机の上だけで考えていてはいけない」(林社長)と市場を強く意識していた。だから加工法の開発前から市場調査を行い、水晶振動子用の水晶板に関するニーズを把握していた。
 当然、市場調査の中ですぐにサンプルが欲しいなどの反応もあったが、すでに林社長の中には確固たる同事業のマーケティング戦略マップがあった。知的財産権の確保をしっかりしておかないと技術を模倣される心配があったからだ。開発品について「PRするなと言ったこともある」(同)という。


【歩留まり良く、変化に対応する加工法】

 水晶板は丸栄機械製作所と共同開発した専用加工機で凹型に加工する。この加工機は炭化ケイ素を吹き付けて加工する。現在テスト中の加工機は2台目。これを改良した3台目が量産用の加工機になる見込みだ。

 当初は一度に大量に加工する量産機を構想していたが、現在は複数の加工機で事業化する方針だ。加工機がトラブルを起こした場合に製品供給への影響が比較的小さくて済むほか、歩留まり良く生産数量を柔軟に変化させることができるようにする狙いからだ。そのため、事業化段階では加工機械を複数台並べて稼働させ、需要に合わせて徐々に機械の台数を増やしていくという。

 開発した加工法は、薬品を使って溶かす従来の水晶加工法に比べて加工時間が早いことや歩留まりの良さなどの特徴があるという。また環境負荷の大きな薬品を使わなくて済むといった長所もある。
 商品化する水晶板は基本波70メガ−160メガヘルツ(メガは100万)の高周波用。薄い部分の厚さは約20マイクロメートル(マイクロは100万分の1)。加工後の形状によって比較的衝撃に強いことや加工面の反対側が平らなことで電極が付けやすいことなどの特徴がある。

 この独自研削技術による水晶板の加工事業は07年夏ごろをめどに月産10万個の量産体制の確立、初年度5000万円の売り上げを見込んでいる。水晶デバイスメーカーなどに売り込む以外に、連携を商社にも広げて米国など海外で販売することも思案中だ。水晶板の加工事業を「新しい事業の柱に育てる」(同)と意気込みを見せる。