製造/関東 「低コスト光部品調芯実装装置事業」

光関連部品、国内生産でも競争力を実現

 光ブロードバンドの普及で需要が拡大する光関連部品の自動実装装置の開発を目指し、高度な調芯(しん)技術を有するプレサイスゲージをコア企業に、ロボット制御を得意とするメカワールド(静岡県磐田市)、高精度な位置決め技術を持つ神津精機(川崎市麻生区)が連携した。部品搬送から組み立てまでを一貫して自動化する光部品実装装置は業界初という。

 光部品は調芯という光軸上の中心線を一直線上にする組立作業が必要になる。例えば、光トランシーバー用部品の調芯は手作業で行うため、従来は1個3分以上かかっていた。これを独自の自動調芯技術で10秒以内に短縮する。
 さらに新型レーザー照射光学系と、同軸観察カメラの画像処理を駆使し、3方向から2点ずつ計6点を同時に打つ多点溶接により、金属収縮などに左右されないサブマイクロメートルレベルの高精度溶接を可能にする。これに連携メンバーの技術を融合、全工程を一貫して自動化し、高精度で低コストな実装装置の開発にめどをつけた。

 光通信分野では、高精度で大量生産が可能な自動装置が求められている。開発が実現すれば、アジア地域での生産が多い低価格な光部品を、国内で生産しても十分強い競争力を発揮できる。「国内の光関連の設備投資拡大の波が来ている」と、小石結社長も確かな手応えを感じている。

プレサイスゲージ(株)


会社名
役割分担
■コア企業
プレサイスゲージ(株)
光部品実装装置の調芯・実装技術、市場開拓・販売
神津精機(株)超精密加工ノウハウ、精密位置決め技術
(株)メカワールド搬送・ロボット技術提供
職業能力開発総合大学校技術支援
静岡大学工学部技術支援



プレサイスゲージ(株) 小石 結社長<br>「自動化実装装置の導入により人手がかからず不良率が低下し、さらに輸送コストも不要となります」

プレサイスゲージ(株) 小石 結社長
「自動化実装装置の導入により人手がかからず不良率が低下し、さらに輸送コストも不要となります」

【光軸調整と精密溶接を自動化】

 光関連部品には、光スイッチや光スプリッターなどの受動部品と、送信用レーザーダイオード(LD)や受信用フォトダイオード(PD)などの能動部品がある。プレサイスゲージは、主に神津精機と受動部品の低コスト自動実装装置、メカワールドと能動部品の高精度な自動実装装置を開発中だ。

 光トランシーバーの実装装置は、前工程となる能動部品の高精度化が先決との観点から、半導体製造技術を応用したマイクロマニピュレーター(超小型ロボット)の開発に着手し、光トランシーバーの構成部品の高精度実装の実用化にこぎつけた。
 またモジュール組み立てという後工程については、独自の高速調芯技術に加え、新型レーザー照射光学系と、同軸観察カメラの画像処理を駆使した自動溶接技術により、高速・高精度化を成し遂げた。

 自動溶接は3方向から2点ずつ計6点を同時に打つ多点溶接により、金属収縮に左右されない精度の高さを実現している。前工程の能動部品の高精度実装と、後工程であるモジュールの光軸調芯と精密溶接を自動化したことにより、「従来、1時間当たり4個程度だった生産を、同60個以上に高速化できるめどが立った」(小石社長)としている。
 さらに高速化を実現するため、LDやレンズなど部品組み立て精度を高め、完全自動の量産機を開発する考えだ。神津精機とは、光スプリッター、光スイッチなど光導波路部品の実装装置の共同開発も進めており、その成果が期待される。


【放電融着技術は実用化間近】

 究極の低コスト実装方式といわれる光部品放電融着技術の開発にもトライしている。放電融着技術は、職業能力開発総合大学校(神奈川県相模原市)が評価、試験などで協力している。すでに同技術で光通信の主要部品の生産を予定している企業もあり、実用間近なところまできている。

 同社の調べによると、国内の家庭用光ファイバー通信回線(FTTH)と呼ばれる光ブロードバンドの加入者は、月間30万件の勢いで伸びているという。これに伴い光関連部品製造には高精度化と低コスト化の両立が求められている。現在、光部品は主に中国やアジア諸国で生産されるが、全自動化により高精度な光部品を低コストに生産できれば、国内回帰の動きが活発化しそうだ。

 自動化実装装置の進歩は人件費の安い海外工場との競争力アップにつながる。「国内工場への同装置の導入により人手がかからず不良率が低下し、さらに輸送コストも不要となる」(小石社長)。このため1個当たりの生産コストを大幅に低減することが可能という。