製造/九州 「従来にない強化・断熱複合塗料の製造販売」

劣化スレートを再生させる

 スレートや鋼板などでつくられた屋根板や壁面に特殊塗料を吹き付けて、老朽化した屋根板や壁面を再生する。すでにYKK九州工場(熊本県八代市)から20万平方メートル受注し、施工した実績がある。塗装の前処理や安全対策は迫田板金工業、塗装機器や塗装技術の開発は高口塗装が担当する。

 現在、全国各地でアスベストによる健康被害が続出しているため、これを商機ととらえて国内市場を一段と深耕する。「スレートの耐用年数は30年が目安。劣化したスレートを再生させることで、廃棄物を減らし環境にも貢献できる。全国の古い屋根を復元していきたい」(村井正隆ムライケミカルパック社長)という。

 また、海外の日系工場や輸送コンテナメーカーなどにも新たに提案していく。タイなど東南アジアにある日系の多くの工場が老朽化しているからだ。さらにコンテナ表面に塗装するとコンテナ内部の温度の上昇を抑制できることから、冷凍コンテナなどを対象に塗料の利用を促す。「内部が約20度C下がるため、冷却コストを抑制できる」(同)としている。

ムライケミカルパック(株)


会社名
役割分担
■コア企業
ムライケミカルパック(株)
開発/製造
迫田板金工業(株)施工技術開発
高口塗装施工技術開発
誠新産業(株)販路展開



ムライケミカルパック(株)<br>村井正隆社長

ムライケミカルパック(株)
村井正隆社長

【強化・断熱塗料の施工を全国に展開】

 ムライケミカルパック(福岡県久留米市)は「従来にない強化・断熱複合塗料の製造販売」というテーマで「新連携」に認定された。村井正隆社長は「信用力の向上や顧客へのPR材料になる。何より当社の技術を国から認めてもらったことがうれしい」と話す。

 今回の事業は塗装関連業の迫田板金工業(久留米市)、塗装機器メーカーの高口塗装(熊本県八代市)、商社の誠新産業(福岡市中央区)の3社と連携して推進する。塗料の製造販売や施工などを行うムライケミカルパックは、これまで迫田板金工業、高口塗装と協力して塗装事業を展開しており、今回の事業でも連携する。

 村井社長は「塗装機器などの知識がないと、事業を進めるのは困難」と連携の利点を話す。さらに海外との取引が豊富な誠新産業を加えて、海外市場への参入を本格的に進める考えだ。

 今回の事業の目標は、市場を開拓すること。そのための製品である強化・断熱複合塗料は、ムライケミカルパックがすでに開発している。製品名は「ケミカルカチオンパック」で、セメントなどを混ぜた3種類の特殊塗料で構成する。塗料を屋根板や壁面などに吹き付けると耐負荷重量が70−100キログラム増すほか、高い断熱効果があるという。村井社長は「工場の屋根などに塗装すると、夏場の室内温度が床上1・5メートルの地点で約4度C下がる」と効果を語る。

 また、塗料にはアスベスト(石綿)の飛散を防止する効果もあるという。スレートを屋根板として使っている工場が全国各地に点在しているが、古いスレートの多くはアスベストが混入しており「劣化すると粉塵が空気中に散る可能性がある」(村井社長)と指摘する。しかし、この塗料はスレート内部に含浸して、表面を固めて粉塵の飛散を防ぐ機能を持つという。さらに簡易に施工・再生でき、施工中に工場などの生産活動を妨げない優れものだ。


【海外展開も視野に】

 課題は、地域に根ざした施工体制を整えることだ。連携企業だけで全国からの案件を受注し施工していくことは困難としており、全国各地に施工業者を設けていくことが事業の成否のカギを握る。資金面では「中小企業は研究開発の資金に限界がある。政府系金融機関からの低利子融資の条件をもう少し緩和してほしい」(同)と訴える。

 今後は、営業マンを増強して受注力を強化するほか、施工業者への支援を強化していく。さらに誠新産業などの協力を得て海外での事業展開を始め、05年度は5億円の売り上げを目指す。「5年後には売り上げを35億−40億円まで拡大する」(同)考えだ。