製造/東北 「タケ燻蒸乾留材粉末を使用した新商品事業」

乾留竹の微粉末で抗菌・消臭グッズ開発

 青竹の表面をじっくりあぶり、表面に荒縄で磨きをかけて自然乾燥させた乾留竹。本来は職人技により2メートルの竹で1日に5本程度しか生産できないような非常に手間のかかる高価なものだ。

 チャコールは地元鶴岡産の孟宗竹を活用し、専用の釜で燻煙させて竹の水分を取り、さらに独自の研磨技術で大量生産することに成功した。色合い、風合いを生かした花器や食器、建築材料として販売するほか、粉末を使用して抗菌、消臭グッズを開発している。

 チャコールの乾留竹粉末材は抗菌性、防臭、消臭性が高く、さらに生竹と同じ白色であることから、他社製品と比べて多くの色に染色できるのが特徴だ。そこで捺染(なっせん)・染色技術を持つ芳村捺染、デザイン企画力と縫製、販売力を持つファミリー・ファッションと連携体を組織。樹脂系接着剤に配合、あるいは草木染染料などで染色してプリントした布地を使用して、抗菌、消臭効果の高いペット用衣類や介護用衣料寝具類を生産、販売している。

 効果については技術連携している山形大学農学部をはじめ、各公的機関の実証試験で確認済み。拡大するペット市場やスポーツ衣料向け製品の開発を行うとともに、介護用品関連では、すでにヒット商品も生み出した。そのほかにも全国からさまざまなアイデアが寄せられており、試作化や販売ルートの研究を通じて製品化を進めている。

(有)チャコール


会社名
役割分担
■コア企業
(有)チャコール
乾留竹による竹粉の製造
(有)芳村捺染捺染(プリント)・染色
(株)ファミリー・ファッションデザイン企画・縫製・販売



(有)チャコール  大川皓司社長<br>「1−2年目は消臭、3年目は抗菌分野に力を注いできました。これからは乾留竹の認知度の向上を図っていきます」

(有)チャコール 大川皓司社長
「1−2年目は消臭、3年目は抗菌分野に力を注いできました。これからは乾留竹の認知度の向上を図っていきます」

【厄介者の竹に意外な効果が】

 原子爆弾が投下されて焦土と化した広島で、まず始めに息を吹き返した植物が孟宗竹と言われている。1日に1メートル以上伸びる生命力を持つが、それ故に異常ともいえる繁殖力によって住宅街への侵食や竹林の荒廃などを引き起こし、人間の社会生活を脅かす存在にもなり始めた。

 チャコールの大川皓司社長が以前、経営していたゴルフ練習場でも、人工芝を突き破って次々と生えてくる竹に悩まされていた。そこで山形大学農学部と相談して竹炭づくりを開始。竹炭を入れて炊飯すればおいしくなると評判になり売り上げも伸びたが、安価な輸入品に押され徐々に低迷した。そこで二次製品として考えたのが乾留竹だ。
 
 竹は200度C以上の熱を加えないと色が付かない。しかし通常は100度C程度で破裂してしまう。同社は250度Cでも割れない技術を確立。製造特許を出願した。1時間程度で焼き上がり、しかも色づいた表面に対して内部は白いままなのが他社製品との違いだ。

 しかも乾留材加工時にでる白い粉が、山形大学の検査によって大きさが20マイクロメートル(マイクロは100万分の1)の微粉末であることが分かった。この粉を固着させた布地を日本化学繊維検査協会で消臭試験したところ、2時間後に70%、洗濯10回後に45%の消臭力が残っているのが確認された。
 

【消臭力でヒット商品、抗菌に可能性も】
 
 06年1月、この布地を「ベンチャーフェアJAPAN」に出展。そこで人工肛門(こうもん)・人工ぼうこう保有者の団体である日本オストミー協会の目に留まり、アンモニア消臭効果に期待して竹粉をコーティングしたパウチ(便や尿を受ける袋)カバーの作製を依頼された。
 試作品のモニターによると、装着して2日間は全く臭いが漏れず、また洗うか3時間ほど風にさらせば臭いは無くなっていた。そこで06年10月から販売を始め、1カ月で約500セットを出荷。今後はそれ以上の伸びを見込んでいる。

 連携事業開始から1−2年は消臭に重点を置いた商品開発をしてきたが、3年目からは抗菌分野にも力を注いだ。日本紡績検査協会の抗菌性試験によると、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)や黄色ブドウ球菌、風邪、花粉などを除去することが実証された。このことから、ウレタンに乾留竹粉を固着させたマスクを近く製品化するほか、介護用寝具などにも新たな可能性がありそうだ。

 その一方で「乾留竹の認知度を向上させるのが先決」(大川皓司社長)としており、竹の処分に困っている地域を対象に、乾留竹の製造と技術においてコンサルタント契約したい企業を募集する。焼き窯製法のノウハウをはじめ各種技術を委譲し、乾留竹の価値と魅力を全国に普及させる計画だ。

 竹の持つ力を活かした商品開発を積極的に進めながら、竹林産業の活性化とともに、新たな応用製品(竹の子)が日本の各地から誕生することを大川皓司社長は期待している。