製造/九州 「複雑自由に加工できる三次元造形システムによる新たな立体造形商品の事業化」

段ボールで動物フィギュア

 大分県内の中小企業3社が連携し、コア企業の事業拡大を目指す。コア企業のアキ工作社(大分県国東市)は、段ボール板紙を使用したマネキン、動物フィギュアの生産が事業の柱の一つ。ターボブレード(大分市)、ジェイ・パック(大分県由布市)と専用CADソフトの開発、紙材の研究でそれぞれ連携し、事業を拡充するのが狙いだ。

 マネキンや動物フィギュアは、複数の段ボール板紙を立体的に組み合わせて造形する。このため1製品に数十枚の段ボール板紙が利用され、形状も1枚ごとに異なる。現在は段ボール板紙1枚ごとに建築用CADと3次元CADを使い分けしながら設計しており、設計時間の短縮が課題となっていた。

 ターボブレードが開発を目指すのは、3次元の立体デザインから段ボール板紙1枚ごとの設計を自動的に行う専用のCADソフト。完成すれば設計時間が短縮できるほか、製品のレパートリーを容易に増やすことが可能だ。

 ジェイ・パックは段ボールを使ったパッケージの設計や製造、段ボールに張る紙材を研究し、機能やデザイン性を高める。アキ工作社は製品のカラーバリエーションを増やす考えで、そのためには段ボール板紙に色が付いた紙を張り合わせる必要がある。だが段ボール板紙に張り合わせることができ、さらにレーザー加工時に燃えないようにするなど条件は厳しい。ジェイ・パックは菓子メーカー向けなどに紙器を生産しており、紙に関する知識を豊富に持ち、紙器の専門家として技術面から支援する。

(有)アキ工作社


会社名
役割分担
■コア企業
(有)アキ工作社
商品企画・製造・販売
(有)ジェイ・パック素材の開発
(有)ターボブレードソフト開発



(有)アキ工作社 松岡勇樹社長<br>「海外展開はすでに先行しているので、今後は国内販売を拡大していくつもりです」

(有)アキ工作社 松岡勇樹社長
「海外展開はすでに先行しているので、今後は国内販売を拡大していくつもりです」

【海外から高い評価】

 アキ工作社は、レーザー加工で造形した複数の段ボール板紙を組み合わせた構造のマネキンや動物フィギュアを販売している。現在の売り上げは約2000万円と、事業としては小粒。だが売り上げの半分は輸出で、海外から先行して高い評価を得ており、今後、国内販売を本格化させる。事業拡大に向けて効率的生産体制の確立と高付加価値製品開発のため、それぞれ専門の技術を持つ会社と連携した。

 アキ工作社の松岡勇樹社長が段ボール板紙を組み合わせたマネキンを考案したのは1997年。手作りの段ボール製マネキンを服飾の展示会で使ったところ、斬新(ざんしん)なデザインに多くのアパレル関係者から好評を得たという。その後、いろいろな方面に事業化を働きかけるが、乗り気の会社はない。そこで98年、自らが生産し、事業化することを決断した。


【本格販売はこれから】

 段ボール製マネキンは、まず組み合わせる段ボール板紙を1枚ずつ建築用CADで設計し、それを3次元CADにデータを移して完成時の立体画像を確認。その後、設計データをレーザー加工機に入力、レーザーで板紙を1枚1枚切断する。こうして切断した紙を立体的に組み合わせて完成となる。

 現在はマネキンのほか、動物フィギュアを生産し、米国、欧州、韓国へ輸出もする。国内での本格販売はこれからで、「東京など首都圏から順次販売地域を拡大していきたい」(松岡勇樹・アキ工作社社長)という。そのためにも効率的な生産体制の確立が急務の課題だ。

 ターボブレードの協力を得るのは、設計時間の短縮につながる専用CADソフトを開発するため。ターボブレードは風力発電機のブレード専用CADソフトを開発するなど、独自の技術力を持っている。現在、アキ工作社では建築CADと3次元CADを使い、板紙1枚ごとに形状を設計している。これを最終立体造形さえデザインすれば、1枚ごとの板紙の設計は自動的に行われるようにするのが目標だ。

 また製品のデザイン性向上には紙器メーカーのジェイ・パックとタッグを組む。段ボール板紙は通常、茶色がかっている。当然、段ボール板紙に別の紙を張り合わせることで、赤や白などカラーバリエーションが豊富になる。また会社のロゴマークなどを印刷した紙を張り合わせれば、宣伝ツールとしても利用可能と考えている。

 現在、約2000万円の売上高を2011年度に1億円へ増やすのが当面の目標だ。生産能力を増強するため、新たなレーザー加工機を導入する準備も進めている。設計時間の短縮による効率的生産、デザイン性向上による製品展開の拡充、さらには生産能力増強など、建築家だった松岡社長の経営者としての鍛錬期はしばらく続きそうだ。