製造/九州 「パレット用荷崩れ防止ベルトの開発および販売」

繰り返し使用でき環境に優しい

 物流倉庫やトラックの荷台などに積まれているパレット(荷物が積み重なったもの)および搬入台車は、ストレッチ(伸縮)フィルムなどで包装・拘束し、荷崩れを防いでいる。しかしストレッチフィルムは一度しか使用できず、使用後はフィルムの処理費用が必要なほか、焼却処理の際に二酸化炭素(CO2)が発生しているのが現状だ。

 こうしたなか、井上製氷冷蔵は日本ワイドクロスやアサヒゴム加工、ビーエフなどと共同で、繰り返し使用できる荷崩れ防止用ベルト「グリーンベルト」の開発・販売に取り組んでいる。ストレッチフィルムに比べて処理費用やCO2の発生が抑えられるほか、通気性が高いため冷蔵・冷凍のパレットにも対応できるのが特徴だ。

 通常、ベルト部の素材には伸縮のためにゴムを使うが、あえてゴムは採用しなかった。ゴムは冷えると硬化して切れやすくなるため「冷蔵・冷凍室での使用は困難」(井上社長)という。そこでベルト部の素材はポリエチレンおよびポリプロピレンとポリエチレンの混合素材などを採用した。これらの素材をラッセル織り(立体的に編み込む)で組み合わせることで、ベルトの伸縮を可能にした。

 現在のところベルトの幅は25cmと35cmの2種類だが、長さなどは用途に応じて、さまざまな種類を用意している。運送業者や倉庫業者など荷物を扱う業者に利用を促していく構えだ。

井上製氷冷蔵(株)


会社名
役割分担
■コア企業
井上製氷冷蔵(株)
商品の特許・開発・販売
日本ワイドクロス(株)商品の製作
アサヒゴム加工(株)商品の製作
協同組合ビーエフ共同購買・協同企画
福岡県冷凍業協同組合共同購買・協同企画 
FCネットワーク(任意団体)共同購買・協同企画
福岡県知的所有権センターアドバイザー
日本技術士会九州支部アドバイザー(連携メンバーではないが活動に参加)



井上製氷冷蔵(株)  井上裕文社長<br>「フィルム包装に比べて、荷崩れ防止のためのコストを約20分の1にできます」

井上製氷冷蔵(株) 井上裕文社長
「フィルム包装に比べて、荷崩れ防止のためのコストを約20分の1にできます」

【冷蔵・冷凍室で保管する荷物に対応】

 井上製氷冷蔵は1946年(昭21)に製氷事業を開始。現在は冷凍・冷蔵の荷物の保管業務(収容量1万8000トン)や加工氷・業務用保冷剤の製造販売、3温度帯(ドライ・チルド・フローズン)荷物の包装・配送などを行っている。

 グリーンベルトの開発を思いついたのは2004年。井上社長がパレットをストレッチフィルムで巻いていた時、フォークリフトに衝突したことがきっかけだ。ストレッチフィルムの包装は、周囲に作業スペースがないと荷物や作業車に衝突する恐れがある。しかも使用済みフィルムの保管場所や焼却処分費も必要だ。

 「ストレッチフィルムに替わるものはないだろうか」。井上社長が代替品を探していた時、新連携による支援事業を知った。新連携に認定されると、低金利融資や補助金が得られるほか、専門家によるアドバイスも受けられる。「パートナーと組んで開発しよう」。井上社長は自社開発を決断した。

 開発には2年を要した。再利用できるようパレットを拘束するベルトを考えついたが、ベルトの素材にゴムを使うと冷蔵・冷凍の荷物に対応できない。そこで素材や織り方を工夫し、ゴムを使わず伸縮できるようにした。布やゴムに比べてベルト部の通気性が高く、野菜や冷凍食品など冷蔵・冷凍室で保管する荷物に対応できる。

 またフィルム包装に比べて短時間に拘束でき、煩雑な包装作業も省ける。井上製氷冷蔵が実施した実験では、1000回再利用できることも確認している。「フィルム包装に比べ、荷崩れ防止のためのコストを約20分の1にできる」(井上社長)という。このほか、より強固な拘束を求める顧客に対応し、パレット全体を拘束する「グリーンアングル」も開発した。


【1000回再利用できる性能で環境意識の高さをPR】

 製品の製作は日本ワイドクロスとアサヒゴム加工が担当。販売面は経営コンサルタントのビーエフや、FCネットワーク、福岡県冷凍業協同組合などが担う。現在は、コア企業や連携企業が集まって開発委員会を毎月1回開き、グリーンベルトの改良や販売戦略を話し合っている。

 また9月までに東京コンテナ工業(東京都千代田区)など9社と代理店契約を結んだ。今後は07年中に販売代理店を現在の9社から18社まで倍増し、東京や九州の運送業者や倉庫業者などへ拡販する戦略をとる。さらにビーエフなどと全日本トラック協会(東京都新宿区)にも利用を促す方針だ。

 現在、多くの企業が使用済みフィルムを焼却処分しているが、グリーンベルトを採用すると焼却時に発生するCO2が削減できる。井上社長は「グリーンベルトを使っている運送業者にグリーンベルト使用中のシールを配布し、環境意識の高さをアピールしてもらう」と意気込んでいる。