製造/中国 「新しい舶用電子制御コモンレール型ディーゼルエンジンの燃料噴射制御装置の製造・販売」

環境にやさしい舶用エンジンの燃料噴射制御装置の事業化

 舶用エンジン部品を製造するショウエイ(岡山県美作市)がコア企業となり、舶用ディーゼルエンジンの燃料噴射制御装置の事業化を目指す。

 現在、舶用ディーゼルエンジンの分野でも排ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)など、大気汚染物質の低減に向けた環境面での関心が高まっている。また原油高騰などコスト面にも課題がある。そうしたなか燃費向上と排ガス中の有害物質の低減が図れるコモンレール型舶用ディーゼルエンジンへの移行が見込めることから、同エンジン用の燃料噴射制御装置に注目した。

 コモンレールは高圧化した燃料を蓄え、各シリンダーに均一に供給するシステム。電子制御により燃料の噴射圧力、噴射時期、噴射量をきめ細かくコントロールすることで、理想的な燃焼を実現する。
 しかし、これに用いる燃料噴射制御装置には最適な燃料噴射量を超高圧下においてリアルタイムに制御する機能が必要。これに対応するには「構成部品の材料選定や精密加工、熱処理、精密組み立てが要求される」(辻井説三ショウエイ社長)。

 連携各社が持つ高度な技術と豊富な経験を活用して、2006年6月に同装置の製造方法を確立した。造船業が盛んなアジア地域を中心に供給する意向で、市場性は極めて高い。

(株)ショウエイ


会社名
役割分担
■コア企業
(株)ショウエイ
燃料噴射制御装置の製造・開発
(株)愛康精密切削加工
(株)谷口金属熱処理工業所主要部品の表面熱処理



(株)ショウエイ 辻井説三社長<br>「新事業はアジア地域における唯一の供給先となるもので、新規性は極めて高いと思います」

(株)ショウエイ 辻井説三社長
「新事業はアジア地域における唯一の供給先となるもので、新規性は極めて高いと思います」

【2008年度までの受注確保】

 ショウエイは太平洋戦争中、大阪で創業。焼玉エンジン部品の製造からスタートし、1987年には岡山県大原町(現在美作市)に全面移転した。大型カムの製造を得意とし、舶用ディーゼルエンジンのカムでは全世界の65%のシェアを持つ。

 「新しい舶用電子制御コモンレール型ディーゼルエンジンの燃料噴射制御装置の製造・販売」をテーマにした新連携事業は、06年2月に認定を受けた。燃料噴射制御装置の材料選定、製造、販路開拓を担当するショウエイをコア企業に、精密切削加工の愛康(愛知県小牧市)、熱処理など主要部品の表面処理の谷口金属熱処理工業所(愛媛県西条市)が連携、事業化を進めている。

 きっかけは取引先のバルチラスイス社からのオファー。06年6月には同装置の製造方法を確立し、バルチラスイス社を経由して同社のライセンシーを持っている舶用エンジンメーカーに供給する。すでに「08年度分までの受注を確保できた」(辻井説三ショウエイ社長)と、早くも表れた成果に大満足。新事業は「アジア地域における唯一の供給先となることから新規性は極めて高い」(同)という。

 同装置は100メガパスカルの高圧にも耐えるコモンレール方式の燃料噴射制御装置。「FLEX96C」と呼ばれるエンジン内径960ミリメートル用までのタイプの製造についてバルチラスイス社から認可を得た。


【仕上げの加工精度は1マイクロメートルレベル】

 部品一つひとつについても全品検査の厳しいチェックの目が向けられ、その履歴を残すように指示されている。仕上げ加工はショウエイが担当するが、これまでの10マイクロメートルレベルより1桁厳しい精度が要求され、「誤差ゼロを目指さないと実現が難しい作業」(同)。またLR(ロイド船級協会)やドイツ、韓国の検定にもパスする内容。

 ショウエイでは、バルチラにあるテスト装置と同等のものを、本社工場にも設置し、部材から製品にいたるまで万全の検査体制を整えている。また燃料噴射制御装置の生産に合わせて、本社工場内に1320平方メートルの恒温室ヤードも設置した。さらに技能者の養成についてもマンツーマン方式で、スキンシップを大切にしながら進めている。

 新連携事業に認定されたことで「融資や量産化面などで効果があった」(同)としており、06年度に創設した岡山県融資制度「岡山県成長企業支援資金(ジャンプ!)」の第1号案件としても、燃料噴射制御装置の製造に取り組む同社が承認された。
 本社隣接地に恒温室を増設するなどして量産化に対応する方針だが、今後の展開などについては「取引先との秘密保護義務などがあり、明かせない部分も多い」(同)という。