製造/関東 「大型液晶ディスプレイパネル(LCD)・薄型フィルム・半導体極薄ウエハー向け静電チャックの事業化」

5年後に50億円に

 筑波精工の静電チャック技術を核とし、豊和産業の電極技術、テクノデバイスのコントローラー技術を合わせて低電圧で高吸着力を発生する静電チャックの開発、事業化を目指す。

 液晶ディスプレイパネルや半導体ウエハーの保持・搬送はメカチャック、バキュームチャックが主流だが、局所ストレスがかかるため、近年の大型化や薄型化への対応が難しくなっている。それだけに静電チャックの採用が見込まれており、「5年後に事業規模50億円」(柿撫ョ志筑波精工社長)と意気込む。

 現在はウエハー向けハンディタイプ「ソフトパーム」、厚さ数マイクロメートルの薄型フィルム搬送向け「ティンハンド」の2種を展開している。ソフトパームは接触面全体に均等に支持力を分散するのが特徴で、凹凸面のある対象物も吸着できる。一方、ティンハンドは薄物をソフト支持し、移動時にしわや傷をつくらないのが特徴。重ねたフィルムが静電耐電で張り付いていても1枚ずつ吸着できる。

 今後は大型液晶パネル向けの用途開発に取り組む。これは、面寸法2メートル角超の上下2枚のガラス基板を、真空環境下で高平面度に相対位置調整できるようにする考え。「メーカーの設備投資意欲は強い。真空装置メーカーや液晶パネル製造装置メーカーからの引き合いもあるので、独創技術を売り込んで事業を伸ばしたい」(同)としている。

筑波精工(株)


会社名
役割分担
■コア企業
筑波精工(株)
開発・製造
豊和産業(株)電極製作
(株)テクノデバイスコントローラー製造



筑波精工(株) 柿撫ョ志社長<br>「連携で開発負担が減り、スピードも上がった。独創技術を売り込んでいきたいです」

筑波精工(株) 柿撫ョ志社長
「連携で開発負担が減り、スピードも上がった。独創技術を売り込んでいきたいです」

【次世代静電チャックへ参入】

 静電チャックは静電気を帯びている対象物同士が引き合ったり、反発しあうクーロン力を利用している。ただ、従来型は高電圧でなければ吸着力を保持できないため、対象物にストレスを与えることも少なくない。

 これに対して筑波精工の静電チャックは独自の技術により、低電圧で強い吸着力を発生させるとともに、従来では吸着不能であった高電気抵抗対象物を吸着することもできる。対象物に電気的ストレスを与えず、安定的に対象物を保持できるのが特徴だ。

 具体的には、対象物の裏面に電界を発生させないため、ホコリが付着せず、積み重ねた薄いフィルムを1枚ずつ吸着できる。しかも大気中はもちろん、真空引き中の操作でも放電しないため、対象物の回路パターンへの影響が無く導体から絶縁体までの素材に対応できる。
 また、独自の電源コントローラーで内部の電極に電圧をかけ、対象物の表面に逆電圧を誘導し、安定した吸着力を実現している。


【産学連携からのスタート】
 
 筑波精工の静電チャック技術は、傅寶莱取締役が学生の時に、樋口俊朗東京大学工学部教授と共同出願した「静電気力を用いたガラス板の浮上ハンドリングおよび駆動」の基本特許が原点だ。
 傅氏は坂井正明(前)筑波精工社長(当時は三洋シリコン電子社長を兼務)から奨学金を受けていた縁で、三洋シリコン電子に入社。その後、筑波精工への静電チャック技術移管に伴って異動し、実用化に取り組んできた。

 ただ、実用化へはいくつかの壁があった。一つは電極の問題。シート状電極の成形技術と量産ノウハウが必要だったが、これがなかった。このため、複数の会社に打診。「なかでも熱心に相談に乗ってくれ、試作品の製作にも取り組んでくれた」(柿侮ミ長)のが豊和産業だった。
 もう一つの問題が電源コントローラー。低電圧対応型を独自開発する必要があったが、これは制御基板回路の設計技術を持つテクノデバイスが開発してくれることになった。「3社連携で開発負担が減り、スピードも上がった」(同)。

 産が学(学生)を育て、学が産の原動力となる。こうした三洋シリコン電子と東京大学との産学連携に端を発し、筑波精工に移管してからは3社連合で約3年間かけて実用化にこぎ着けた。これらの実績が高く評価され、新連携の認定も受けた。
 「認定されたことで、取引先の反応が予想以上に良くなった。『新連携フォーラム』といった展示会もあり、アピールの場が増えている。支援を生かして弾みをつけたい」(同)。事業はこれからが本番だが、期待は膨らむ一方だ。