製造/中部・北陸 「低価格で使い勝手の良い、環境に優しい木粉を使った不燃リサイクルボードの製造販売事業」

産学連携で生まれた不燃液剤で建築廃材が生まれ変わる

 金沢工業大学との共同研究で不燃液剤を開発したトラストライフがコア企業となり、木製家具メーカーのマイスター・マトバと連携。建築廃材や間伐材を砕いた木粉に同液剤を含浸し、加温加圧した不燃リサイクルボードの開発に成功した。以前からトラストライフと取引関係にあった商社のモリトが販売で加わり、3社による連携事業に発展した。

 製品は、廃棄物として処理される間伐材や建築廃材を粉砕した木粉が原材料なので、従来の不燃ボードより安価で、設計の自由度が高いなどの優位性を持つ。従来ボードで使用している接着剤は、発熱性が高く、法律の定める基準値を下回ることができなかったが、不燃リサイクルボードの開発途上で不燃溶剤に接着力があることが判明し、製品化に成功した。

 ボードは、モリトを通じて販売され、製造設備の増強や製品の備蓄管理もモリトが行う。なお不燃リサイクルボードの特許は、トラストライフとマイスター・マトバが取得している。

(株)トラストライフ


会社名
役割分担
■コア企業
(株)トラストライフ
商品企画/不燃液剤特許
(有)マイスター・マトバボード製造
モリト(株)販路開拓



(株)トラストライフ<br>尾崎健社長

(株)トラストライフ
尾崎健社長

【建築廃材を不燃ボードにリサイクル】

 トラストライフは、マイスター・マトバ、モリトとともに製造販売する「不燃リサイクルボード」で、中部経済産業局から新連携の認定を受けた。従来の不燃ボードに比べ安価で、アルミなどの金属材料の代替として需要増加を見込む。特徴はリサイクル商品であること。

 連携は、木製家具メーカーのマイスター・マトバが間伐材や建築廃材の再利用を試みたことがきっかけ。これらを細かく砕き、圧接しただけの木粉ボードでは意味がないと、不燃加工を考えたが、木粉を固める樹脂製接着剤は燃えやすく、不燃化が難しい。そこで石川県工業試験場(金沢市)に相談を持ち込み、トラストライフを紹介してもらった。

 トラストライフは金沢工業大学環境化学科の露本伊佐男助教授と共同開発した高濃度のホウ酸ナトリウム水溶液による不燃液剤「ファイアレスB」を製造販売していた。すでに同液剤は、繊維にしみ込ませた台所用消火タオルとして販売実績を持つ。

 その後、両社で不燃リサイクルボードの開発を進め、課題だった接着剤も、同液剤が接着機能を持つことが分かり、完成を果たした。以前からトラストライフと取引関係にあった履物資材・アパレル資材などの専門商社、モリトを通じて販売することになった。製造設備の提供や、製品備蓄もモリトが受け持つことにした。


【生産体制の拡充へ】

 新連携のメリットについて、トラストライフの尾崎健社長は「それぞれの役割がはっきりして事業化しやすい」と語る。販路開拓などは得意な企業が担当し、複雑な業務も協力によって解決できる。また、ボードの生産体制確立後に需要増が予想される不燃液剤の増産に向けた材料費などの準備資金に、認定で得た補助金を充てることができ、「大いに助かっている」(尾崎社長)。さらに原価低減のための専門家の派遣や、事業化に向けた市場調査など、中小企業基盤整備機構の後押しにも満足げだ。

 今後は、商品アイテムの拡充とトータルコストの低減を目的に、生産体制の充実に重点を置く考え。マイスター・マトバは2005年12月に縦90センチ×横180センチ×厚さ1・5センチメートルのボードが月4000枚生産できる設備を導入する。続いて、06年度中には大阪、九州地区にそれぞれ同5000−8000枚のボードが製造できる工場を建設する計画。

 中小機構北陸の調べでは、不燃ボードの市場は年間420億円規模。そのうち同社が狙うシステムキッチン市場は100億円程度という。さらに最近では、老人介護施設などで従来のアルミ、鉄製の棚などが、不燃ボードを使った製品に置き換わりつつあるとの調査結果もある。「市場が拡大傾向にある今がチャンス」(同)と、3社の連携で大きな花を咲かせる構えだ。