IT/東北 「無線を利用したフレキシブルな監視・観察システムの事業化」

画像送信装置と自動分類ソフトが融合

 ビジネスプロセスの「見える化」に取り組む企業が増えている。これはトヨタ生産方式に端を発した状態認識から早期の問題対処を狙った管理スタイルだ。HI−SOをコア企業とする、遠隔地で撮影した画像データの無線による自動送信などを行う監視・観察支援システム「エコノミー・メールイン」の事業化の狙いも、まさにそこにある。

 このシステムは撮影した画像を自動送信する装置と、受信した画像データの自動分類を行うソフトウェアで構成される。ソフトウェアは、HI−SO(ハイソ)が企画・設計、ライズが製作する。画像撮影・送信装置は日本テクノ・ラボが製作し、システムの組み立てなどをメンテックス仙台が行う。このほか、販売協力として渡辺パイプ、同システムを利用した実証実験の協力先として東北工業大学がそれぞれ新連携の枠外で関わっている。

 受信した画像データはパソコンの中の関連データベースに自動で登録される。そのため、建設現場の施工画像を設計図上の任意の場所にリンクさせるといった使い方などが可能だ。それによって、その場所が図面通りに施工されているかを画像で確認できるなど、円滑な現場管理を実現した。
 またタイマー機能などを使って自動定時送信することで、新たな監視システムおよび定点観測支援ツールとしても利用可能で、すでに地元の学術研究機関などが導入している。

 「現在は販売網を作っている段階」(小野寿光社長)と、新連携認定をきっかけに、事業化へ本格的に動きだしている。

(株)HI−SO


会社名
役割分担
■コア企業
(株)HI−SO
企画・設計・販売
ライズ(株)ソフト制作
(株)メンテックス仙台システム組立・実証試験
(株)日本テクノ・ラボ画像取得・送信装置の製作



(株)HI−SO 小野寿光社長<br>「工事の進ちょく確認や建物メンテナンス、ISO文書管理のペーパーレス・低コスト化も実現します」

(株)HI−SO 小野寿光社長
「工事の進ちょく確認や建物メンテナンス、ISO文書管理のペーパーレス・低コスト化も実現します」

【汎用性の高さで幅広い分野へ対応】

 「エコノミー・メールイン」は、ハイソなどが建設業向けに開発した画像データベース化ソフト「エコノミー」を元に、画像撮影・送信装置を組み合わせることで04年6月に開発。その後、システムの動作性向上のためにバージョンアップを行ってきたが、「販売網が確立できていなかった」(同)ことが課題だった。そこで販路拡大へ乗り出そうと、07年2月に新連携事業の認定を受けた。

 「システムを開発した時から、いろいろな発展系を想像していた」(同)と言うように、同システムの応用範囲は広い。例えば、建設分野では設計図と施工画像を比較することで、工事の進ちょく状況確認や建物のメンテナンスなどに利用できる。さらにタイマーやセンサーによる自動送信機能を用いることで、さまざまな分野での用途が期待されている。

 特に、無人監視ツールとしては「ビデオと併用することで犯行を未然に防ぐことができる」(同)と、新しい警備システムを提案。センサーが建物への侵入者に反応して画像を警備会社や関係者へ送信することで、その都度、部外者かどうかを確認できる。すでに県内の小学校に同システムの導入が決まっているという。またICタグと連動させれば、タグを付けていない者に絞って撮影するなど、効率的な監視方法も期待できる。

 さらに宮城大学や県農業・園芸総合研究所、古川農業試験場では、農作物の無人育成観察に加え、気象データを遠隔の試験圃場から送信させる実験などに取り組み、一部実用化されている。東北工業大学との産学連携プロジェクト研究にも、その遠隔データ送信技術が活かされ、仙台市内の地盤データ収集をきめ細かく行う実験に技術応用されている。
 また別の使い方として、ペーパーレスISOソリューションへの利用を提案。ISOの認証取得・運用に必要な膨大な資料を、同システムを使ってパソコン内で管理すれば、資料を探す時間や作製コストの削減を実現できるとしている。


【進む販路拡大戦略】

 販売方法としては宮城や秋田など東北地域の業者を通じての販売に加え、管工機材などの販売業者である渡辺パイプも販売に協力。10月には同社へ15セットを納入した。

 06年度は新連携事業による補助金で貸出機を製作、主に貸し出し業務を進めることで同システムの周知を図り、07年度から本格的な販売に乗り出す予定だ。価格はソフトウェアとカメラのセットで40万円台。東北や東京地区以外にも販路を広げ、まずは毎月10セットの販売を目指す。「1社に1本、エコノミー・メールイン」(同)をスローガンに、広い分野・地域への普及展開を図る。