製造/北海道 「廃タイヤを処理した粉末への特殊メッキ加工による新たな電磁波ブロック素材の開発・販売」

廃タイヤから高付加価値製品

 炭化微粉末(カーボン)化した廃タイヤにメッキ処理を施し、電磁波を遮断、吸収する微粉末材を開発、販売する。これは、廃タイヤのカーボンには電磁波の吸着効果があるため微粉末化した後、表面に無電解ニッケルメッキ加工を施すことで、メッキ部分で電磁波を遮断する仕組み。札幌エレクトロプレイティング工業(SEP)が得意とする特殊な表面処理方法によって粒子一つひとつの電磁波ブロック性能を高めている。処理後の微粉末は塗料や樹脂、ゴムなどに混ぜることができるため、製品の応用力は高い。

 連携事業においては電磁波のブロック効果の引き上げを目指して、粒径や炭化加工時の温度設定などメッキ処理の条件の研究、データの採取を進める。2007年度の事業化を見据え、自社開発の装置による量産体制の確立も急いでいる。

 コスト面においても、使い終えたタイヤを原料にするため原材料費を抑制できる。製品化後の販路もさまざまで、分野を問わない。粉末状のため、さまざまな素材に混合することが可能であり、電機・電子機器や塗料など分野を問わず、幅広い展開が見込める。また金属よりも原材料自体が軽量なため、最終製品軽量化につながり、設計の自由度も増す。

札幌エレクトロプレイティング工業(株)


会社名
役割分担
■コア企業
札幌エレクトロプレイティング工業(株)
フィラーの製造
寿産業(株)廃タイヤの炭化微粉末加工
(株)事業創造研究所電磁波の吸収・シールド化の研究と評価試験
(株)ビズ総合研究所マーケティング戦略策定



札幌エレクトロプレイティング工業(株)<br>嶋村清隆社長<br>「事業化の原動力はチームワーク。メンバーが進行状況や情報をリアルタイムで共有しています」

札幌エレクトロプレイティング工業(株)
嶋村清隆社長
「事業化の原動力はチームワーク。メンバーが進行状況や情報をリアルタイムで共有しています」

【ニーズを見据えた連携戦略】 

 知識ではなく驤知恵驩で勝負−。SEPは廃タイヤを活用した電磁波シールド材の実用化と用途開発を進めている。事業は05年10月に認定された。間もなく1年を迎えるが、すでに炭化処理したタイヤ微粉末にメッキによる表面加工をする段階まできた。07年度の事業化までの技術的な出口は見えており、現段階においても「マーケットからサンプル提供の依頼や、共同研究など多くのアプローチがある」(嶋村清隆社長)という。

 事業化にあたってパートナーとなったのが寿産業、事業創造研究所、ビズ総合研究所の3社。それぞれが得意とするノウハウを生かして、製造、研究、マーケティングの各方面で事業化への取り組みを担っている。

 SEPがそもそも今回のテーマに取り組んだきっかけは、北海道を中心としたモノづくり集団「北海道テクノロジー・ルネッサンス研究会」の活動だった。道内全域に広がる経営者らが中心だが、メンバーの業種は幅広い。そこで技術アドバイザーを務める事業創造研究所の中西育幹氏が、廃タイヤを炭化微粉末にする装置を開発しリサイクル技術を確立していた寿産業に「どこまで細かくするの」と投げかけた。

 この一言が新連携事業スタートとなった。「廃タイヤ炭化微粉末はカーボンだが、ナノチューブやフラーレンには向かない。でも純粋なカーボン材として活用することもない」などの議論を交えながら研究会で糸口を探った。「微粉末にメッキできないか」の一言が突破口となった。SEPの本業はメッキ加工。水素電池に使う合金を処理する難しい依頼に試行錯誤した経験があった。「粉に加工するのは苦にはならない」(同)。ここでメッキ屋の知恵が生きた。


【ネットワークを最大活用】

 カーボンに無電解ニッケルメッキ加工すれば電磁波の遮へい、吸収にとどまらず、軽さも生かせる。電子機器など最終製品の軽量化にもつながり、塗料や樹脂にも混ぜることができるため用途は広い。しかも廃タイヤを利用するから材料コストは低い。連携企業のほか、それぞれが持つ大学や公的試験場などとのネットワークを最大限活用し、月1、2度はメンバーが集まって、さまざまな課題をクリアしていった。

 「計画は順調に進んでいる。07年度内にも最終的に商品として出せるものにする。2年目はユーザーニーズに合わせた用途開発。3年目は量産体制の整備にかかる」(同)と、最終的な目的地までのシナリオも明快だ。「どこで切っても同じ模様が出る金太郎あめのように、メンバーが進行状況や情報をリアルタイムで共有している」(同)。そんなチームワークが事業化の原動力になっている。