食料・食品/北海道 「北海道産食材を過熱水蒸気加工・殺菌により、素材本来の食感・栄養価・味・彩りを保持したまま最終調理直前のキット食材として全国展開」

畑から食卓まで

 今、家庭の食卓では外で買ってきた出来合いの惣菜を食べる“中食”が進展している。冷凍食品や調理済みのお総菜などが並ぶことも多く、デパ地下の食品売り場やスーパー、コンビニでは多くのお総菜が並ぶ。
 −レトルトや冷凍技術は進化しても、野菜の加工技術は遅れている−。食卓に並ぶ肉や魚を使った料理が主役とすれば、「せりふのないエキストラ」(高田社長)ともいえる野菜。グリーンパートナーをコア企業にする連携体は、脇役だった野菜にスポットを当て、「味」「食感」「栄養価」の保持に重点をおいた食材の開発、販売に取組む。

 「野菜に新しい命を吹き込みたい」(同)。グリーンパートナーの高田社長が新連携支援制度を活用したのは、こんな思いからだった。もともと北海道十勝の農協に勤めていた高田社長。野菜に関する知識は豊富だった。「生産者と向き合いながら丹精込めた野菜を中間業者《市場、中卸》に出荷して終わり」(同)。疑問を感じ、独立した。

 連携体では野菜を独自の方法で加工したキット食材の全国展開を目指す。連携テーマの中心となるのが「過熱水蒸気加工」。この加工技術は水蒸気を加圧してガス化し、無酸素状態をつくり出した上で、200度C以上の水蒸気を吹きかける仕組み。加工した野菜の細胞を破壊しないため、うま味や食感、栄養分を逃すことがないという。
 この技術を使って“新しい命”をもった野菜を、スーパーなどでお総菜に調理する前のキットとして、また外食産業向けや一般家庭用の食材キットとして全国に広げる。

(株)グリーンパートナー


会社名
役割分担
■コア企業
(株)グリーンパートナー
加熱水蒸気加工によるキット食材の開発(農産物など)
ホクレン農業協同組合連合会食材の調達
(株)菱食大都市圏への販売ネットワーク展開
(有)星澤フードサービス料理研究家によるレシピ開発
アイビック食品(株)たれ開発
(有)香彩園企画加熱水蒸気加工によるキット食材の開発(畜産物など)
(株)ティーピーパック加熱水蒸気加工食品用包装デザイン、開発
(株)日本製粉パン・スイーツ開発



(株)グリーンパートナー 高田清俊社長<br>「今後は輸送方法や賞味期限の長期化への技術開発を進めていく予定です」

(株)グリーンパートナー 高田清俊社長
「今後は輸送方法や賞味期限の長期化への技術開発を進めていく予定です」

【野菜に新しい命を】

 連携メンバーの顔ぶれも「畑から食卓まで」をコンセプトにするため、豊富だ。ベースとなる農産物についてはホクレン農業協同組合連合会。食材開発、生産については料理研究家などと組む。包装材メーカーが流通、販売は大都市圏でネットワークを構築する菱食と展開する。

 グリーンパートナーではすでに道内のスーパー向けにキット野菜を出荷、駅売店でも土産用の「焼きじゃがバター」として販売している。近年の健康志向の高まりもあって、大手スーパーや外食産業界からのアプローチも増えている。需要の増加を受けて、06年11月にはおよそ2億円をかけて札幌市内に新工場を建設し、体制を整えた。

 今後は加工対象となる食材の多様化や、宅配用総菜キットなど新たなカテゴリーでの事業拡大を狙うほか、過熱水蒸気加工技術の高度化を図る「輸送方法や、賞味期限の長期化への技術開発にも力を入れる」という。
 高田社長を中心にする連携体メンバーの思いは一つ。食する人の「おいしい」の一言に集約される。


【新技術でおいしさにかける】

 北海道産の野菜を独自の方法で加工。調理直前のキット食材として全国展開を目指す。畑から食卓まで、それぞれの分野の専門企業とパートナーを組むことで、食に関するすべてのプロセスを完結する。
 コア企業であるグリーンパートナーは、食材本来の「うま味」「食感」「栄養価」を保持できる加工技術を開発。北海道産の農産品はホクレン農業協同組合連合会が担当し、香彩園企画とは畜産物の加工にも拡大連携するほか、レシピ開発や販路拡大において、それぞれの分野のパートナーと展開する。

 わが国の食卓事情は高齢化や女性の社会進出、核家族化が進展。ライフスタイルの変化に伴って調理済みの食品を買ってきて家庭で食べる“中食文化”が定着した。新しい市場が拡大する中、食材本来の「うま味」「食感」「栄養価」を損なわず提供する食材開発、販売拡大によって、食の価値を高める。

 新しい加工法による食材が持つ潜在力は大きい。お総菜や外食業界でも健康を意識した材料調達に力を入れる。食をとりまく環境変化もフォローの風となっている。すでに始めているスーパー向けは北海道を越えて、首都圏でも間もなく販売を開始する予定。今後は流通分野におけるパートナーと組んで外食、宅配、給食などへもアプローチする。