製造/九州 「地域未利用木質系資源の粒子化による新規建材製品の事業化」

木質の自動車部品を開発

 トライウッドをコア企業として、同じく木竹材用途拡大研究会の会員である大分県産業科学技術センター日田工芸試験場、九州大学、紅屋、日田市森林組合、日田家具工業会など産学官で構成。従来、野ざらし、もしくは廃棄されていた間伐材や風倒木、曲木などの有効利用法開発を目的とする。

 構成メンバーがほぼ木竹材用途拡大研究会の会員であることから、同研究会の事業を引き継ぐ形で事業化を進める。製品化にめどがついている面塗り材は、工場の建設や販売会社の設立など事業化に向けた具体的な取り組みを計画する。05年度は粉末装置を増設するほか、新会社設立のための準備を行う。05年度の活動が順調にいけば、06年度に工場新設と新会社の設立を行う。

 また、面塗り材以外の製品開発も進める。具体的に研究を進めているのが、木質の射出成形法だ。木材をペレット状に加工し、プラスチック射出成形と同様の方法で成形する。プラスチック樹脂が利用されている自動車や電気製品の部品に応用が見込める。「まだ改良すべき点は多い」(井上社長)が、利用範囲は広く、製品化できれば天然素材を使った部品として注目を集めそうだ。

(株)トライウッド


会社名
役割分担
■コア企業
(株)トライウッド
建材製品の製造/販売
(株)紅屋加工開発
日田市木材協同組合資材の提供
日田市森林組合資材野提供
大分県産業科学技術センター日田産業工芸試験所研究/技術開発
九州大学大学院木質資源工学分野研究/技術開発
(株)エクセム製造装置開発



(株)トライウッド<br>井上伸史社長

(株)トライウッド
井上伸史社長

【木竹材の新用途を開発】

 大分県日田市の企業や組合を中心メンバーとする木竹材用途拡大研究会の取り組みが、九州経済産業局から新連携事業の認定第1陣に選ばれた。木竹材に「化学的加工」という新たな加工を施し、用途の拡大や環境対策につなげようと活発な活動を展開している。今回の認定を機に「研究開発や販売に弾みをつけたい」(井上伸史トライウッド社長)と力を込める。

 日田市は九州でも有数の林業が盛んな地域で、林業や製材、家具製造などを手がける事業所が集積する。しかし、安価な輸入木材の普及や国内産木材市況の低迷などを背景に事業環境は厳しい。森林の手入れも十分行われず、風倒木や間伐材、また曲木などは回収さえされず、山林に放置されたまま廃棄されるケースが多いという。

 製品化できなければ回収する分「コストだけが発生」(大分県産業科学技術センター日田産業工芸試験場)するからだ。木チップにし、バイオマス発電の燃料にする事例もあるが「ただ燃やすだけで、消極的な活用法」(井上社長)だ。そこで木材加工に「サイエンス」と「ケミカル」を取り入れることで未利用木材の有効利用法を開発しようと、2003年10月に日田市を中心に有志が集まり研究を始めた。

 当初は日田産業工芸試験場(日田市)とトライウッド(同)など数社で研究を開始した。研究の結果、事業化の可能性を確認できたため、あらためて日田市周辺の木材、家具関連の団体や企業に参加を呼びかけ、約20社・団体が参画。2004年6月に木竹材用途拡大研究会を発足した。


【面塗り材の製品化にめど】

 間伐材や風倒木を破砕し、微細化する。その後、化学的加工を施してなんらかの製品とすることを目指した。木竹材用途拡大研究会では粉末化装置の開発、粒子後の製品化などの研究を進めた。また、木材の粉末装置の開発に九州経済産業局から補助金を得るなど、研究資金負担を軽減するための処置を怠らなかった。

 2005年1月、未利用材を使った面塗り材の製品化にめどをつけ、大分県庁で披露した。面塗り材は住宅の天井壁や壁面に、しっくいの代替品として利用する。最終的な製品化に向けた成分調整や販売ルートの開拓を行っている。今後は販売会社の設立などを検討しており、全国に販売できる体制を構築したいとしている。

 新連携事業への認定は「事業化のスピードを加速させる効果がある」(井上社長)。トライウッドをコア企業として日田工芸試験場、日田市木材協同組合など木竹材用途拡大研究会のメンバーが参加。融資や開発費補助金など資金面でのメリットが大きく、面塗り材の販売体制構築をはじめ、「面塗り材以外の製品開発も積極的に行っていく」(井上社長)考えだ。