サポーターインタビュー 地域を盛り上げる応援団!

北海道

井原水産 社長

井原慶児(いはら・けいじ)

地域資源の特色・特異性に住民が気づくこと

しっかりとした人材教育が必要


−寒冷な気候、広大な土地、豊かな水源など自然に恵まれた北海道。井原社長はこれら資源とどのようにかかわっていますか。

 「サケを海洋資源としてとらえ、皮からコラーゲンを抽出し生産している。皮を酸に溶かして抽出するアテロ化コラーゲンはアレルギーの心配がない。当社のアテロ化コラーゲンの年産能力は30トンと国内でトップクラスを誇っている。この素材を使った人工血管など医療分野での製品開発を北海道大学と共に進めている」
 「道内にはサケのふ化場が多くある。放流後の回帰率は高いところで9%、低いところでも4.5%。天然の場合は2%なのでこれは事業として成功していると言える。ただ人件費が低く抑えようという理由でサケを中国など国外に輸出して現地で解体するのは資源が流出するということを考えても見直しが必要だ。サケの内臓は肥料として、頭部は栄養素のコンドロイチンが豊富に含まれている。これらを資源として活用する方法を考えるのが望ましい」

−他の北海道の資源をどのように見ていますか。

 「道内は資源の宝庫だ。昆布生産場では雑海草駆除対象となっているスジメからは良質のフコイダン(粘質多糖類)が採取できる。漢方薬として使えるダイオウやオウギといった薬効成分を持つ野草もある。活用されるべき資源が豊富にあるのに道内の地域資源の特色をまだまだ生かしきれていない。さまざまな特色を持つ資源があることを広めていく手伝いをしていきたい」

−地域資源を守るためには何が重要性ですか。

 「豊かな海洋資源を維持するためには、単に海だけでなく、山から川、海へと流れ出てくる鉄分などの栄養素も重要な要素になる。沿岸の漁場を再生させる魚付き林という話もよく出るが、海洋資源を守るためには山を守る必要がある。川の近くに広葉樹を多く植林するなど対策が必要だ。当社は水産会社では初めて94年に林野庁『法人の森』とオーナー契約をした。資源を守るための啓発活動にも今後は注力したい」

言い伝えがある食べものを特産物として活用


−地域資源を有効に活用するための方策は。

 「何が地域の発展にとって重要なのか、住人はその地域の特色に気づくことが大事だ。そのためには旬のものや季節をよく見ること。昔の人の言い伝えをもう一度よく見直すことだ。商品化できるものはたくさんある」

−道内の発展にとって必要なことは。

 「農家の数を増やすには、もうけるためのシステムづくりが必要だ。それには人材育成が重要になる。とくに食べるものに関した人材教育が必要だ。これまでは習うより慣れろで現場に入っていたが、今後は農法にこのような種類がありますよ、とか牛の特徴など基本的なことをきちんと教えることが大事だ。道内には先進的な酪農家もいる。しっかりしたインターンシップ制度を整えれば、人材育成は2、3年でできるはず。やる気とノウハウがあればサクランボの果樹園など知恵を使って稼げるものがまだたくさんある。購入者に買ってもらうための理由を考えることも生産者の役割だ」

−どのようなサポートをしていきますか。

 「地域での雇用を増やしたい。当社には女性が安心して働けるよう社内託児所がある。多い時は約20人を預かっている。その利便性もあって友達同士で誘い合って働きにきてくれている」

−ビジネスを展開する場合の、助言を一言。

 「情報のアンテナを張り巡らせること。分からないことは聞くこと。お客さまが何を求めているのか見逃さないこと、それに尽きる」

【ポイント】

(1)北海道は地域資源が豊富だからもっと活用する
(2)海洋資源を守るため、山や森を守る必要がある
(3)もうけるシステムづくりと人材育成が重要
(4)お客さまは何を求めているのか、アンテナを張り巡らせること

【サポーターの経歴】

氏名=井原慶児(いはら・けいじ)
 75年(昭50)武蔵大経卒、同年中央魚類入社。77年井原水産入社、82年常務取締役、90副社長、95年社長。06年から北海道食品産業協議会会長。東京都出身、54歳。

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