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地域資源活用チャンネル


成果事例 メディアでの紹介

月刊「商工会」

淡路瓦の伝統技術を活かした新製品「黒陶いぶしタイル」で新しい市場を開拓

「黒陶シリーズ」

「黒陶シリーズ」

株式会社ミハラ(兵庫県南あわじ市)
住所:兵庫県南あわじ市津井1875
電話:0799-38-0083
FAX:0799-38-0082
設立:平成7年6月1日(創業:昭和51年)
代表者:嶋本宏信
資本金:1,000万円
年商:1億円(グループ全体3億円)
従業員:4名(グループ全体32名)
■地域資源活用PG/認定事業名
淡路瓦の伝統技術を活用した、新製品「淡路タイル(AWAJI-Tile)」の開発、生産、販売
■地域資源活用PG/認定日:平成20年

事業の概要

当社は分業化が進む淡路瓦の中で、高い技術力と芸術性が求められる一般住宅用の「鬼瓦」「鬼面」を現在でも手掛ける数少ない瓦メーカー。現在は一般用住宅瓦に茶・黒・銀・緑などの釉薬を塗布する色瓦(陶器瓦)を主力に、地域資源活用の認定を受けて淡路瓦の技術を活かしたタイルなどのエクステリア製品の開発と販売に取り組んでいる。

「いぶし瓦」の国内最大産地・淡路島

施工したビルのエントランスホール

施工したビルのエントランスホール

淡路島は、愛知県の三州瓦、島根県の石州瓦とともに国内瓦の三大産地の1つで、約400年の歴史を誇る瓦製造集積地である。現在も大小108の事業者が粘土瓦(陶器瓦、いぶし瓦)の製造に携わっており、昔から日本建築に多く用いられてきた「いぶし瓦」は全国一の生産量を誇っている。

しかし、阪神・淡路大震災以降は粘土瓦に対する重さや耐震性への懸念、住宅の洋風化、デザイントレンドの変化などで、これまで主流であった和形瓦がプレハブ住宅を支流にスレート系に押されて「瓦離れ」が進行し、現在の淡路瓦の生産量は最盛期に比べ3分の1にまで減少している。

株式会社ミハラは昭和52年に先代が創業した御原特殊瓦株式会社の一般住宅用「鬼瓦」「鬼面」の製造部門としてスタートし、平成8年に分離・独立した。量産化、低コスト化、分業化が進む業界の中で、高い技術力と芸術性が求められる鬼瓦の製造技術を持つ地域では数少ない瓦メーカーの一つである。

現在は、一般用住宅瓦に茶・黒・銀・緑などの釉薬を塗布する色瓦の製造を主力製品としている。

伝統技術を活かして新しい市場分野へ進出

淡路島は伝統の製造技術を守り続けてきた産地であるが、建築様式の変化や消費者ニーズの多様化に合わせた商品を提供する他の産地に比べ、技術開発や商品開発が遅れていた。

そのような中で、地域最大の地場産業である淡路瓦の将来を懸念した嶋本社長は、淡路粘土と伝統技術を活かした新商品の開発を目指し、平成16年に「酸素強制24時間焼成全自動高速窯」を導入した。従来の「ベンチュリー方式単独窯」が瓦投入から焼成までの所要日数が3日だったのに対し、この新窯の所要日数は1日で、また窯内の上下間の温度差が少ないため、リードタイムの短縮、コストダウンを実現すると同時に省エネにも効果がある。

新しい焼成窯をもとに研究開発を繰り返す中で着目したのがタイル市場である。タイル業界も海外からの低価格製品の輸入により価格競争が厳しい業界ではあるが、高級タイルには根強い人気があり、市場規模も瓦に比べ約3倍と大きい。原料の淡路粘土は鉄分を多く含むことで深みのある色彩を生み、タイルでは難しいとされる黒色のタイルを低コストで製造することが可能となる。

平成18年には業界で唯一瓦の技術でタイルを製造し、独特の窯変技術で一部の建築士・設計士から高い評価を得ていた元明石窯業の西山社長を技術指導者として迎え、新しいパートナーとともに二人三脚で開発したのが淡路島タイル「黒陶シリーズ」である。

高い強度を持った新しい環境エクステリア材の誕生

施工した韓国料理「百済」内観

施工した韓国料理「百済」内観

「黒陶シリーズ」は、淡路の気候と風土でしか出すことのできない粘土の性質と長年の経験で培った炎を自在に操る焼成技術により生まれた新しい環境エクステリア材である。従来のタイルにはない表面質感の美しい味わいと特殊鋼のような強さが融合した風合いを持ち、一般住宅はもとよりホテルのロビーや公共施設のエントランスにも合い、「和」にも「洋」にもマッチする。強度も、淡路産の土を極限まで高温で焼き締めることで歩行跡も目立たず、堅い金属で引っかいても傷になりにくく、17㎜という厚さでも乗用車が乗っても割れない高い強度を持つ。試作品に触れた建築士や設計士からも「しっとりと落ち着いた黒は高級感や温もりを感じる」と評価も高い。

平成20年には、地域資源活用の認定を受けて事業化に向けた商品化に取り組み、シリーズ商品として独特の色合いを持つ「黒陶窯変」や、さらに研磨することで、きらめく海のように美しく輝く「黒陶磨き」など次々とシリーズ商品を開発した。平成21年から地域の公共施設や一般住宅向けの試験販売・施工を実施し、施工例をもとに昨年は幕張メッセで開催された国際エクステリアエキスポに出展して全国に向けた製品群を発信したところ、大きな反響を呼んだ。

その後、神戸の韓国料理店、大手ゼネコンが施工したオフィスビルのエントランスホールに採用され、多くの建築士や設計士からカタログ請求などの問い合わせが寄せられている。

高い技術力を持つメーカーを目指して

嶋本宏信 代表取締役

嶋本宏信 代表取締役

嶋本社長は昨年からミハラの母体である御原特殊瓦株式会社の経営も引き継ぐことになった。同社は地域の大手瓦メーカーの生産工場として、主にいぶし瓦の白地瓦(焼成前の成形瓦)を生産する本社工場、陶器瓦の役物瓦を生産する新屋工場を持つ。鬼瓦などの特殊瓦やエクステリア材を生産するミハラの津井工場を含めるとミハラグループは総合メーカーの生産機能を有することになり、今後は新たな経営戦略のもと事業展開をスタートさせる。

中小機構では現在同社に対して、地域資源認定企業のフォローアップの一環として経営専門家の支援アドバイザーを派遣し、グループの経営ビジョンに沿ったマネジメント体制の構築、製品の品質向上、生産工場の稼働率を高めるための指導・支援を行っている。

嶋本社長は、「当社は長い歴史を持つ淡路瓦業界の中ではまだまだ新参者だが、これまで取引先の大手瓦メーカーや、今回はパートナーとして中小機構をはじめ近畿経済局、地元の南あわじ市商工会など支援機関の方々に支えられてきた。今後も支援の期待に応えるよう、瓦師としてのプライドを持ちながら、より付加価値の高い商品づくりに全力をあげ、将来は技術力を評価してもらえるメーカーを目指していく」と熱く語っている。

同社の挑戦はこれからまだまだ続くが、地域資源認定を契機として成長した支援モデル企業に育つことを大いに期待している。

((独)中小機構近畿チーフアドバイザー 水田治彦)

掲載:2011年9月号

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