本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

スタートアップガイド

J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト

  • J-Net21とは
  • スタートアップガイド
中小機構
  • メルマガ登録
  • RSS一覧
  • お問い合わせ

HOME > 事業を広げる > 地域資源活用チャンネル

地域資源活用チャンネル


成果事例 メディアでの紹介

月刊「商工会」

部品メーカーの新たな挑戦-知恵・工夫・技術で食品加工に参入

「焼きだしいりこ」

「焼きだしいりこ」

有限会社瀬戸鉄工(広島県呉市)
住所:広島県呉市川尻町上畑1068-4
電話:0823-87-4147
FAX:0823-87-3748
設立:昭和45年12月1日
代表者:瀬戸勝尋
資本金:1,000万円
年商:3億円
従業員:30名
■地域資源活用PG/認定事業名
「自動車部品製造技術」による、天然素材を使用した「高付加価値の簡便食品」等の開発事業
■地域資源活用PG/認定日:平成21年2月23日

事業の概要

部品メーカーだった当社の持つ加工技術が食品加工に向いていることに気づき、「瞬間高温高圧焼成法」を確立。技術の特徴を活かし、廃棄や未利用といったムダを抱えて困っている農家や企業の悩みを「商品」という形に変えて解決している。加工対象は魚介類から穀物、野菜などに広がり、活用の範囲は幅広い。様々なメディアに取り上げられる注目企業である。

不可能を可能に、特殊なプレス技術で画期的な商品

加工前(左)と加工後のいりこ

加工前(左)と加工後のいりこ

呉市は、広島県の南西部に位置し、約25万人の人口を抱える臨海都市である。天然の良港といわれ、明治時代から昭和初期については帝国海軍の拠点として栄え、現在では海上自衛隊の拠点となっている。古くから工業都市として栄え、造船・鉄鋼・パルプ・機械金属などを中心とした臨海工業都市として知られている。また、隣接する広島市や府中町には自動車メーカーの工場があり、自動車部品を製造する下請けメーカーも多く存在している。

そうした中、有限会社戸鉄工は、自動車部品や食品容器の製造を行う傍ら、それらの技術を応用した食品加工に進出した先進的な企業である。瀬戸鉄工が開発する商品は特殊なプレス技術を使った加工商品であり、海産物や農産物を瞬間的に高温高圧で処理することで、今までは不可能だと思われていたことが可能になる画期的な商品を開発し続けている。

この事業に参入したきっかけは、約20年前に遡る。当時、地元の小学生がサッカー中に骨折したという記事を読んだ先代社長が、それを憂い、骨に良いカルシウムを豊富に含む瀬戸内産のいりこを自社工場でプレスし、「焼きいりこ」として給食に提供したところ、それを食べた子供たちの保護者からの問い合わせが殺到したことから、本格的な事業化が始まった。

最初のヒット商品「焼きいりこ」に始まった事業だが、プレス時に粉末が多く出ることから、それを有効利用するために「ダシパック」を開発。この「ダシパック」は、「いりこ」そのままからダシをとるよりも短時間で濃厚なダシがとれることから、新たなヒット商品「焼きだし」の開発へと繋がるきっかけとなった。現在では、「いりこ」以外にも「あご(とびうお)」「ふぐ」「かき」「かつお」「昆布」「しいたけ」などを開発し、販売を行っている。

旨味、香り、栄養素を最大限に活かした「瞬間高温高圧焼成法」

農産物を加工した新商品「i paletteアイパレット」

農産物を加工した新商品
「i paletteアイパレット」

「焼きいりこ」や「焼きだし」の製造に利用される当社の独自の技術「瞬間高温高圧焼成法」は、極めて短時間で高温と高圧を一度にかけて加工する技術であり、その特性としては、「雑味が消えて旨味が引き立つ」「素材の風味がそのまま残る」「殺菌されており、衛生面が優れている」「水分活性が低く保存できる」「熱に弱いビタミンを残したまま加工できる」。それ以外にも、そのままでは食べることが難しい食材を容易に食べられるように加工することができるという特徴を持っている。

実際、「焼きふぐだし」については、3枚におろした中落ちを有効利用しており、また、近隣にある豊島で、タチウオを一夜干しにする際に廃棄していた「タチウオの頭と骨」を利用したダシを使った「豊島ラーメン」は、地元の呉広域商工会が主導となって開発した地域の新たな名物商品である。

これらの商品をプレス加工することは、一朝一夕でできる簡単なことではなく、約20年に及ぶ当社のノウハウの蓄積があってこそ成し得るものである。人間の体形が人それぞれ異なることと同じように、同じ種類の魚であっても、収穫された時期で大きさや脂の乗り具合は異なる。魚の種類が異なればこの差はさらに大きくなり、プレスするスピードや熱、圧力をフレキシブルに調整する必要がある。その組み合わせは複雑であり、豊富な経験の裏打ちがあって初めて実現できた技術であるといえる。

地元機関による支援と地域産業資源活用事業計画の認定取得

瀬戸鉄工の取り組みに対しては、早い段階から地元支援機関である呉広域商工会や(財)くれ産業振興センターも注目し、手厚い支援を行ってきていた。

そうした中、平成20年夏頃に「地域産業資源活用事業」の案件発掘を行っていた中小企業基盤整備機構の広島県担当プロジェクトマネージャーに地元支援機関から情報が入り、連携して新商品開発と全国の市場に向けた販路拡大を目的に地域資源活用事業の認定に向けてチャレンジすることとなった。

それ以降、呉広域商工会との一体となった連携のもと、課題解決と事業計画の組立て支援を行い、半年がかりで平成21年2月の認定取得までたどり着くことができた。

認定後には、支援策を活用した大阪や東京での展示会などに積極的に参加し、数多くの企業から大きな反響を得ることができ、自社商品の持つポテンシャルを再認識するとともに、新たな事業に積極的に取り組む体制を整え始めた。

全国市場に向けた販路拡大への挑戦

瀬戸勝尋 代表取締役

瀬戸勝尋 代表取締役

海産物の加工から始まった新事業であるが、最近では大豆や雑穀、野菜類といった農産物の加工にも参入を始めている。当社の技術「瞬間高温高圧焼成法」が持つ「熱に弱いビタミンを残したまま加工できる」という特徴は、ビタミン類を豊富に含む農産物の加工には最適な技術であることから、近年、急速に引き合いが増えてきている。

地元JAとは共同で玄米を使ったフレークを開発したほか、自社のオリジナル商品としては、7種類の穀物や野菜を加工し、手軽に美味しく栄養たっぷりの農産物を楽しめる「i palette(アイパレット)」を開発した。子供も交えて、楽しんで料理が楽しめる商品であることから、地元の料理研究家などと連携し、食育の普及にも貢献したいと考えている。

「地域産業資源活用事業」と並んで、経済産業省が取り組んでいる「農商工連携事業」の盛り上がりに合わせて、「地域の農水産物を使った商品を開発したい」「ムダになっている農水産物を有効利用したい」という需要は高まっており、全国各地から当社に寄せられる相談は増え続けている。成功の秘訣は「廃棄されるものや未利用なものを活用して、農家や企業が困っていることを解決する。そのためには、アイデアだけではなく、完成した商品までをイメージして提案すること」という。

自社の持つ技術を活用して、困っている人たちを助けることで、地域の活性化に貢献したい、という熱い思いは確実に実現してきており、今後のさらなる活躍を期待したい。

((独)中小機構中国連携推進課チーフアドバイザー 渡貫 久)

掲載:2011年8月号

前の記事次の記事


このページの先頭へ