本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

スタートアップガイド

J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト

  • J-Net21とは
  • スタートアップガイド
中小機構
  • メルマガ登録
  • RSS一覧
  • お問い合わせ

HOME > 事業を広げる > 地域資源活用チャンネル

地域資源活用チャンネル


成果事例 メディアでの紹介

月刊「商工会」

豆腐の限界へ挑戦!豆腐市場の未来を作る企業

FOODEXでも大人気の「ヨーグルとうふ」

FOODEXでも大人気の
「ヨーグルとうふ」

株式会社中牟田商店(福岡県飯塚市)
住所:福岡県飯塚市上三緒1番地27
電話:0948-22-1714
FAX:0948-22-8505
設立:昭和59年12月19日(創業:昭和8年3月)
代表者:中牟田幹雄
資本金:1,000万円
年商:1億3,000万円(平成22年12月期)
従業員:14名
■地域資源活用PG/認定事業名
「賞味期限180日の木綿豆腐」と「ヨーグルト風豆腐」の商品開発と販路開拓
■地域資源活用PG/認定日:平成22年1月29日

事業の概要

福岡県産大豆「フクユタカ」を活用して開発した、長期保存が可能なことにより国内の交通が不便な地区や海外へと販路を広げる「賞味期限180日の木綿豆腐」と、食感を限りなくヨーグルトに近付けることで、豆腐の新たな用途への広がりを作る「ヨーグルト風豆腐」の販路開拓を行うとともに、改良品や用途別商品等の試作・開発を行い、商品の付加価値向上に取り組む。

豆腐なのか、ヨーグルトなのか

豆腐は白い。ヨーグルトも白い。しかし、色が同じだからといって、同じ食べ物だと考えることはない。豆腐は大豆を搾ってにがりなどで固めたもので、ヨーグルトは動物の乳を発酵させたものである。一般に豆腐はわが国の食卓で定番のおかずとして、また味噌汁や鍋の具材として確固たる地位を占めてきた。ヨーグルトは舶来のデザートで、主に20世紀に入ってからわが国で広がったものである。一見、何の関係もない二つの食品である。

いたずら心だろうか、はたまた豆腐のあり方に一石を投じるためであろうか。当社の中牟田幹雄社長は豆腐でヨーグルトを作ってしまった。もっとも、ヨーグルトの定義は「乳に対して、ブルガリア菌とサーモフィルス菌が大量に存在し、その発酵作用で得られる乳製品」(平成15年第26回国際食品規格委員会)であり、正しくはヨーグルト風豆腐を作ってしまったのである。

豆腐と思って食べるとよくない。爽やかな酸味にしても、その食感にしても、ヨーグルトそのものである。豆腐の優れた栄養バランスとミネラル分を手軽に摂取できるように食べやすいヨーグルト状で、乳幼児の離乳食から、おじいちゃん、おばあちゃんのお食事、また介護食としても召し上がっていただきたい一品になっている。

後付けではあるが、ヨーグルトの原型ともいえる乳製品「酪」が奈良時代の「朝廷で珍重されていた」(日本乳業協会HP)歴史がわが国にはあった。禅僧たちが精進料理の材料として調理方法の工夫を重ね、「室町時代末期にはかなり普及していた」(日本豆腐協会HP)豆腐との出会いには、歴史の浪漫も感じさせる。

半年経っても美味しい豆腐

これが噂の180日木綿豆腐

これが噂の180日木綿豆腐

当事業のもう一つの目玉は、賞味期限180日の木綿豆腐である。豆腐をはじめとするデイリー食品の販売上のネックは賞味期限の短さにある。豆腐の賞味期限は、製造後10日くらいまでのものが大半で、一般に「ロングライフ」と呼ばれる賞味期限の長い豆腐は、「豆乳を一旦冷却し、凝固剤を添加し、容器に充填して、加熱凝固させる」(日本豆腐協会HP)、いわゆる充填豆腐であった。

充填豆腐は、製法上絹ごし豆腐しか作れないため、より栄養分の高い本来の豆腐、すなわち「豆乳に凝固剤を添加し凝固させたものを崩し、布を敷いた型箱に盛り込み、圧搾、成型したものを所定の大きさにカットし、水さらしし包装したもの」(日本豆腐協会HP)である木綿豆腐を作ることはできなかった。

中牟田社長は、昔ながらの豆腐作りの延長線上に、この答えを見出した。そして、ロングライフ、かつ充填でない木綿豆腐を作ってしまった。消費期限は製造後180日、しかも、昔ながらの豆腐の味わいである。

創業以来、守ってきたもの

事業を支えてくれるご家族

事業を支えてくれるご家族

当社は、昭和8年の創業以来豆腐一筋、その伝統を守り続けてきた。大量生産・販売の時代にあって、豆腐の低価格志向に多くの町の豆腐屋さんが苦しむ中で、技術と商品を守り、地道にブランド力を積み上げてきた。しかし、日持ちが短いデイリー品という特性上、商圏を広げ、企業規模を拡大することができず、またわが国の食卓の定番品である豆腐であるからこそ、競争優位性を持つ特殊な商品を生み出すことはできずにいた。

中牟田社長はこの状況を打開するために、豆腐に求められる市場ニーズの変化を捉えていった。栄養豊富な豆腐だからこそ、「豆腐屋さんのない離島や山小屋、そして遠洋漁業や南極観測船の乗組員さんたちにも食べさせてあげたい。豆腐は地域のものだ、と言えない市場がまだわが国にも存在する」という視点がスタートラインだった。

この視点から捉えれば、海外にも同様の市場がある。日本食=ヘルシーフードという米国にあっても、本格的な豆腐を食べたいと思う消費者や、その声に応えたいと思っているシェフたちがそこにいると彼は考えた。180日豆腐は、この仮説に応えるための、自身に課せられた技術的課題だった。

同様の視点が、ヨーグルト風豆腐にもある。一つは、外食産業において使い勝手の良い豆腐の形状はどうあるべきかということ。そしてもう一つは、わが国の少子高齢化の現状を踏まえ、咀嚼・嚥下に難を持つお年寄りにも栄養豊富な豆腐を食べさせてあげたい、という思いだった。この結果として、食品関連市場の中では限られた「成長が著しい市場」(NRI Knowledge Insight Vol.9 平成22年)である医療・介護用食品市場への本格的参入を見込むことになったのである。

事業を支えてくれる人たち

中牟田幹雄 代表取締役

中牟田幹雄 代表取締役

以上が、私の知る当社の事業のあらましである。製造技術や販売の現状については営業秘密でもあり、言及していない。どうかご容赦いただきたい。

当事業を、地域の多くの方が支えてくれている。

若宮町商工会の経営指導員塩川さんは、この事業を福岡県産の大豆を活用する地域のための事業と捉えてくれた。経営革新計画の承認や地域資源活用プログラムの認定を受けるために東奔西走いただき、また福岡県商工会連合会主催の展示会でも、先頭に立って試作品のモニタリングに努めてくれた。福岡県中小企業団体中央会の秋月さんは、行政との折衝や、様々な資料の整理、専門家の活用など、当社の困ったことを解決するために、いつも細やかな支援をしてくださっている。

ほかにも、多くの専門家の方々やお取引先のご意見・ご助言、ご協力をいただきながら、事業の形ができあがってきた。今年は販売の年である。当社はご協力いただいた様々な方によってできあがった商品を、しっかりと消費者へ伝えていく義務がある。

私が当社を訪問すると、いつも明るい奥方が迎えてくださる。元気なご子息は東京の展示会でも大活躍だった。中牟田社長は、ご家族に支えられているからこそ、事業に集中できるのではないか。事業の進展とともに、企業として組織的・規模的な課題が生まれることもあるだろう。ご家族で手を携えて乗り切ってくれることを期待しつつ、当事業を支えていきたいと思う。

((独)中小機構九州プロジェクトマネージャー 篠田昌人)

掲載:2011年7月号

前の記事次の記事


このページの先頭へ