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地域資源活用チャンネル


成果事例 メディアでの紹介

月刊「商工会」

ギフト戦略が石垣島のパイン農家を救った

パインの商品群

パインの商品群

株式会社日清(沖縄県石垣市)
住所:沖縄県石垣市字大浜1359
電話:0980-82-2771
FAX:0980-88-8717
設立:平成7年12月14日
代表者:宮谷幸蔵
資本金:1,000万円
年商:7億2,000万円
従業員:3名
■地域資源活用PG/認定事業名
石垣島産パイナップル商品群の開発および販売
■地域資源活用PG/認定日:平成20年3月12日

事業の概要

一般に、パイン加工品は添加物や極端な高糖度添加により、細菌を抑制し鮮度保持を優先する結果、素材本来の味が損なわれています。本事業は、独自の技術を活用してパインを無添加無着色で加工し、商品化するものです。限りなくフレッシュなパイナップル加工食品の開発・販売を通じ、地域資源と地元農家の保全・育成を促し、地域経済の発展に寄与します。

世界一美味しい石垣島のパイン

パインの収穫風景

パインの収穫風景

石垣島日清グループは、農業・畜産を担う農業生産法人・有限会社やえやまファーム、商品開発・製造を担う株式会社石垣島サプライ、商品販売を担う株式会社日清で構成されている。

平成22年度のグループ総売上は11億円に達し、パインジュース、ジャム、ゼリー、アイスクリームなどの新商品を次々と開発、老舗百貨店三越の夏のギフト商品として揺るぎない地位を築いている。

もともと石垣島でパイン産業は一大基幹産業であったが、外国製品に押され、10社以上あったパイン加工工場が一時期まったくなくなってしまった。パインは青果として売れる時期や量が限られていて、大半は加工品用である。農家は加工品用につくったものをすべて廃棄しなければならない状況であった。

平成17年、石垣島に降り立った宮谷茂氏(現会長)は、パイン農家の切実な訴えに応えるため、石垣島産や西表島産パインを原料とし、関連会社の製造ノウハウ「素(MOTO)システム」の技術を活用して、限りなくフレッシュな加工食品の開発をこの石垣島の地で実践、パイン産業の復活により地域の経済振興に貢献することを決意した。

「素(MOTO)システム」の可能性

添加物を加えない鮮度保持技術で「素(MOTO)システム」と呼んでいる。素材そのものの新鮮さや美味しさをいかにベストな『素』の状態で食卓に提供できるか、その素材を加工してもいかに『素』の機能を損なわないようにできるか、また人間環境中心の工房ライン設計、加工機械の開発、生菌制御、高品質保持システムなど、ハード、ソフト両面から開発されたシステムの総称で、もともと生物にある自然治癒力を高める技術である。

パインジュース11万5300本、決意の廃棄

ジュースの製造

ジュースの製造

パインジュースの製造が始まると、パイン農家はこぞってパインを持ち込み、石垣島サプライはすべてを買い取った。「石垣島パイナップル100%ジュース」が完成、価格は900ml 2000円、自信の商品であったが、かなり高額であった。

初年度の製造本数は13万本、製造する技術はあったが、肝心の販売先はまったく見つからなかった。賞味期限が迫る中、社内からは「安売りするしかない」という声もあがったが、宮谷会長は「農家が丹精込めてつくったパインを預かったのだから、安売りは一切しない。これは石垣島のブランド商品なのだから」と突っぱねた。結局、賞味期限の切れた11万5300本のパインジュースは、次年度に立ち向かう決意の肥料として畑に撒かれた。

「ギフト」という明確なチャネル

ジュースのびん詰め

ジュースのびん詰め

平成18年、三越のお中元特選品として「石垣島パイナップル100%ジュース」が採用されたのを機に全国に認知されるようになり、「ギフト」というチャネルに特化していく戦略を立てる。平成20年3月、地域資源活用事業認定を機に、農家に通年でパインをつくってもらうため、酸味の強い秋実パインを活用した商品開発に着手、パイン、マンゴー、ミックスの3種のジャムを完成。また、全国の学校給食用のスライスパインの製造も開始、初年度30万食、翌年は60万食を供給した。

ジャムの製造

ジャムの製造

さらに、通常、非加熱のフレッシュフルーツを使用したデザートの賞味期限は「製造日限り、もしくは翌日まで」であるが、独自の製法技術により10日間美味しさを保つことができる「フルーツコンポート」を開発、「流通に時間がかかり、フレッシュ製品の全国展開ができない」とされていた離島のハンディキャップを克服できることを証明した。

やえやまファームは、平成14年、原料の安定化と農家育成・保全を目的として設立、14万坪の崎枝農場では除草剤や農薬を使わない、赤土を流出させない農業を開始、有機JAS認定を受けた農場でパイナップル、バナナ、さとうきびが生産されている。有機農法を持続するために伊原間牧場、幸福牧場、併せて約51万坪を入手、牛・豚・鶏などの家畜を飼い、その糞尿を堆肥にして崎枝農場に供給するという循環型農業の実現を目指している。

パーマカルチャーの精神

宮谷幸蔵 代表取締役

宮谷幸蔵 代表取締役

「生産・加工・流通・販売まで徹底管理された安心・安全な商品を責任をもってお届けする」という信念を持ち、伝統的な農業の知恵と現代の科学的・技術的な知識を組み合わせた通常の自然よりも高い生産性を持った『耕された生態系』を創り出すパーマカルチャーの精神に則ったサスティナブルな農業を構築したいと模索している。

中小機構沖縄では、当事業者に対し事業認定にかかる申請内容のブラッシュアップや、機構主催の相談会やテストマーケティングなどを通じた販路開拓支援を行ってきたが、「石垣島のパイン農家を救済したい」という思いからスタートした事業は、石垣島の環境保全という大きなテーマを包含しながら夢はどんどん膨らみ続けている。石垣島に根を張り、逞しく成長する石垣島日清グループに期待したい。

(独立行政法人中小企業基盤整備機構 沖縄事務所プロジェクトマネージャー 池村博隆)

掲載:2011年6月号

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