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地域資源活用チャンネル


成果事例 メディアでの紹介

月刊「商工会」

土佐打刃物で自社ブランドを立ち上げ、海外への販路開拓を実現

SAKON(左近)

SAKON(左近)

穂岐山刃物株式会社(高知県香美市)
住所:高知県香美市土佐山田町栄町3-15
電話:0887-53-5111
FAX:0887-53-5115
設立:昭和37年6月1日 大正8年8月8日創業
代表者:穂岐山信介
資本金:3,500万円
年商:4億2,000万円
従業員:40名
■地域資源活用PG/認定事業名
土佐打刃物の生産技術を活用したセラミック材・多層構造鋼材によるキッチンナイフの開発・製造・販売
■地域資源活用PG/認定日:平成20年6月10日

事業の概要

高知県の伝承産業である「土佐打刃物」の生産技術を活用したジルコニア・セラミックの焼成技術によるセラミック製ナイフ類、およびニッケル等とステンレスを使用した多層構造鋼材によるダマスカス模様のキッチンナイフ等を開発し、自社ブランド「SAKON(左近)」「Artisan Classic」を立ち上げ、国内および欧州圏の高級市場に向けて販路開拓を進めていく。

伝統工芸「土佐打刃物」とは

Artisan Classic

Artisan Classic

高知県は県土の84%が森林であり、全国でも屈指の森林率を誇っている。このため、高知県では山林伐採に必要な打刃物が造られ続けてきた。

打刃物の歴史は古く、戦国の乱世で武具刀剣等の需要に応じて、農山林用打刃物鍛冶とも技術的に相まって多くの鍛冶屋が土佐国内に点在し、その技術を伝承した「土佐打刃物」は生産量・品質ともに向上してきた。

「土佐打刃物」は、その刃付け技術と鍛造技術によって刃こぼれしにくく耐久性が高いのが特徴であり、特に切れ味の持続性が高いのが大きな特徴となっている。

事業化着手のきっかけ

当社は、「土佐打刃物」の技術を継承しながら、家庭用包丁、農作業用刃物、大工道具を中心に刃物類のOEM生産(外注生産を含む)を行ってきた。

現在もOEM生産は当社の事業経営の土台となっており、市場ニーズに沿った技術革新によってOEM取引先とともに成長してきた。特に、OEM取引先のひとつである京セラ(株)の厳しい検査基準をクリアしてきた実績と経験は当社の技術的経営資源確立の一因となった。

当社では事業化着手の第一歩として、平成13年に刃物の産地であるヨーロッパ市場に向けてケルン(ドイツ)の展示会に出展し、翌14年にはニュルンベルグ(ドイツ)の銃器ショーに出展し、ダマスカスのブレード(刃の部分)素材を中心に出展した。当時は日本食文化の海外定着と拡大に伴って、日本の包丁が高く評価されたことを受けての出展であったが、バイヤーからは「最終商品として提案してほしい」「独自の技術を示してほしい」等々の意見が多く寄せられ、ブレードのみによる素材提案は受け入れられなかった。

そこで、総合的商品力の向上と差別化したものづくりを主体とし、そして「土佐打刃物」の特性を発揮できるものづくりを目指した商品企画・開発に着手した。

ものづくりのプロセス

「メゾン・エ・オブジェ」に出展

「メゾン・エ・オブジェ」に出展

自社ブランド確立に向けて、社内体制や生産設備の刷新等を推し進め、社外技術の導入等に着手した。特に、ハンドル(グリップ部)開発は、高知県工業技術センターからのトヨタ自動車の「レクサス」ブランドやソアラほかの車両のステアリングに採用された木加工技術提供により、包丁類の木製のハンドルに樹脂を含浸させ、耐水性の向上や腐食を押さえる技術を採用した。そのことにより、当社の包丁類やナイフ類のハンドルの商品開発の基礎的要因が確立された。

ブレード部は、当社の長年培った加工ノウハウ・技術を代表するハマグリ刃付け(刃の部分がハマグリ状に微妙に膨らんだ研磨方法)を活用して「切れ味」「切れ味の持続性」を高めることに注力し、切れ味の持続性のテストにおいて国際的権威を有する英国での「CATORA CATTING TEST to ISO 8442.5」実証テストによる評価を得ることができた。

事業化への取り組み

19年秋に以上の技術的要素を確立したことを受けて、本格的に事業化に向けて地域産業資源活用事業計画に着手し、自社ブランド確立のための商品企画、商品開発、デザイン開発、販路開拓等々の総合的取り組みによる事業計画の認定を20年6月10日に取得した。

特に本事業計画では、デザイン開発と海外販路開拓をメインの事業と捉え、21年度、22年度には商品企画デザインおよびパッケージデザイン開発で東京に拠点を置くプロダクトデザイン事務所の「DESIGN ANNEX」と業務委託契約を締結し、首都圏や海外市場に通用する商品に成長させるためにコラボレーションを図った。

2年間の商品開発において自社ブランド「SAKON(左近)」「Artisan Classic」を立ち上げ、ブランドコンセプトごとに試作品を多数開発し、またパッケージ開発は同じ地域資源活用事業計画の認定を受けた(株)山文(徳島県。20年12月19日認定)とのコラボレーションによる高級感あふれるパッケージが完成し、総合的商品力の向上を図ることができた。

海外市場への進出

穂岐山信介 代表取締役

穂岐山信介 代表取締役

22年1月と翌23年1月にはJETROの支援を受け、フランスのパリで開催されたインテリア用品の国際見本市「メゾン・エ・オブジェ」に出展し、1年目の出展でヨーロッパに拠点を置くディストリビューター(代理店)との関係が構築できた。

2年目にはリテーラー(小売店)からのオファーに対し、そのデイストリビューターを紹介することによって商談が進展した。

特に23年度の出展では、イタリア、カナダ、スイスのディストリビューターとの商談が進んでおり、これまでに取引実績のない市場の膨らみが期待できる。「現在、欧米を中心に海外売上高は全体の20%であるが、将来的には50%まで引き上げたい」と、当社代表取締役・穂岐山信介氏は意気込んでいる。

主な販路先は、国内では、百貨店・専門店・業務用・通販、海外販路開拓は当社が事業化以前から貿易商社を通じて欧州全域に輸出の実績があり、また海外の刃物等の市場情報を有しているので、良質な刃物が評価されやすい欧州を第一のターゲットとした。

刃物やナイフはヨーロッパが生産の主流であり、日本から商品提案を行うには、圧倒的な商品の差別化と優位性を発揮しないと通用しない市場であるため、当社では海外進出するまでの技術・デザイン等々の課題を事前にリサーチし、万全の準備を整えてのチャレンジとなった。

穂岐山信介氏は22年11月に代表取締役に就任し、今後は「土佐打刃物」の伝統技術の活用と自社技術の革新、そして社外専門家とのマッチングによる自社ブランド確立を受けての新市場の創出と拡大を目指し、このような総合的取り組みが地方に位置する中小企業のモデルとなることを期待している。

((独)中小機構四国プロジェクトマネージャー 木村惣一郎)

掲載:2011年5月号

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